タビーの災難③
流石にこれは聞き捨てならない。散々巻き込まれた挙句に悪者扱いされるなんてたまったもんじゃない。
一気に眉間にシワが寄るタスマニアデビルが抗議しようとした時、三人の姿がどこにも見当たらない。
「お前らいい加減に…………あれ?」
辺りには何事もなかったかのように静寂が訪れ、ポツリと残されたタスマニアデビルは呆気にとられたように立ち尽くす。
刹那、凄まじい突風が背後から吹き荒れる。
「ひっ!?」
否、それは自然的に発生する突風ではなかった。
姿を消したと思われたカマイタチは姿が見えない程に周囲を高速で飛び回っており、あまりの速さに風を切る音すら聞こえなかったのだ。
「さあさ、一番手は天地逆転!」
「うわあ!?」
不自然なまでに無音と化した空間から突如として現れたカマイチがタスマニアデビルの足元を駆け抜けた事で、立つ事すらままならない程に強烈な突風が発生したのだ。
「二番手は快刀乱麻!」
「あぎゃあああ!?」
あっという間に姿が見えなくなったカマイチの声だけが聞こえた次の瞬間、今度は全身に小さな針を突き立てられたかのような痛みが走る。
カマイチを追うように現れたカマジが、その手に持った身の丈程もある大きな鎌をすれ違いざまに振るう事で、タスマニアデビルの全身を一瞬で何度も斬りつけたのだ。
痛みに悲鳴をあげるタスマニアデビルが自分の身体を見ると、いつ付けられたのか無数の切り傷が全身に刻まれているではないか。
出血こそなかったものの、全身を駆け巡る痛みは耐え難い程に強烈なもので、同時に自分の命が危ないという危険信号が凄まじい恐怖を呼び起こす。
「さてさて、三番手は活殺自在なんだけどぉ……」
「ひ、ひいぃ……!」
「命までは取らないよん。ボクらの役目はあくまでオシオキだからね」
悲鳴をあげるタスマニアデビルの元に現れたのは、黄色のカマイタチ『カマミツ』だった。
手には小さな箱を持っており、それをタスマニアデビルの目の前で小さく揺らめかせている。
「正直に全部白状したら、その傷治してあげるよん。でも、まだシラを切るなら……」
「し、知らない……!何にも知らないのにぃ……!」
「……なかなか強情な子だよん。カマイチ、カマジ。もうちょっとオシオキして__」
「____ぁぁぁああーーーー!!!!」
と、カマミツが鋭い目付きでタスマニアデビルを睨み付けた時だった。
不意に上空から悲鳴のような声が聞こえてきて、三人はその声がする上空へと視線を移す。
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