VSカオスなタビー⑥

「あははヒひはへへへへ!!とっても楽しいゲーむをはじめましょう!!」


狂ったように笑い続けるタビーは、無数の球体を手のひらから出現させてはパフィンに投げ飛ばす。

パフィンは高速でドーム内を飛び回りながらそれを避け続けるが、投げ飛ばされた球体は目をギョロギョロと動かした後にふわりと突き刺さった場所から浮かび上がり、パフィンを一斉に追いかけ回す。


「やだぁー!!来ないでくださぁーい!!」

「逃げてばっカじゃだめだよガール!反撃しなきゃ!反撃しマしょ!オイラばかり楽しいんジゃ不公平極まりない!」


タビーが手を指揮者のごとく振るうと、それに呼応するかのように黒い球体達は二手に分かれてパフィンの両隣へと並行する。

それを見て思わず空中で急ブレーキをかけたパフィンがあたふたと両隣に忙しなく視線を移し続ける直後、球体達はグッと後ろに引き下がる。


「さあ、差あ!これからその真っ黒ぼール達がお前に襲いかかリますぞ!パフィンちゃん絶体絶命の大ピィーンチ!!」

「ひいぃ……!」

「痛いのはイヤだよね?イヤだもの!だったらそいつラやっつけろ!自慢のフレンズパワーでいてこましたるんや!」


地上から煽るように叫ぶタビーは眼球がそれぞれ違う方向を向きながらグルグルと回っており、さらに牙の隙間からは紫色の舌が二枚、三枚と唾を飛ばしながらウネウネと飛び出している。

上空にいるパフィンは隙間から逃げようともしたが、いつのまにか球体は両隣だけでなく上下前後ありとあらゆる方向を囲み尽くしており、逃げ場を完全に塞いでしまっていた。


「……パフィンちゃん、戦うのはイヤですけど……」


やるしか、ない。

胸の内で無意識にそう呟いた途端、パフィンの瞳には光が灯り始め、頭の羽からもキラキラとサンドスターの輝きが現れ始める。


「すっごく久しぶりの野生解放、やっちゃいます!!」


声高らかに宣言するパフィンから放たれる光が強さを増した瞬間、球体は四方八方から一斉に突撃してくる。

が、それがパフィンにぶつかる直前、球体の大半が「パッカァーン!!」という軽快な音と共に破裂する。

キラキラとした輝きを帯びながら崩れ去る球体の欠片には白黒の小さな羽が刺さっており、それはパフィンの羽根の色と全く同じものだった。


「おぉー!うまくいきましたー!」


今起きた事を簡潔に説明すると、襲いかかってきた球体に向けてパフィンが無数の羽根を弓矢のごとく飛ばしたのだ。


「なんってステキな逆転劇!もっと楽しみましょうヨぉ!!」


しかし、球体全てに攻撃が当たった訳ではなく、襲いかかってきた内の何体かはそれを紙一重で回避しており、少し離れた場所で今にも飛びかかりそうな勢いでパフィンを睨みつけている。


生き残っている数は決して少ないとは言えないが、久々の野生解放による攻撃がほぼ上手くいった事で自信がついたのか、先程までの弱腰から一転したパフィンはそれに臆する事なく空中で腕を組みながら微笑んでいた。


「ここからはパフィンちゃんの大逆転でーす!ぜーんぶやっつけちゃいますよー!」

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