ヨモギくんとバビルサ 4

“____パ!”


『ぱ』……?


“__パパ!”


「子供の声……?」

「しっ。何か情報が得られるかもしれない」


すんません……バビルサちゃんに怒られて思わず黙っちゃったけど、いきなりパパって……どういうこったよ?


“こーら、そんなに引っ張ったらパパが痛いでしょ?”


今度は大人の……女の人の声だ。この人もパパって……つまり家族か何か?


“だってだってー!早く行きたいんだもん!ジャパリパーク楽しみだもん!”

“はっはっは。■■■はどのフレンズさんに会いたい?”

“えっとねー、リス!あ、それとラッコ!パパは?”

“ん?そうだザーッ……ザーッ……パザーッ……ザーッ……”


「い、今の声!あの人だ!社長からチラッと聞いたことはあったけど、マジで妻子持ちだったんだブィっ!?」

「黙りたまえ聞こえない」


またバビルサちゃんに怒られました……ヨモギ反省。ギュッとされたほっぺが痛い。

とはいえ、あの人の声が聞こえてからノイズがえらくヒドイな。何言ってんのかほとんど聞き取れねえし。


“ザーッ……ザーッ……ザーッ……ヒヒ”


……ん?


“ヒヒヒヒ!!ヒヒヒヒヒャヒャヒャヒャハハハハハヘハヘハヘヘヘハハハ!!!!!!!!”


うぉっ……!?


“聞こえタね?聞こえるヨ?次元のユガみのハナシゴエ!”


な、何だ?この故障したロボットみたいな気色悪い声……さっきの中二病とは明らかに喋り方が違うし、誰だ……?


「……我々の声が聞こえているのかい?」

“ええ、エエ、キこえてます共。つなげてきたノはあなたが田ですから。けど直接つなゲたのは他のカタ”


あぁ?繋げたのは俺らで直接繋げたのは他の奴?何かの言葉遊びか?


“ケケケケ!そこのお兄さンはひどく困っている様子。お嬢さんはヘーキかな?”

「……問題ない。良ければ質問に答えてもらいたい」


……ん?ちょっと待て。この気味悪い奴の声が聞こえてから俺、一言でも喋ったか?こいつ何でって分かるんだ?


“質問ネぇ……そんなまどろっこシぃことはナシにしましョうや”

「ほう……つまり?」

“ウ シ ロ”


……うしろ?テントの外に何かあ……る…………


「……バビルサちゃん」

「何だね」

「ちょっとごめんよ」

「は……?」


ヤバイ。今の声の奴もだけど、それよりもっとヤバイのがいる。

長年培った俺の直感が告げている。今俺らの後ろにいるのは生き残った人でもないし、バビルサちゃんが言ってた虫みたいな化け物とも違うけど、それとはまた違う意味でヤバイ。


全身真っ黒、顔にはデカイ一つ目。人型だけど明らかに人じゃない。

しかも__



「セルリファイッ!!」



俺らをブン殴る気満々のファイティングポーズとってやがる。

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