プロローグ2:ジャパリパークのパフィンちゃん

「そのお菓子くださーい!」

「……ぁあ?」


少し赤みを帯び始めた午後の日差しが眩しい砂浜。

そこより少し奥にある草むらにいた、鼻に小さな絆創膏を貼った黒く毛むくじゃらな腕の女の子が、声の方へとゆっくり振り向く。


声の方角は頭の上。いや、正確には斜め上の前方であった。

元気な声と共に空の向こうから落ちてきた、いや飛んできたのは、白黒の服に髪の一部分が奇妙な模様に見える小柄な女の子だった。


彼女らはアニマルガールこと『フレンズ』と呼ばれる存在で、ヒトではない生き物達がとある物質を浴びる事でヒトに近い姿を得たと言われている。


「ゴリラさんゴリラさん!それ何食べてるんですか!?」

「……食いてぇならやるよ、おら」


ゴリラと呼ばれた毛むくじゃらの女の子は、手に持っている小さな袋を小柄な女の子へ少しぶっきらぼうに突き出す。

それを見た小柄な女の子は目を輝かせ、甲高い悲鳴にも似た声をあげる。


「ほあぁぁああぁあ!!」


ゴリラから袋を受け取った女の子は、まるで宝物を手に入れたと言わんばかりに袋を両手で抱きしめる。


「……そんなに食いたかったのか」

「モチロンです!だってこのジャパリチップス、期間限定のホタテバター醤油味ですよぉ!どこも売り切れてて全然手に入らなくてぇ!!」


髪の一部分を羽ばたかせ半ば身体を浮かせながらまくし立てるように話す女の子にゴリラは若干圧倒されつつも、女の子の両肩を掴んで地面に下ろす。


「落ち着け、こら」

「えへへ……じゃー期間限定のジャパリチップス、パフィンちゃんがいただいちゃいまーす!ゴリラさんも一緒に食べましょー!」


地面に降ろされた女の子、パフィンは、ジャパリチップスと呼んだそのお菓子の袋に意気揚々と手をかける____。

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