あなざー休憩すとーりー

「キタキツネ、もういい加減にしなさい!」

「え〜……まだ周回終わってないのにぃ……」

「もう何時間ゲームしてるの!ゆうべお風呂上がってからずっとやり続けてるわよ!」

「それだけ時間が必要な作業なんだよ」

「もうお昼の3時過ぎよ!目がおかしくなるわ!」

「うるさいなぁ〜……あともうちょっとで終わるってば」

「ナマケモノ達にも野生解放させてまでゲームをずっとやらせて!三人とも目つきがおかしくなってるじゃない!」



「おおぉおぉおおおぉおぉおぉぉぉおお……」

「しゅーかい……しゅーかい……しゅーかい……」

「そざいよこせ……そざいよこせ……そざいよこせ……」



「何かに取り憑かれたみたいにずっとぶつぶつ呟いて……あんな恐ろしい野生解放みたことないわよ!」

「大丈夫だって。あ、フタユビナマケモノ。次はこっちのクエスト周回ね」

「あいぃいぃいいーー……」

「やめなさい!!」



「良からぬ気配を感じたから立ち寄ってみれば……この地獄絵図は何かしら?」

「あ、ごめんなさい騒がしくて……って、セイリュウ!」

「ギンギツネ。これはどういう事かしら?」

「じ、実は……____という事で……」

「……要はゲームをやめさせればいいのね。ここは一つ、キタキツネの心をへし折る必要があるわ」

「へし折る……って、一体何するつもり!?」

「安心なさい、荒事は起こさないから。彼女の得意分野はゲーム。ならばその得意分野で完膚無きまでに打ち負かすという事よ」

「……あなた、ゲームできるの?」

「ヒトがパークに戻ってきてから幾分かの余裕ができてね。並み居る強豪ゲーマー達をこの手で屠ってきたわ」

「そ、そこまで言うなら頼りにするけど……」



「……話は聞いていたかしら、キタキツネ?あなたが最も得意とするジャンルは何かしら?」

「…………格ゲーだよ」

「なら、格ゲーで勝負よ。私が勝ったらナマケモノ達を解放しなさい。もし、仮に私が負けた時は……」

「こっちのゲームの周回手伝ってね」

「…………いいでしょう。ゲーセンで鍛え上げた私のレバー捌き、あなたに見切れ__」



「はいボクの勝ち」

「う……うそ……私が編み出した追い込み立ちスクリューが、こうもあっさりと……!?」

「セイリュウ……あなた、本当にゲーム得意なの……?」

「こ、これでも上位にランクインしてるのよ!」



「セイリュウさぁ……家庭用ゲームはやらないの?」

「え?この手のゲームはゲーセンに通っていれば……」

「だからだよ」

「なっ……」

「ゲーセンでのコントローラーと家庭用でのコントローラー。その操作性の微妙な違いから来る性能差、挙動の違い、コマンド入力のしやすさ……そんな根本的な事すら理解できてないセイリュウに、最初から勝ち目はなかったんだよ」

「っ……!」

「さあ、約束だよ……オンラインゲームの素材集め、手伝ってもらうからね……?」

「おおぉおぉおおおぉおぉおぉぉぉおお……」

「しゅーかい……しゅーかい……しゅーかい……」

「そざい……そざい……そざい……」

「い、いや……やめて……来ないで……!」



「……ミユビナマケモノ。そこ終わったら今日はもういいよ」

「あいぃいぃいいーー……」

「フタユビナマケモノも、そこの素材50個ぐらい集まったら落ちていいよ」

「あぁあーーいぃいぃいいーー……」

「ナマケモノも、武器の強化済ませてから寝ていいよ」

「あいぃーー……」

「わ、私は……」

「まだ3時間しか経ってないじゃん。最低でもあと10時間は付き合ってもらうよ」

「う、うぅ……こんなのゲームじゃない……ただの流れ作業よ……ぐすっ……」

「セイリュウ……あなたまで何やってるの……」

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