オタクと、声優

1話




























































「 腹減っだああああ、心意こころぉ・・・。

  御飯!、御飯ッ!!!。 」


「 はいはい、今、よそってますから

  ちょっと待っててくださいね。 」








背後。テーブルの上でナイフとフォークを両手に握りしめ

小動物染みた表情を浮かべながら

空腹の告白。基、朝飯の催促をしている青年の名は

北丘キタオカ マコト

まだまだ新人の人気作曲家である。

ゲーム関係のBGM等を手掛けているので

其方方向の知識を持っている人たちの中では

それなりに話題に上がるくらいの実力を持っている。




「 涎垂れてます。

  はしたないですよ。 」


「 あ、ご、ごめん・・・!

  つい・・・!。 」








一方、丹精込めて作った食事を並べながら

空腹の余り、溢れ出る食欲を抑えきれず

涎を垂らしかけている誠を叱っている

男の娘!ショタ!というには、難しいが

小さく華奢・・・

というより、細い体格をした少年の名は

心意ココロ』。

戸籍や様々な理由から、苗字は無いが

名前は付いている。





両者。席に着いた所を見計らえば

双方、両手の平を合わせ。


『 いただきます! 』


と、誓いの言葉を告げ

箸を持って食べ始める。




トマトスープに、冷ややっこ。

シーザーサラダ。

和風ハンバーグ。

味噌汁。。。等々。


ほかほかと香りを広げる白飯と共に頬張って。






「 うん・・・、今日も美味い!

  あったかぁい・・・ 」


「 へへっ、ありがとうございます。 」




誠の幸せそうな姿に笑顔を浮かべては

自身も食事を勧めて。





「 ・・・ん、美味しい・・・

  出来は悪くないですね。 」




トマトスープは、もう少しレモンとか

バジルとか付け足してみても良かったかも。

和風ハンバーグの方は、豆腐を混ぜた方が

もっと美味しくなるかな・・・。


等と、新たな構想を練りながら

食事片手に、そのアイデアをメモ帳に書き記す。






「 今日は、ブレイブワークスに行く。 」


「 ブレイブワークスって、この前も行ってた

  確か・・・、アニメ制作会社でしたよね?。 」


「 ん、その通り!。 」




「 一緒に来いよ。 」


「 え・・・!?

  い、良いんですか!? 」


「 おう!


  ・・・てか、当たり前だろ? 」


「 ・・・ありがとうございます! 」



「 おう、それじゃあ

  飯食ったら、着替えてすぐ出ようぜ。 」


「 了解です。 」






今日の一先ず予定を決めた後

心意は、根を入れて勢いよく食事を口へと掻き込む。

ごくりと喉を鳴らし、飲み込んで。









( 良い食いっぷりだなぁー )







誠は、少年の活き活きとしたその様を見つめながら

ふと、そう笑みを零すのだった。













食事も済ませ、皿洗いも終えて。

適当な服に着替えて。

ただ、この適当な服っていうのも

着たいって思ったもので。

すっごい、着たいっていう訳じゃないけど

だけど


うん。


誰かに希望を与えられるような

そんな。

そんな心を込めたチョイスは

出来てる。









「 誠さん! 御着替え終わりましたか? 」



「 おう!、大丈夫だぞ・・・・って。


「 ・・・お前・・・ 」



「 ? 」




相変わらずの、なんていうか。

似合わない服を着た少年の姿を見て

改めて、渋そうな顔を浮かべる誠。




「 お前・・・、いつも

  その服着てるよな。 」


「 いや・・・、でも

  他に服無いですし・・・ 」


「 あぁー・・・、そういや

  上着と薄着とズボン一式

  二つずつだけなんだったっけか。 」




「 んー・・・

  今度、買いに行くか! 」


「 えっ・・・!

  ・・・あ・・・ 」




謙遜しようとした彼も

流石に純粋な、活き活きとした彼の表情には打ち勝てず。




「 ・・・はい! 」




根負けした様な

それでも、悲しさのない笑顔を

返事と共に返して。









「 ん・・・!

  そんじゃ、行くか! 」






「 はい! 」





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