6話







「 はい、僕の連絡先です 」


「 ありがとう

  ・・・えっと・・・ 」


「 心意です。

  貴方は・・・ 」








「 ・・・ 」






目が醒めて、現状の異常を目の当たりにして。

自身の身の危険である事も把握して。

活動を始めるには

自分を助けてくれた人。

要するに、同じく仲間である俺たちとの

交流は持っておきたい。

然し、周囲からは何がされるか分からない。

自分一人で、如何に穏便且つ

確実に、俺たちと会うとしたら

こういった方法しかなかったという事は

誠は分かってはいる。


ただ、あの時、咄嗟に動けなかった自分に情けなさを感じていて

其処から生まれた蟠りが

彼をピリピリとさせていたのだ。


誠は、加速した警戒心を剥き出しにして

あえて、睨み付ける態度を取りながら

話を聞いていた。








「 横島です。

  横島輝義。 」


「 輝義さんですか。

  よろしくお願い致しますね。 」


にぱ!。

うわ、まぶし。


「 うん、よろしくね。 」




「 ああ、それと・・・、君の連絡先も・・・ 」


「 俺は、ついでかよ 」








交換しました。







「 それじゃあ・・・、僕はこの辺で。 」


「 もう行っちゃうんですか!?

  もう少し、ゆっくりしていっても・・・ 」


「 いや、これから仕事なんだ。

  アニメアプリのラジオの打ち合わせがあってさ。 」


「 ああ・・・、なるほど。

  行ってらっしゃいませ。 」


「 ・・・それと、くれぐれもお気をつけて 」


「 ああ、分かってる。

  行って来ます。 」









輝義は、家を出ると

仕事場へと去って行った。









「 ったく、本当、失礼な奴だな 」


「 でも、優しい人でしたね 」


「 ・・・まぁな 」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る