後ろに
ふと散歩に出た。
家の近所のゴミ捨て場にカラスが居た。
カラスは鳴いた。
「後ろに」
そう聞こえた。僕は首を傾げ散歩を続けた。
商店街の雑貨屋の店先に猫が座っていた。
猫は喉を鳴らした。
「ぞろぞろと」
僕はたじろぎ、急いでその場を後にした。
公園のベンチの後ろには犬が寝転んでいた。
犬は吠えた。
「付いてきている」
僕は駆け出した。
自宅の前にはお婆ちゃんが立っていた。
お婆ちゃんは息を切らした僕の後ろを指さして笑いながらこう言った。
「それはなあに?」
そして僕は思い出した。
僕の家に祖母など居ない。
(了)
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