第55話 ボーノ男爵
全員で串を食べながら話しをする。
「シシリー、悪いがもう暫く両親に会うのを待ってくれ。」
シシリー「わかりました」
「暫くはナーミは変幻を使い、情報収集。」
ナーミ「はい。」
「リーリア、サン、テッサは俺と討伐クエストを行う。」
3人「はい。」
「レレイ、レーナ、サーナ、シシリーは町娘の格好で、適当に過ごしててくれ。」
夕方まで話しをして、一人でギルドへ向かう。
受付嬢「こんばんわ、クーヤンこちらへどうぞ」
ギルドへ入った瞬間、カウンターへ案内された。
受付嬢「ボーノ男爵から依頼許可を頂きました。ただしランクD冒険者じゃないので、報酬は一銀貨じゃなく70銅貨になります。」
「構わない。」
受付嬢「それでは、明日の朝一ここへ行って下さい」
「はい。」
ボーノ男爵の屋敷の地図を渡され、ボーノ男爵は平民、貴族更には奴隷に対しても、優しい方ですが、くれぐれも粗相がないよう念押しされた。
翌朝、ボーノ男爵の屋敷の前へ来ている。
門前に警備兵がいなく、中に入っていいものか悩んでいる時に
見回り兵「そこの怪しい奴何をしている」
「ギルドの依頼で来たのですが、警備兵がいないため、どうしたら良いか困っているのです。」
見回り兵「なるほど、少し待っていろ。」
一人の兵が中へ入り、もう一人の兵から話しを聞いた。どうやら、警備兵を雇っていないようだ。少しして一人の少女を連れて戻ってきた。
警備兵「おい、お前、このメイドにギルドカードと依頼の物を見せろ」
言われるままに見せた。
メイド「間違いありません。」
その言葉を聞いて、警備兵はその場から立ち去ってゆく。
「ありがとうございました。」
メイド「すいません。私が門前で待つ予定でしたが、」
「気にしてない。」
メイド「それでは、ボーノ様も屋敷の中へお待ちしてます。」
素朴で可愛いメイドに連れられ屋敷へ向かう。部屋へ案内され、メイドは別の部屋へ
「初めまして、Eランク冒険者のクーヤンと申します。」
ボーノ男爵「うむ。ボーノ・リーだ。まずは座ってくれ。」
「失礼します。」
ボーノ男爵「そう固くならなくてよい。見ての通り落ちぶれの貴族だ。」
コンコン、ドアが開くと、四つのカップを持ってきたメイドが入ってきた。
メイド「失礼します。ハーブティーをお持ちしました。」
ボーノ男爵「うむ。息子を連れてきてくれ」
メイド「かしこまりました。」
ボーノ男爵「クーヤンはEランク冒険者だが、実際はどれ程の腕前があるんだ?」
「私自身Dランク冒険者程ですが、仲間、奴隷にはAランク冒険者にも負けない腕を持っている者もいます。」
ボーノ男爵「その者に稽古をつけさせるのかな?」
「その前に一つ聞かせて下さい。息子を冒険者にするのですか?」
ボーノ男爵「なぜそう思う。」
「冒険者の戦い方は魔物を倒す為の物、その為、対人戦なら道場などに通わせた方が良いと思ったからです。」
ボーノ男爵「なるほど、単純に通わせてあげるお金がうちにはないのだよ。それに、私の代で潰れたら冒険者へなるかもしれないからな。」
コンコン、息子を連れたメイドが戻ってきた。
メイド「イウ様をお連れしました。」
「初めまして、冒険者をしてます。クーヤンです。」
イウ「初めまして、ボーノ・イウです。」
揃った所で、一息つくためにハーブティーを飲む。自然と美味いと呟く。
ボーノ男爵「そうだろ。ユイが作ったハーブティーは私が屋敷の自慢だ。」
メイドが嬉しそうな顔をした。どうやらメイドはユイと言うようだ。
ボーノ男爵「さて、息子も来たことだし、稽古をお願いしたいのだが」
「かしこまりました。冒険者になれるようとの事ですので、討伐クエストを受けながら実際に連れて行っても良いですか?」
ボーノ男爵「構わない。」
メイド「お待ちください。旦那様」
ボーノ男爵「心配ならお前もついて行くとよい。」
そのまま、一礼してメイドとイウを連れて行く。
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