パフィンちゃん、待つ①

翌朝。


朝日が顔を出して少しした頃、海岸近くにある平たい石が積み重なった上で眠っていたパフィンは大きく伸びをしながら欠伸をし、羽根をブルルと震わせると大きく飛び上がり、近くを歩いていたゴリラの目の前に降り立つ。


「おはよーございまーす!」

「……おう、何だこら」


パッチリと目を開いているパフィンとは対照的に、まだ少し眠たそうに目を半分開いているゴリラが気だるげに向き直る。


「ゴリラさんはやいですね!どこかに行くんですかー?」

「……腹減ったからジャパリまん持ってるボス探してんだよ。文句あっか」

「あ!じゃあパフィンちゃんも一緒に行きたいでーす!」

「……来るならこっちだ、おら」


尾羽を小刻みに振るパフィンは、のそのそと歩くゴリラの周りを飛び交いながら後を付いていく。

しばらく海沿いの道を進んでいると、ジャパリまんが入ったカゴを頭に乗せているラッキービーストが歩いているのが見え、ゴリラよりもそれを先に見つけたパフィンが上空から猛スピードでラッキービーストの前に降下する。


「ボスうぅーー!!そのジャパリまんくださーーい!!」

「ア、アワワ、アワワワワ……」


急降下した時の風圧で転倒しかけるラッキービーストが甲高い警告音を鳴り響かせるのもお構いなしにパフィンがジャパリまんを手に取ろうとするが、直後に頭に鈍い痛みが走ると共に目の前で星が飛び散った。


「あいたぁ!?」

「壊す気かこら」

「あうぅ……殴るなんてヒドイですぅ……」


右拳を力強く握りしめるゴリラが、見事なまでに出来上がったたんこぶを押さえて涙目になるパフィンをため息混じりに見下ろす。

その横で警告音が小さくなっていくラッキービーストを一瞥すると、握り拳をほどいてジャパリまんを二つ手に取る。


「……おら、お前の分」

「わーいジャパリまーん!」


ゴリラから渡されたジャパリまんを手に取るパフィンは頭の痛みをあっという間に忘れてしまったのか、二人揃って近くの木のベンチに座りながらジャパリまんを頬張るのであった。


それからしばらくして、ジャパリまんを食べ終わった二人がしばらくベンチでくつろいでいた時。突然何かに突き動かされたようにパフィンがベンチからヒョイと飛び立つ。


「おう、どっか行くのか」

「ガイドさんの所にいきまーす!」

「……そうか。気ぃ付けて行けよ、こら」


ガイドに一体何の用だろうか。疑問に感じながらも特に気に留める事をしなかったゴリラは、海とは反対方向にある森林の方へ高速で飛び去っていくパフィンを見送った後、大きな欠伸をしてベンチにごろりと寝転がる。


「……眠てぇな、ちきしょう。早起きしすぎた」


誰に言うともなくぼそりと呟いたゴリラは、先程ジャパリまんを持っていたラッキービーストが砂浜付近を歩いているのを横目に、ゆっくりとまどろみの中へと落ちていった。

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