おじさん、アイドルを知る①
「おめでとうございます!完食記念のPPP《ペパプ》ライブ特等席チケットです!」
パフェ地獄を乗り切った三人は膨れたお腹を押さえながらレジカウンターに向かい、店員のピーチパンサーから完食記念の賞品を受け取った。
「すっごーい!!PPPのチケットもらえちゃいましたー!」
「し、しかも特等席用の……記念プライズは一部の職員しか知らないトップシークレットとは聞かされていたけど、まさかこんな豪華なものとは……」
チケットを呆然と眺める男の後ろでは、片やパフィンはぴょんぴょん飛び跳ねて大喜びしており、片やアカリは信じられないとばかりに目を見開いてチケットを凝視していた。
が、高ぶっている二人のテンションに付いていけないのか、男は頭上に「?」が浮かび上がっているのが目視できそうなレベルでキョトンとしている。
「あ、あの……どうか、しましたか?」
それに気付いたアカリがおずおずと尋ねる。すると、男は気まずそうに笑いながらふとアカリに問いかける。
「え、えっと……ぺぱぷ?って、なんでしたっけ……?」
途端、時間が一気に凍り付く。
男の口から飛び出したその言葉にパフィンとアカリ、さらに近くを通りかかった何人かのフレンズ達は豆鉄砲でも食らったかのように唖然となり……
「え……ええぇえぇええ!!??」
「お……おじさん!!おじさぁーん!!それ本気で言ってるんですかー!?」
「あなた正気!?PPPを知らないとか過去からタイムスリップでもしてきたの!?」
「PPP知らないとかお祭り会場のど真ん中で『祭り囃子って何すか?』って言ってるようなもんだよ!!」
「鳥のフレンズに『あんた空飛べますんか?』って聞いてるようなもんやで!!」
「四神のフレンズに『どこのペットショップ出身ですか?』って聞くようなもんですぅ!!」
凍り付いた時は爆発でも起こしたかのように周囲に大声をあげさせ、思わぬバッシングの嵐に男はぐうの音も出ないままたじろぐばかりであった。
あっという間に若い女性陣に囲まれた男は周囲の熱心な解説によってPPPのアレコレを強制的に学ばせられる事となり、さらには現在売り切れ店が続出しているという新作アルバム『ペパプ・イン・ザ・スカイ!』までその手に渡る事態に(男にこれを渡したヒョウ曰く「聴かんかったらしばくであんた!」)。
嵐の如き体験はまだ終わらなかった。男はフレンズ達に半ば担がれるような形で拉致され、そのまま流れで担がれるアカリと共に揉みくちゃにされながらライブ会場まで運ばれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます