TASMANIA FINAL!!

土煙が立ち上る。その上空から、未だ野生解放の輝きを維持するパフィンが地上へと降り立つ。

その先には、壁に顔面からぶつかり気を失っているジョフの姿があった。


「ジョフさん!」

「……ぅ……にゅ〜ん……パフィン……?」


滑空の勢いで地面に降り立った後も駆け足になったパフィンは半ば転がり込むようにジョフの元へたどり着き、彼女の上半身を抱き上げて声をかける。

回っていた目の焦点が定まっていき意識を取り戻したジョフがパフィンに顔を向ける。


「あいつは……」

「やっつけました!パフィンちゃんたちの大勝利でーす!」

「……ジョフは大人だから、お前にこーせきをゆずってやったでち。ありがたく思うでち」


目が合ったパフィンがにっこり笑いかける。

それに少し照れ臭そうに強がりを言いながら顔を逸らすと、遠くからこちらへ走り寄ってくるシーラの姿が見えた。


「おーい!大丈夫ー!?」


そして、その手には淡い緑色の怪しい光を放つ__


「……パフィン。あいつ何持ってるでち?」

「ふぇ?」

「ジョフ!とりあえずこれ食べて!まだ残りがあったの!」

「もぎゅ!?」


パフィンがシーラの存在に気付いたのも束の間、目の前までやって来たシーラは手に持つそれをジョフの口に有無を言わさず突っ込んだ。


味はどうですか?


「じゅぶふぷぁあうおおぉおお!!??」


クソすっぱかったようです。


しかし、そこは後味とってもさっぱりなメディカルジャパリまん。数秒のたうち回ったジョフの口の中から強烈な酸味はすっかり消え失せ、全身の傷もきれいになくなった。


「りうきうエリアで開発されたメディカルジャパリまんよ。傷の治りが早くなるわ」

「ふわ……言われてみれば、もうカラダが全然痛くないでち」


「でもいきなり口につっこむのはやめてほしいでち」と目を細めて付け加えるジョフにシーラが苦笑いを浮かべながら謝ったその時だった。


「あーもーやめやめ!吾輩の負けだわ!」


地面に突き刺さっていたハンマーからうんざりしたかのような声が響き、それに気付いた三人は和やかな雰囲気から一気に表情を強張らせて再び身構える。


「まーったく、こんな逆転負けで終わるなんて予想以上だねキミたちは」

「パフィンちゃんとゆかいな仲間たちにかかればこんなもんでーす!」

「そうだね。強いねキミたちは。ぼくちゃんの負けを認めよう」


その言葉にほんの僅かな安堵感が三人の間に流れ、身体に入った力が抜けようとした時だった。

ハンマーは突如大きな音を立てて地面から勢いよく飛び上がり、上空から巨大な一つ目で三人をギョロリと睨みつける。


「……NAーんちゃっ手☆」


呟くような言葉を皮切りに、空中に浮かぶハンマーは次第に激しく振動すると、まるで膨らむかのようにどんどん巨大化していく。

そして、数秒という僅かな時間にも満たない間にハンマーは天井を覆い尽くさんばかりの大きさとなり、これには勝利を確信していた三人も真っ青な顔でそれを見上げるしかなかった。


「……うそ……」

「こ、こ、こ、こんなの反則でち!避ける隙間もないでち!」

「どどど、どーしましょー!?」


それを嘲笑うかのごとく、ハンマーは未だかつてない轟音を鳴り響かせながらゆっくりと地上へと落下していき、ハンマーは血走った一つ目で三人を凝視し続けながら狂ったように叫ぶ。



「これGA! !ほ んと の !!ファイ ナルア 多ック!! 見事ぉ!! 受けてみ るが い い! !





タ ス マ ニ ア フ ァ イ ナ ル!!!!」





















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