シンジツ 1

「…………以上が、この世界の秘密……だそうです」


遊園地の中にある寂れた観覧車。その前で一通り語ってアカリに、パフィン達は豆鉄砲でも食らったかのように呆然としていた。


「じ、じゃあ何?その話が本当だとすると、私達は……」

「それが本当だとは限りませんが……セルリアンに取り憑いている何者かをどうにかしない限り、この異常事態が収束しない事だけは間違いないでしょう」

「でも、そいつを倒したら、俺たち……」


シーラの不安げな声にアカリが言葉を返すも、隣にいるタビーは泣きそうな表情で弱々しく声を漏らす。



“今のジャパリパークや自分達は異変の元凶によって生まれた妄想の産物”



タビーにそっくりなあの化け物から聞かされたこの情報を口にするのを、最初アカリは躊躇していた。突拍子がなさすぎる上に真実味に欠ける内容だったからである。

しかし、ヤマタノオロチが「何か隠しているな?」「何を偽る必要がある?」と幾度も詰め寄ってきて、他のフレンズ達も訝しげな表情を浮かべた為、聞かされた言葉そのままを語るに至った。


それを書いたヤマタノオロチも眉を潜めて少し俯くが、すぐさま口を開いてアカリを見据える。


「確かに信憑性に欠ける話じゃ。が、この現状でそれを否定する証拠がないのもまた事実。その化け物にもう一度会って話はできんのか?」

「私がそのおかしな空間からパークに戻る直前、『自分は別の世界を見て回る。この世界には二度と立ち寄らない』といった事を話していました。恐らく、干渉は不可能かと……」


その問いにアカリは首を横に振り、それに対しヤマタノオロチも「そうか」とだけ漏らし、再び沈黙する。


「アカリさん!!」


そこへ入れ替わるようにアカリに飛びついてきたパフィンは、必死の様相で彼女に問い詰める。


「おじさんがいないんです!おじさんどこにいるか知りませんか!?」

「えっ……確か、パフィンさんと一緒にいたはずじゃ?」

「パフィンちゃん、おじさんに抱っこされてました……でも、いきなりいなくなっちゃって、一人ぼっちになってて……」

「そんな……」


自身の腕の中で事の経緯を簡潔に話すパフィンに、アカリもつい先程まで元気にしていたはずの知人の消息が途絶えたという事実にショックを隠せずにいた。


「……他に、誰にも会いませんでしたか?」

「アリスちゃんとクリスさんに会った。でも、いきなり変なセルリアンに襲われて、そこから先はよく覚えてないな……」


パフィンの代わりに答えたシーラはどこか苛立っているかのようにスパナを手先で小刻みに上下させており、「それにしても……」と独り言のように言葉を続ける。

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