タビーの災難⑤
それから少しした後。
さすがに違和感を覚えたカマイチが報告書を再度確認するよう促した所、文末に以下の内容が紙の裏側にホッチキスで留められぶら下がった状態で記されていた。
『尚、監視カメラによる記録ではこれらの報告に齟齬が発生している事が判明している為、本人には念の為の事実確認だけで済ませるように。』
〜〜〜〜
そして、今に至る。
ちなみにパフィンが何故あのような奇抜な登場の仕方をしたのかと言うと、疾風忍者隊が来るよりも少し前、タスマニアデビルが巻き込まれた突然の暴風に彼女も巻き込まれていたからだ。
空中で嵐に巻き込まれたパフィンは飛行能力の制御を失い、無茶苦茶に飛び回りながら地面に落下していった__というのが顛末だった。
そして目の前に広がる惨状の原因をカマミツから聞かされ、四人揃ってタスマニアデビルの前で正座をする羽目になったのだ。
「ほ、本当にすまなかった……」
「わ、私達の完全な確認ミスです……」
「ほら、傷治してあげるから……」
「ぅ゛う゛う゛ーーーー!!!!ふ゛く゛う゛う゛う゛ーーーー!!!!」
それから疾風忍者隊がどれだけ謝罪をしようにも、タスマニアデビルは怒りと悲しみで完全に我を失っており、唸り声にも似た絶叫と共に涙と鼻水をまき散らしながら破壊された箒とちりとりを乱雑に投げ飛ばす、近くのゴミの山を掴み上げてはパフィンやカマイタチらに投げつけるといった無差別攻撃にまで出る始末で、とてもじゃないが手に負えない状態に陥ってしまっていた。
「タ、タビーちゃん落ちつきましょー!話せばわかります!ほら、パフィンちゃんがオヤツに食べようと思ってたジャパリチョコですよー!」
「<$☆@%〒&◆あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛〜〜〜〜!!!!」
「ど、どうする……これじゃまともに話もできんぞ……」
「こんなに暴れられちゃ傷も治せないよん……」
「と、とにかく落ち着くのを待ちましょう……今はそれしか……」
悪党をこらしめる事に関してはプロフェッショナルな疾風忍者隊も、癇癪を起こしたフレンズ相手には成す術もなかった。
パフィンの説得にすら聞く耳を持たず、進退窮まり自分達も泣きたくなってきたその時だった。
「何とも禍々しい運気の流れが生じる場所……やはり大元の原因はここにありましたか」
「あー、これは手遅れだったみたいだねー」
「タ、タビーちゃん!!」
タスマニアデビルの絶叫を聞いて慌てて駆け付けたオーストラリアデビル、そしてコモドドラゴンに追い回されていたアライグマをマイペースに探していたフェネック、加えて道中で二人と遭遇した黒いドレスのような服に身を包み手に金色の卵を持ったフレンズ、ダチョウが一行の元に現れた。
オーストラリアデビルとダチョウの進む先は偶然なのか一緒だったようで、そのまま同じ道を進んでいた。
一番最後に合流したフェネックは元々違う方向に行くつもりだったのだが、アライグマとコモドドラゴンの件がダチョウの探している『恐ろしい何か』に関与している可能性がある事を聞いて何か思うところがあったらしく、二人に付いてきたのだ。
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