巻き込まれなかったヤツ 1

ふんふふんふふ〜ん、けっむりっのなっかにーヨモギあり〜♪


ヨモギ、とうちゃーく!これからパークに入ってお荷物を届けに…………あん?


「あれ?何だこれ……」


オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ。

マジかよ?裏口の門が閉じちゃってるよ?しかも何か変なモヤモヤがロックしてる所から出てるんですけど?


「うっわヤベー、故障してる感じ?」


機械いじりにはちょっとばかし自信がある……とは言え、こんなでかい施設のセキュリティとか触ったらヤバイっしょ。俺が触って余計に壊れたら弁償どころじゃなくね?俺、人生棒に振る事になるんじゃね?


でもなー、中に入らないと荷物届けらんねえし、仕事はきっちり終わらせといた方が絶対いいに決まってるし……


お、そうだ。インターホン鳴らしゃいいじゃん。っおーい、さっさと気付けよ俺ぇー。

てなわけで、ポチッとな……


「…………」


ん?パークの職員さん、出てくれなくね?ラッキーちゃんも返事なくね?


ナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナア。

こっちも仕事やってる関係上ヒマじゃねんですけど?こうやってボケっとしてる時間マジもったいないんですけど?


つーかさ、この故障した扉と言い、もう二、三分ぐらい経つのに全然反応がないインターホンと言い……


「……会社に連絡した方がよさげ?」


しゃーないな……おやっさんに電話するか…………っと。


“おかけになった番号は、現在使われておりません____”


……は?

っお゛ぉーい、まさか雲隠れ?夜逃げ?社会人になってまだ1年経つか経たないかの俺にガチの試練が課せられた系?


いやいやふざけてる場合じゃねえ。何で番号使われてないとか言っちゃうの?ついさっき出たところだぞ?番号間違えたか?


……いや、この番号で合ってるはずだ。何かの誤作動的なアレなんだよ、きっと。

もう一回かけたら渋いおやっさんの声が……


“おかけになった番号は____”


っお゛ぉーい。マジモンじゃねえかよこれ。

マジどうすんだこれ。俺の人生どうなるんだこれ。


……あ、そうだ!パークの方にかけてみるか!

もしかしたらアレだよ、電波に異常が発生してるかなんかで管轄外と管轄内の境目の電波が上手いこと繋がらないとかだよきっと。

管轄内のパークならきっと……


“ザザッ…………こ……スカ……レー……ザーッ……アル……ノコ…………ザッ……かめ……レンズ……つな……ザザーッ……カジノ…………ブーーーーーッ”


ガチホラー展開きたこれ。謎電波受信しちゃったんだけど。てか怖がらせるだけ怖がらせて切れたんだけど。


…………マジどうすんだこれ。パークに入れない、電話も使い物にならない、ホラー電波も受信する。

となりゃ、あと残された選択肢は……


「……うし」


一旦会社に戻るか。んで、信じてもらえるかどうかは置いといて状況報告しよ。

うん、それが賢い。ヨモギ賢い。そうと決まりゃとっとと会社に戻るとすっか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る