しんじつ 2

「知ってるよ」

「……ふぇ?」


しばらく歩いていたナツメが、虚空を見つめたままパフィンに突然一言。

あまりに突拍子もない一言にパフィンも目が点


「んもー、空気読んでよ!ここはさ、パフィンちゃんがカクカクシカジカで説明した事になってて、そこに私が『知ってるよ』って返す時間短縮のやり方だったのに!そこも!わざとらしく訳が分からないみたいに解説しない!」


……どうやらメタ的なアレだったようだ。

それとナレーションは登場人物ではないのでむやみに干渉しないように。いいね?


話を元に戻し、こちらは未だに目が点になって思考がストップしているパフィン。責任持ってどうにかしなさい。


「ケチ!……ていっ」

「ぴゅん!?」


ナツメのデコピンによって鋭い痛みと共に我に返ったパフィン。おでこをさすりながら頭に大量の「?」を浮かべている。


「えっと……今のはナシ。聞かなかったことにして」

「は、はい……?」

「知ってるって言うのは……パフィンちゃん。あなたが今までやってきた事とか、これから何をするのかって事」


少々無理矢理だが、話の軌道を戻したナツメ。対してパフィンは理解が追い付かないのか、首をかしげてキョトンとした顔でナツメを見つめている。

そこに付け加えるように、ナツメはさらに言葉を続けた。


「セルリアンと、セルリアンを操ってる悪いヤツをやっつけるんでしょ?」

「……はっ!そ、そうでーす!パフィンちゃん、のんびりしてる場合じゃありませんでしたー!はやくみんなの所に行かないと!」

「やっつけられないよ」

「はい!やっつけられません!……ふぁい!?」


笑顔でサラリと自分の意気込みを否定したナツメに、パフィンも驚いた。

今にも飛び立とうとしていた身体はくの字に曲がりながらナツメの前に思いっきり乗り出し、あんぐりと口を開けてナツメの顔を丸くなった目で凝視する。


「なななな、なん、何でやっつけられないんですかぁ!?」


途端にパニックに陥り、羽根を忙しなくバタつかせるパフィンをケラケラと笑いながら眺めるナツメは、慌てふためく彼女をよそにさらに言葉を続ける。


「あいつ、この世界では不死身だからね。どうやっても倒せないの」

「そ、そんな……じゃあ、パフィンちゃんたち、勝てないんですか!?」

「ううん、そんな事ない」


涙目で詰め寄るパフィンに対し、ナツメは顔色一つ変えずに落ち着いた様子で首を横に振る。

そして、近くにポツリと置いてある四角い箱のような物に腰かける。


「この世界にいる間は絶対に倒せない。だから、あいつをこの世界から追い出しちゃうの」

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