パフィンちゃん捜索隊③

二人を叱りつけたガイドが立ち去って少しした頃。

しゅんとしたように顔を俯かせていた二人の内、パフィンの方が顔を上げないまま口を開く。


「……ジョフちゃん」

「……なんでち?」


名前を呼ばれたジョフも顔を俯かせたまま声を返す。


「パフィンちゃん……おじさんを探してみます」

「そうでちか。人が多いから気をつけるでち」

「はい」


スッと立ち上がったパフィンは、顔を下に向けたままジョフの元から離れていく。

ふと、ジョフはゆっくりと顔を上げる。その時、視界に映り込んだ光景に彼女は思考が停止しかけた。


ジョフはいなくなった男を探す為に席を立った。ジョフはそれを避難エリア内を探して回るのだと思っていた。

が、顔を上げた先に向かっているパフィンはどのスペースに入っていくでもなく、ただひたすらまっすぐに進んでおり____


避難エリアの外へ向かおうとしていたのだ。


「パフィン!!」


今まさに扉の前に立とうとしているパフィンを見て、我に返ると同時にギョッとしたジョフは人混みを器用に避けながら彼女の手を荒々しく掴む。


「お、お前!どこに行こうとしてるでち!?」

「え?やだなー、おじさんを探しにいくって言ったところじゃないですかー」

「ここにおじちゃんもいるかもしれないでち!ちゃんと探すでち!!」

「探しました!泣きながらうろうろ探してました!でも……」


慌てるようにまくし立てるジョフにパフィンも声を張り上げる。しかし、男やアカリとはぐれた事を思い出して再び悲しい感情が湧き上がってきたのか、語気は立ち所に弱まっていく。


「……ジョフも一緒に探してやるでち。だから危ないことはしちゃダメでち」


目に見えて表情も曇っていくパフィンに、バツが悪そうに言葉を返すジョフ。

パフィンが手を握り返したのを確認し、扉から離れようとした時だった。


「パフィン?」


横から声をかけられ、パフィンはそちらに顔を向ける。

そこにいたのは黒い制服に白衣を羽織ったチンパンジーフレンズ、シーラだった。


「あ!シーラさん!」

「パフィン!それと、そっちにいるのは……」

「ジョフロイネコのジョフでち!」


しばらく前にパークセントラルのラボで知り合ったシーラの顔を見て、パフィンはパッと表情に明るさを取り戻す。

その後、立ち話も何かと二人はシーラに連れられて避難エリアの奥にある人通りが少ない少し暗めの廊下に移動し、壁に並行するように置かれているイスに座る。


「二人とも、さっき外に出ようとしてなかった?今はパーク側から特別に許可が下りてる子しか外に出られないんだよ」

「ジ、ジョフは止めてたんでち!勘違いしないでほしいでち!」

「……パフィンちゃん、人を探してるんです」


先の二人の様子を怪訝に感じたシーラが二人に問いかける。

それに対し、ジョフは誤解を解くよう慌てて返答し、パフィンは自分が何をしようとしていたのかをシーラに事の経緯も含めて話していった。

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