ヨモギくんとバビルサ 2

バビルサちゃんから聞いた話をまとめると……


・突然意識を失い、目が覚めた時には霧がパーク中に発生していた

・霧が発生してからパーク内のあらゆる機能が「ピッタリ」停止している

・パーク内にいた客や職員、フレンズは姿はうっすら見えるが直接触る事ができず、眠ったように動かない

・霧の中からは昔パークに大量発生していた怪物によく似た虫のような化け物が現れている

・霧が出てから無線機が奇妙な電波を受信し、言葉らしき音が聞こえてくる


……ってところか。


「それで、今はここで救助待ちってところ?」

「それもあるが、本件はこれまでの記録にも一切前例がない事象でね。研究ついでに救難信号を発信していたんだよ」


助けを呼ぶ方がついでってか……順番逆じゃねって突っ込むのは野暮か?それはともかくだ。助けを待ってたってんなら放ってはおけんわな。


「んじゃさ、一緒にパークの外に出ようよ。助けを呼ぶにはその方がいいだろ?」

「私はアニマルガールだよ。パークの外に行けばけものに戻ってしまうから、それは不可能だ」

「……へ?」


アニマルガール……って、この子今うわさのフレンズなんか!ぱっと見変な髪の女の子程度にしか思ってなかったわ……


「全っ然気付かなんだわ……動物要素どこ?」

「強いて言うなら、この髪だろうね。バビルサの牙を知っているかい?」

「えーっと……確か、顔に向かって伸びてくんだっけ?」

「そうそう。最後はそれが顔に刺さって死んでしまう、なんて事もあるよ。そうなるのは極々稀だがね」


はぇー、めっさ勉強になる……最近は毒のある植物調べたりとかしてたから、動物の知識ってのは新鮮だな。


「それより、パーク外の様子はどうだい?霧は外にも広がっているのかな?」

「霧はない……いや、少しあったかな。あと、なんか変な感じにはなってんな。会社に電話は繋がらないし、変な電波拾うし、中二病患者が一方的に話しかけてきたし……」

「そうか……ん?電波?」

「そうそう。なんかさ、話し声っつーか名前っつーか?途切れ途切れに聞こえてくんだよね。気味悪いったらありゃしないよ」

「…………」


ん?バビルサちゃんどした?いきなりだんまり決め込んじゃって____


「電話を貸したまえ」

「うぇ?って!?」


あ、俺のスマホ!いつの間に取られてた!?スリかよ!ドロボーかよ!何すんのこの子!

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