巻き込まれなかったヤツ 3

くっそ腹立つ!こいつアレだ!俺の声が若い感じだから「どうせゆとり世代だわ。ゆとりは頭がアッパラパーだからな。テキトーにあしらえば諦めるだろ」とか偏見持つクソヤローだ!


ふっざけんなよ差別ヤローめ!ゆとりゆとりってナメ腐ってんじゃねーぞ!ゆとり世代ってのは自分のやりたい事に何でも挑戦できるラッキーヒューマンなんだよ!


てな訳で出るまでしつこくかけまくってやる。


“プルルルルルル……プルルルルルル……”


ケッケッケ、仕事以外は若者らしく遊び呆けてるヨモギ様だと思うなよ?こちとら学生の頃から外を飛び回るために色々やっちゃってんだかんな。


“…………”


一発で出やがった。おうおう、黙りこくっちゃって。怒りの沈黙?怒ってる?ねえ怒ってる?これからもっと怒らせてやるから血管に気を付けろよぉ〜?


「おい。お前逃げんのか?」


“俺は忙しいんだ。ニセモノに構ってる暇はない”


あいたたたたた。まさか中二病が治ってないお方だったとは。おいくつかは存じませんが社会に出てから苦労したんじゃありませんか?


……いいこと思いついた。ちょっと弄ってやろ。


「はっ、バカが。真の贋作フェイクはどちらか、まだ気付いていないのか?」


“……何?”


お、食いついた。意外と行けるもんだな。


「神を気取る無知蒙昧むちもうまい羽虫テディームめ。そんな小さな箱庭サラドンで我が秩序の糸オルディニス・ナジュムに操られている事に、今も気付かんか」


“……黙れ、出来損ないのニセモノが”


やっべ、自分で言っといて吹き出しそうになった。テキトーに聞きかじっただけのラテン語やらアラビア語やら繋ぎ合わせただけでそれっぽく聞こえるのヤベエ。


「滑稽。実に滑稽。猿山の大将ですら賢しく見えるぞ。いや、それでは猿に無礼千万か。さしずめ、誰も見向きすらしなくなった腐った果実パチキン・カンミの王か?」


“黙れェ!!”


うお、いきなりキレた。


“このクソオヤジといいお前と言い、何でリセットされてない!?今パークで動いてる奴らもそうだ、俺の力が半端にしか効かないじゃないか!!ニセモノの分際で生意気な____”


……何だこいつ?さっきからやたらにこだわってるような……そういう設定ってだけか?

としても、我がゆとりレーダーがどうも何かに引っかかってる気がしないでもないんだよな。


もしかして会社に連絡付かないのも、パークに入れないのも、こいつが何か知ってんのか?

でもって、この番号だってそうだ。まったく知らない番号なのに聞き慣れた声が出たと思ったら、こいつが横から割り込んだ。


あのホラー電波が何なのか分からんが、何にせよこいつが黒の可能性が高いと俺のゆとりレーダーが伝えてきてるんだよなぁ。


だが、この一連の流れをこいつ一人でアレコレできるもんか?会社一つの電話を乗っ取って、さらにパークのセキュリティにまで干渉して。凄腕のハッカーか何かでもないと一人でどうにかできるもんじゃないとは思うが……

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