ヨモギくんとバビルサ 3
「……電波か」
え、なに?この子何してんの?
なんか色んな配線俺のスマホに繋げ始めたんだけど……
“ザッ……__し?……ザーッ__ったのか!?”
あれ?この声……
「ふむ……何か拾えるかと思ったら、予想以上の速さで拾えたな」
「あ、バビルサちゃん!ちょっと……!」
もしかしてまたあの人ん所に繋がった!?どこにいるか聞けるかも……!
“ザーッ……ザーッ……____ザザザッ__クソが!ニセモノがいきがるな!”
「ん?ニセモノ?」
げっ、あの中二病患者もいるのか……
「突然の電話で申し訳ないね。私はバビルサ。君は誰かな?」
って、バビルサちゃん普通に話し始めちゃったよ……
“…………この世界を本物にするべく動いている”
向こうも向こうで対応してるし。しかも相変わらずの中二病だし。
「本物、というのはどういう事かな?それと、私は君の名前を聞いたつもりだったんだが」
“聞いた所で意味はない”
「それはどういった理由でかな?」
“お前もこのニセモノの一部。ニセモノの記憶なんてすぐに消えてなくなる”
「なるほど」
え、バビルサちゃん納得しちゃった!?
「私の記憶だけでなく、私の存在そのものが虚像。そういう事だね?」
“ニセモノのくせに物分かりがいいじゃないか”
「では、存在すらしていない虚像に語りかける理由は?」
……ん?バビルサちゃん、目つきが……
“……は?”
「例え話をしよう。映写機で投影された立体映像。ソレにひたすら語りかける一人の男。考えてもみてごらんよ」
“……”
「AIも組み込まれずプログラミングもされていない映像、虚像は静止したまま動かない。仮に何かしらデータを落とされて動いたとしてもパターン化された動きしかできない。意思を持つ生命体の肉声に対し、期待通りの返答は決して返ってこない。そんな光景を、君はどう思う?」
“何を……”
「今現在君がしている行為は、まさにそれとほぼ同義。いや下手をすれば壁の落書きに話しかける精神衰弱者と変わらない。私が虚像、君の言うニセモノならば、こうやって言葉を交わす意味は何か?これは有意義な時間と言えるのかね?」
え、なに?バビルサちゃんおこなの?ニセモノとか言われておこなの?声のトーンも若干低いよ?
「もっと分かりやすく言ってあげよう」
“……黙れ”
「今の君は」
“黙れよ……”
「公衆便所の落書きに」
“うるさい……!”
「たった一人ぼっちで」
“黙れって言ってるだろ!!”
「話しかけている」
“ーーーー!!!!ーーー!!!!”
あ、キレた。もう何言ってんのか分かんないし。で、バビルサちゃん息を大きく吸って……
「た だ の 寂 し い 人 間 だ」
あぁ……なんて聞こえやすい一言一句。
……中二病患者。レスポンスはどう出る?
“ーーーー俺はーーーー!!!!ーーーザーッ……ザーッ……”
「俺は」しか聞き取れなかった……ってあれ?なんかまた電波が……
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