今、会イニ行キマす
“会イニイカナキゃ。”
男は突如、視界がモノクロになっていた。
怒号や悲鳴が飛び交う会場は静寂に包まれている。
逃げ惑う人々は石像のように動かない。
腕に抱きかかえていたパフィンがいない。
“会イニ)カナキゃ。”
時間が止まった空間で、声が聞こえた。
とても聞き慣れた声。
もう二度と聞けないはずの声。
しかし、どういう訳か時折壊れた機械のように雑音が混じっている。
“ドコニイルの?”
どこか寂しげな声に男は応えようとする。
しかし、無音の空間に声が響く事はなかった。
もがくように手を伸ばす。
まるで定められた道を通るかのように男は人混みをするすると通り抜けていく。
“伝エナキャイケナイ事ガアルの。”
声の主を探すかのように、男は色のない世界を走り出す。
不思議と人混みにぶつかる事はなく、むしろ向こうから男を避けているようにも感じられた。
“イツまデモ__”
しかし、そう言いかけた声は息を詰まらせたかのように小さな悲鳴をあげる。
“待ッて__”
何かを拒絶するかのような言葉をかき消すように、声が男に語りかける。
“アナタト、ズっト一緒ニ__”
“違う__”
“イツマデモ、アナタトあノ子ト私デ__”
男が走りながら手を伸ばす。まるで目の前にソレがいるかのような錯覚に襲われ、掴み損ねまいと指に、腕に、全身に、力を込める。
“ダめ__”
“コッチに来テ__”
男は
ソレを
掴“だ め ! ! ! !”
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