VSカオスなタビー⑧
〜〜〜〜
「ほらほら保らほら!!ほらほららアぁ!!」
場所は戻り、パフィンとタビーが激戦を繰り広げるドーム空間。
息つく間もないタビーの猛攻を羽根による射撃と頭突きで回避と反撃を交えながら空中を飛び回るパフィン。
最初の内こそ優位に立てたかと思われたが、片や狂ったように笑いながら終始むちゃくちゃな動きで息切れもせずのたうち回っているのに対し、パフィンは野生解放による瞳の輝きが弱まってきており、表情にも疲弊の色が浮かび始めて額から汗が滲み出ている。
「はぁ、ふひぃ……ま、まだまだでーす!」
「お疲レだよ?お疲れだね!でもこんな所で寝てたらダメえぇ!!」
動きこそ鈍ってはいないものの空元気なのは明白で、飛びかかってくる無数の球体をいなしながらもそれより先の行動が取れずにいた。
そんなパフィンに容赦なく絶え間ない攻撃をしかけ続けるタビーは、ゲヒゲヒと気味の悪い笑い声をあげながら不規則なリズムで手を叩くことで周囲に紙吹雪をあちこちに舞わせている。
「ひぃ、ふいぃ……あっぐ!?」
そして、ついにその時は訪れてしまった。
空中で静止した途端に疲労が押し寄せてきたのか、背後から襲いかかってきた球体に気付けなかったパフィンの背中に強烈な衝撃が走る。
それに耐えられずに力なく落下していくパフィンが盛大な土煙を上げながら地面に墜落すると、タビーはゆっくりとそこへ歩み寄る。
「げほっ、げほっ……」
「親おやおしまい?もうオしまい?よいこはねんねの時間かな?」
「う、ぅ……ま、まだ……です……!」
「ムリはおよしよバードガール!今のオマエにできること。それはトどメをさされることさ!」
ニチャリと嫌な音を立てながら目を見開き、虹色に光る牙を見せておぞましい笑顔を見せるタビーが両手を大きく広げる。
すると、空中を漂っていた球体が一ヶ所に集まっていき、やがて先端に熊の手を模した武器__いわゆるクマ科のフレンズが持っている熊手ハンマーを何倍にも巨大化させた武器へと形を成す。
「え……」
ゆっくりと地面に降りてくる超巨大ハンマーの柄を両手でがっしりと握ったタビーは、比較的小柄なその体格のどこにそんな力があるのかと言わんばかりにハンマーを軽々と振り回す。
「ぎひ非ヒ火HI!!これで潰されりゃいっかんの終わりサ!」
轟音と共に突風を巻き起こしながら目の前で荒れ狂う巨大ハンマーに、先程までの闘志が消え失せ青ざめ引きつった表情のパフィンはその場から逃げようとする。
しかし、土煙が晴れた頃には野生解放による輝きが消え失せており、疲労から足に力を入れても膝をつきながら身体を起こすのがやっとで、立ち上がって走り出すことも羽根を広げて飛び上がることもできない。
「……ぃゃ……」
「ファファファファファ!何と悲痛な命乞い!お仲間たちガ来るころにゃ、キミはぺしゃんこゲームオーバー!悲しいね!悲しイよ!」
瞳には涙が滲み、もはや泣き叫ぶ事すらできないほどに心が恐怖で埋め尽くされていく。
目の前に迫る巨大ハンマーの肉球があるはずの部分からは、大きな眼球がパフィンを仕留めんとばかりに睨みつけており、唸り声とも取れる轟音を響かせていた。
「トドメだバードガール!タスマニアハンマーを受けてみよ!!」
そして、大きく飛び跳ねたタビーがパフィンに向けてハンマーを勢いよく振り下ろす。
もうダメだ。抵抗する気力すら奪われたパフィンは目をギュッと閉じ、そのままハンマーに押し潰されるのを待つしかなかった____
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます