タビーの災難①

まず、一つ目の災難は間もなくして訪れた。


「オイッ!オイッ!オーレッ!」

「おいコラアァァ!!ゴミの上で踊るなあぁ!!」


開けた空間に派手な色をした鳥のフレンズが降り立った。

その鳥のフレンズ、コンゴウインコは見ているこちらまでもが熱く滾るような情熱的なダンスを披露してくれた。

……が、場所とタイミングがあまりにも悪かった。

彼女が踊っている所は、タスマニアデビルが一ヶ所にまとめ上げたゴミの上だったのだ。


「そうは言っても体が止まらないよー!」

「うわあああやめろおおおおお!!」


血湧き肉躍る激しいダンスだったのが災いし、せっかく一ヶ所に集めたゴミはほとんどあちこちに散らかってしまったのであった。


「こんにゃろー!!てめー許さんぞー!!」

「きゃああ!?フォイセンケリェー!!」


掃除の邪魔をされ怒り心頭のタスマニアデビルは、箒を振り回しながらコンゴウインコに飛びかかる。

そして突然の攻撃に驚いたコンゴウインコはどこかの国の言葉だろうか、奇妙な悲鳴をあげながら空の彼方へ逃げていった。


「はぁ、はぁ……くっそー!やり直しじゃねえかよ!!」


コンゴウインコに当てようとして外し地面に叩きつけた箒がトドメとなり、辺り一面に再び散乱してしまったゴミを見て悪態を吐きながらも、このままにもしておけないタスマニアデビルは再び掃除を始める。


……が、ゴミを半分ほど集め終わった頃、二つ目の災難はまるで狙いを定めたかのごとく襲いかかってきた。


「ふぅ……ようやく半分か……」

「____ぇぇええ〜〜〜〜!!」

「ん?」


ふと、遠くから間の抜けたかのような悲鳴が聞こえてきて、タスマニアデビルがその方向へと振り向いた瞬間だった。


「ぎゃん!?」


猛スピードで突進してきたそれに勢いよく弾き飛ばされたタスマニアデビルが尻餅をついた時、今度は遠くから不気味な笑い声が聞こえてくるではないか。


「うふふふ、うふふふふふふ……!」

「ごめんなさいなのだ!ごめんなさいなのだ〜〜!!」


空間内をドタバタと走り回るそのフレンズ、アライグマは、瞳を妖しく輝かせながら猛スピードで迫り来るコモドドラゴンから涙目で逃げ回り続けていた。


「アライグマ、お待ちになって〜!頑丈なあなただからこそ頼みたい事なんですのよ〜!」

「イヤなのだ〜!もう苦いおくすりは飲みたくないのだ〜!!」

「複合毒の血清を作る実験から生まれた超活力剤、名付けて『ヤマタノ・ゴリラ』!元々活発なあなたが投与したらどれだけ効果が増強されるのか知りたいんですのよぉ〜!」

「イ〜ヤ〜な〜の〜だ〜〜!!」


結局、嵐の如き追いかけっこを繰り広げる二人がその場からいなくなった頃には、集めたゴミが再び散乱状態に。

追いかけっこの中で何度か二人に踏んだり蹴ったりともみくちゃにされたタスマニアデビルは、近くの木の枝を支えによろよろと立ち上がる。


「う、うぅ……俺が……何したって言うんだよぉ……」

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