VS溶カ縺た三人 5

「  ア    メ 」


怪物は再び意味を成した言葉を紡ぐ。

先程までの壊れた機械が発するような奇妙な音はなくなり、甲高い幼い子供のようなソレとなっている。


「……これがほしいのか」


タビーは足下に転がる飴を拾い上げ、まるでせがむようにうねうねと全身の手を動かす怪物に視線を移す。

しかし、タビーは飴を握りしめると同時にキッと怪物を睨みつけ、声を張り上げる。


「そんなに欲しいかよ!でもな、お前が飲み込んだ奴ら全員吐き出さねえと絶対にやらねえからな!」

「メ ア  メ  」

「るっせぇ!!出せ!!飲み込んだ奴ら全員だ!!そしたらやるよ!!」


やがてゆっくりと迫り始める怪物に続けて怒鳴り散らすタビー。しかし、怪物はヤマタノオロチ達を吐き出す気配は微塵もない。


負けじとタビーも金切り声をあげるが、現状このやり取りはイタチごっこでしかなく、怪物に目立った変化はこれっぽっちも見られない。

その時だった。


「その飴をあげて!」


唐突に後ろから聞こえる高い声。思わず声のした方を振り返ると、そこには白いシャツの上から薄手の小さなベージュのコートを羽織り、デニム生地のロングスカート姿の女性が、肩まで伸びた青みがかった黒髪を小さなゴムで束ねながらこちらへ走ってきていた。


「はやく!それで解放されるから!急いで!」

「あ、お、おぁ……!」


飴を怪物に渡すようまくし立てるように促す女性に戸惑うタビーは、上手く返事ができずおかしな声をあげつつも頷き、握った飴を包み紙ごと怪物に投げつける。


宙を舞う飴を無数に伸びる手の中の一本でキャッチした怪物は、さらにもう一本の手で包み紙を器用に切り開いていく。

そして、中から現れた橙色の宝石のような光沢を放つ小さく丸いソレが零れ落ちると、逃すまいとばかりに身体が大きく真っ二つに裂け、吸い込まれそうなまでに黒い空間の中へとソレは落ちていく。


「    ■    ■  ■」


満■したのか、息を吐き出■ような音■裂け目から発す■■■は■グネグ■■ゆっ■■■蠢■■■■■そ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■











データの復旧が完了しました。

このプログラムを再起動しますか?



[はい(Y)]

[いいえ(N)]



「あれ?さっきの女の人は……?」

「でぇた?ぷろぐらむ?何のこっちゃ。こりゃどっちを押せばよい?」

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