タビーの災難⑧
「確かこの辺に……」
「もっと奥じゃありませんでした?」
「……あ、いたいた!」
茂みの中から聞こえてきた話し声はどんどん大きくなり、次第に無数の人だかりが現れる。
それはタスマニアデビルを数々の不幸に陥れたアンラッキー・サンドスターの影響で意図的ではなかったものの(一部例外はあったが)、彼女を散々な目に遭わせてしまったフレンズ達だった。
「話はダチョウからぜんぶ聞いたのだ……おそうじのジャマをしてごめんなさいなのだ……」
タスマニアデビルの前にぞろぞろと集まるフレンズ達の多数は申し訳なさそうな表情を浮かべており、その中からアライグマが頭を下げながら謝罪したのを皮切りに続々と謝罪の言葉を並べていく。
「ごめんよぉ」
「ごめんなしゃい……」
「気付かなかったとは言え、ほんとごめんね」
「私は謝って許されるとは思わん!かくなる上はここで腹を切って……」
「おやめくださいヘラジカ様!」
「いやーすまなんだ。お詫びの酒を持ってこようとしたが四神どもにこっぴどく叱られて没収されたわ」
それを聞かされ面食らったように固まるタスマニアデビルを、オーストラリアデビルが未だ座り込んでいる彼女を抱き上げ立ち上がらせる。
戸惑うように見つめると促すように笑い返すオーストラリアデビルに、タスマニアデビルは困惑しながらも周りのフレンズ達に向き直る。
すると、今まで正座をしていたカマイタチやパフィンもその中に加わるようにやって来て改めて頭を下げた。
「お、おそうじ道具こわしちゃってごめんなさい!」
「いえ、今回の件は完全に私達に非があります。今度、改めてお詫びをさせてください」
「ほ、本当にすまなかった……」
「賠償サービスでお薬を余分に渡しとくよん」
「え?あ、う、うん……」
手厳しい扱いから一転して周りが優しくしてくる現状に未だ戸惑いを隠せないタスマニアデビルだが、少し黙り込んだ後に今一度周りへ向き直る。
「…………手伝え」
ぼそりと呟くタスマニアデビルに周りはよく聞こえなかったようで、顔を近づけたり耳を傾けたりする。
すると、今度は先程の狂った絶叫ほどではないが大声を張り上げ、フレンズ達は思わず耳を塞いだり驚愕に目を見開いた。
「ここの掃除を手伝えぇ!!それで許してやるって言ってんだああーー!!」
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