パフィンちゃん捜索隊⑤

シーラの腕の隙間から見えた人影は、ふらふらとおぼつかない足取りながらもかなりのスピードで移動していた。


その人影が向かう先には、避難エリアから出るための扉があった。


「あ、あのひと!」


人影が扉を押し開け、すり抜けるように出て行くのが見えたパフィンは思わず声を上げて指をさす。

それにつられて二人もパフィンが指差した先へと視線を向けると、すでに扉が閉じようとしている所で人影の姿は消えてしまっていた。


「ど、どうしたの?」

「今、だれか外に出ていきました!危ないから連れ戻さなきゃです!」

「パフィン……そんなウソついて外に出ようとするのはダメでち」

「むぅ!ウソじゃないでっす!そう思うなら一緒に来ればいいです!!ふんぶぁっ!!」


人影が見えなかったジョフはパフィンが外に出る口実を作ろうとウソをついたように感じており、呆れたように眉をひそめる。

しかし、それに腹を立てたのかパフィンはシーラの手を勢いよく引き離し、人混みの頭上へと飛び上がって扉に向かって猛スピードで飛んでいってしまった。


「あ、ちょっとパフィン!?」

「パ、パフィン!どこいくでち!!」


二人の制止の言葉も虚しく、パフィンは扉を開けてあっという間に外に飛び出してしまう。

残された二人も後を追いかけようとするが、進行先には人混みがある為に前に進む事ができない。


「ど、どうするでちか!」

「とにかく追いかけなきゃ!それに、本当に誰かが外に出て行ったんならその人も連れ戻さないと!」

「そうは言っても、この人混みじゃ全然進めないでち!」


二人がいる場所はまだ人通りが少ないのである程度自由に動き回れるものの、パフィンが飛んで行ったのは無数の人混みで溢れかえる広場の先にある出入口。

壁を伝って行けるだろうかともシーラは考えたが、掴まれるような出っ張りや物はなく、それ以前にうっかり手を滑らせでもしたら下にいる人のぶつかって危険極まりない。


そもそもあの扉まで行くのにこの人混みをかき分けて進むのは時間がかかり過ぎるし、仮にそれで外に出たとしてもかなりのスピードで飛んで行ったパフィンの行方を探し当てるのは非常に難しい。


猛スピードで思考を巡らせながらあちこちに視線を飛ばすシーラ。その時、自分がパフィン達と合流する前に通ってきた道を振り返る。

背後の無機質な雰囲気の漂う道を視界に入れた瞬間、シーラは思考が答えを導き出すと同時にジョフの小さな身体を脇に抱えて勢いよく地面を蹴っていた。


「ぎにゃあぁ!?」

「外に出る近道があるの!ついてきて!」

「ついてくどころか連れてかれるでちぃ〜!!」

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