おじさんとパフィンちゃん
楽々
プロローグ1:作業員のおじさん
「オ疲レ様。荷物ハソコノコンベアニ乗セテネ」
「分かりました」
大型トラックから工場へと運び出した段ボールを、小さなロボットの指示でゆっくりと流れるコンベアの上へ乗せていく。
開いているのか少し分かりにくい細い目付きにどこか気疲れしたような雰囲気を漂わせるゴツゴツとした感じの顔付きの男は、少しばかりヨレ付いた作業着と薄汚れた軍手を身に付けている。
男は全ての段ボールを手際よくコンベアへ乗せると、『ラッキービースト』と呼ばれている青く小さなボディのロボットの案内で、工場の隣にある小屋へと歩いていく。
小屋の前に立つと、絵本や映画に出てくる探検家のような格好をした女性が扉の向こうから姿を現わす。
「こんにちは。暑い中ご苦労様です」
「何の何の。冷房が効いた車の中にいる分、ガイドさん達よりも楽な仕事ですよ」
『ガイドさん』と呼ばれた女性と気さくに会話を交える男は、懐から取り出した紙を女性に手渡す。
ガイドが胸ポケットから取り出したペンを紙の上で走らせた後、男は紙を受け取りほんの少し世間話をしてから小屋を後にする。
「うっし……」
トラックに乗り込んだ男は気合いを入れるように一言呻ると、工場の向かい側にあるアスファルトの道へとトラックをゆっくりと発進させる。
少しばかり赤みを帯び始めた午後の光の眩しさに吸い込まれていくようにトラックは道路の向こう側へと走り去っていき、工場の出入口へと戻ってきたラッキービーストはそれをジッと見つめ続けていた。
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