タビーの災難・終?
〜〜〜〜
「…………」
「……」
「…………ふぃ?」
静寂に包まれたジャングル。そこで一番に身体を起こしたのはパフィンだった。
自分の身体をペタペタと触るが、どこにも傷はなく痛む所もない。
辺りを見渡すと、そこは人の気配がどこにもない事を除けばいつものじゃんぐるエリアそのものだった。
少しばかりぼんやりした後、ハッと後ろへ振り返ってまだ目覚めない二人を起こそうと揺り動かす。
「ジョフさん!シーラさん!起きてくださーい!」
「……にゅあ?」
「……うぅん……」
あっさりと目を覚ました二人は寝ぼけ眼で顔を合わせ、次第にハッキリとしてくる意識の中で辺りを見渡す。
疲労にも似た妙な感覚こそあれど、先程までの悪夢を見ていたかのような戦いの痕跡はどこにもない。
あの不気味な声も聞こえてこない。
「…………シーラ達……生きてる……?」
「……足、ちゃんとあるでち……」
「みんなちゃーんと生きてまーす!」
刹那の沈黙。
そして、パフィンの言葉を皮切りに三人は手を取り合い、ワッと溢れ出したかのように目に歓喜の声をジャングル中に響かせた。
「生きてるぅ〜〜!!」
「死んだかと思ったでぢ〜〜!!」
「パフィンちゃんたち助かりましたー!」
「おめ出とう!みなさン運良く生き延び太。祝イます?岩おうね!」
が、その歓喜の声は直後に聞こえてくる声によって一瞬でかき消される事になる。
ギョッとした顔で声の方に振り向くと、そこにはタスマニアデビルのタビーが傷だらけで地面に横たわっていた。
しかし、先の化け物じみた外見のそれではなく、至極普通のタスマニアデビルのフレンズとしての姿となっていた。
「タビーさん!大丈夫ですか!?」
「パフィン!ちょっと待って!」
二人から手を離して飛んでいこうとするパフィンだが、即座にシーラに肩を掴まれる。
声はタビーのいる方から聞こえてきており、さらにしばらくすると動かないタビーから黒い煙のようなものが抜け出してきているのが見えたからだ。
タビーの身体から抜け出たそれは空中で一箇所に収束していき、モヤのようなそれから徐々に形を成していく。
そして数十秒も経たない内に形はハッキリとしたものに変わり、そこにはパフィン達に牙を剥いたあのタビーのような化け物が空中に現れたのだ。
「オレふっかつぅ〜☆」
ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながらわざとらしく深々とお辞儀をする化け物タビーは、地上にいる三人に静かに語りかける。
「殺すつもりもなかったけドね。激Cバトルに命のやり取りは付き物サ。チミたちの友情パゥワ、しっかり店てもらいましたよ?」
「でもパフィンちゃんをハンマーでぺしゃんこにしようとしたじゃないですかー!」
「さてはパフィンはおバカだね?あんナの単なる演出さ。あっさり死んだラつまらない。最初に言ったはずですよ。『あとの二人もすぐ来るけれど、そレまでお先に遊ぶのさ』ってね」
「むぅーー!!」
小馬鹿にしたようにケラケラと笑う化け物タビーにパフィンは顔を真っ赤にして頬を膨らませ、頭の羽根を地団駄を踏むかのごとく激しくバタつかせる。
それを見て満足したように口が裂けそうな程に口角を吊り上げると、背後に現れた真っ黒な穴のようなものにゆっくりと姿を消していく。
「ど、どこ行くつもりでち!?」
「なぁに、ちョっと世界を旅するだけよ。色んな時間、色んな次元、星の数ほどある二の次ジャパリぱークへとね。ま、ここには二度と戻らんがね」
「色んな時間……二の次?一体何を……」
「例えルなら、“皆様の作品楽しく読ませて頂いてます”ってヤツよ」
まるで意味がわからない言葉に眉をひそめるシーラに、化け物タビーはケラケラ笑いながらどんどん穴の中へと入っていく。
そして僅かに見えていた頭も穴の中へ消えていこうとした時、思い出したかのように化け物タビーはひょっこりと顔だけを見せる。
「あ、そうそう。パフィンのお知り合いのガイどちゃんにチョー大事なこと伝えといたから。ついでに我がオリジナルはジャパまん食わせりゃいいからネ」
早口に伝えたのを最後に、化け物タビーは今度こそ穴の中へ完全に消え去る。
同時に穴もぷっつりと消滅し、辺りには不気味なまでの静寂だけが残された。
……と思いきや。
三人の前には落書きのような顔が描かれた球状かつピンク色の爆弾が置かれており
「
と可愛らしい声が発せられたと同時に
周囲は真っ白な光に包まれた。
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