おじさん、休む⑤
それから時間は少し経ち、みずべエリアの水上カフェ。
三人は旬の限定メニュー『ひんやりうきうシャーベットパフェ・シークワーサー風味』を前に唖然とする。というのも、このパフェ……
「で……」
「でかい……」
「おぉー!おっきいパフェー!」
色とりどりのアイスや生クリームに果物がこれでもかとばかりにトッピングされまくったそれは、ヒトの赤ん坊一人分の大きさはあるのではなかろうかというサイズなのだ。
片やあまりの大きさに絶句する大人二人。その真ん中では、お菓子が大好きな子供一人がその豪勢なトッピングに瞳を輝かせていた。
「……これ、食べ切れますかね……?」
「PPPライブの開催記念メニュー。食べ切った人には特別な特典があると聞いていたのでつい頼んじゃいましたが……」
「いっただっきまーす!」
あまりの大きさに呆然とする二人をよそに、パフィンはスプーンを手にパフェを頬張り始める。
しばらく呆気に取られていた二人は、ふと手を止めたパフィンに裾をつままれる。
「何してるんですかー?ふたりも食べましょーよー!」
不満げにスプーンを口にくわえるパフィンの声で我に返った二人は顔を合わせて苦笑いを浮かべ、続くようにスプーンを手に取る。
「……まあ、三人がかりでなら……」
「大丈夫ですよね?」
超ジャンボサイズと言えど大人二人とフレンズ一人の胃袋。まあ大丈夫だろうと高を括っていた。
〜〜〜〜〜〜
「……ふぅー……」
「……予想以上の量です……」
「ぐ、ぐるじぃでず……」
それから半時間後。
三人は溶けかかったパフェに未だ苦戦しており、あれだけパフェに喜んでいたパフィンは丸々と膨らんだお腹を押さえて真っ先にリタイアしてしまっていた。
アカリはかなりのスローペースでスプーンを進めており、男もアカリと比べて少し早めのペースで溶けかかったアイスの部分を攻略していく。
「……も、もう……無理……」
「おじざんがんばっで……」
ついにアカリもリタイアした。苦しそうに呻く二人に恨めしげな表情を浮かべる事もなく、男は苦しげにため息をつきながらも少しずつアイスを崩していき、残り僅かとなった果物も踏破していく。
〜〜〜〜〜〜
「……むっぐ……!」
「お、おぉ……ついに……!」
「おじさん……すっごーい!げぷっ」
パフェとの格闘から約一時間。男は半分溶けていたシャーベットを完食し、その長く辛い戦いにようやく勝利した。
リタイアしていたアカリは苦しげにお腹をさすりながらも、どっかりと椅子にもたれこむ男の健闘を讃えて店員を呼び、パフィンは男の側にやって来てぶんぶんと腕を揺らす。
「おじさんすごーい!全部食べちゃいましたー!けぷっ」
「パ、パフィンちゃ……や、やめ……ぐふっ……」
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