パフィンちゃん捜索隊①
「ぐす……ぐす……」
所変わり、こちらはパークセントラル内の一端にある緊急避難エリア。
たくさんのヒトやフレンズ達が不安げにざわつく中、顔を大粒の涙で濡らしながらとぼとぼと独りで歩く小さな影があった。
あれから男に抱えられながら逃げていたはずのパフィンは、ふと気付くと何故か地面に一人で立ち尽くしており、男の姿を探す間もないまま人混みの波に呑まれ、流れに逆らう事もままならない内に緊急避難エリアに辿り着いていた。
「おじざぁん……アガリざぁん……うえぇええん……どこおぉ……ふぐっ、ふううぅう……」
弱々しく泣きじゃくりながら当て所なくふらふらとさまようパフィン。
前をしっかり歩いていなかったもので、通り過ぎる人達にぶつかってこけてしまいそうにもなり、それでも先ほどまで一緒にいた親しい二人を探す姿は親とはぐれた子供にも見えるが、慌ただしく動き回る人達はパフィンの小さな身体に気付く事なくどんどん通り過ぎていく。
「ひどりはやだあぁ……おいでがないでえぇぇ……うえぇええん……」
ぐずぐずと泣くパフィンはそれが徒労である事も理解できないまま足を止める事なく、喧騒の中を大好きな二人を追い探し求め続ける。
こんなにたくさん人がいるのに、顔見知りのフレンズにすら出会えない。それはパフィンにとっては耐え難いほどの孤独で、『一人ぼっちになってしまった』という現状が無慈悲なまでに突き付けられる。
「うぅ〜……ふぇ……!?」
「ふわっ!」
と、その時。真正面から歩いてきた誰かにモロにぶつかったパフィンは床に尻餅をつく。
パフィンと背丈が近いそれも同時に床に尻餅をつき、不意に互いの視線が交わる。
「パフィン?」
「ぐず……ジョフちゃん……?」
そこにいたのは、いつかパフィンと一緒に男から飴をもらったジョフことジョフロイネコだった。
互いに見知った顔である事に安堵感を覚えたのか、泣き腫らした跡こそ残っているものの先程までぼろぼろと溢れていたパフィンの涙はピタリと止まっている。
が、対するジョフもまるで先程まで泣きじゃくっていたかのように目が真っ赤に充血していた。
「……」
「……」
しばしの沈黙と同時に互いを見つめ合った後、それを先に破ったパフィンがジョフに飛び付いた。
「ジョフぢゃあ゛ぁあん!!」
「バフィい゛いン!!」
普段ならば相手が自分より大きな体格の人物であっても、照れ臭さからそれを避けていたジョフ。
しかし、今回は拒む余裕もなかったのか飛び込んできたパフィンをすんなりと受け入れ、お互いに大泣きしながら強く抱擁を交わすのであった。
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