アフターV 間章:成長したアインとその周囲のこと

久しぶりに見た夢。

 楽園の長は竜人の少女を見上げ、震える腕を伸ばした。

 蹲り、そして全身から鮮血を迸らせながらも。



 今の今までこの楽園で最強を誇っていた自身の意地により、年老いた彼は怒気を滾らせて、歩きはじめた少女の足首を掴んだ。



「氏族を裏切るか、炎竜姫」



 少女は足を止め、その声に耳を傾けた。

 すると、少女の頬を熱風が撫でる。里の外からは美しい自然が評判だったこの楽園も、今は少女の炎に包まれて見る影もない。



「この地に生を受けた我らは、この地で死することが務めなり……ッ! この地を守ることを良しとせん振る舞いは、傲慢の極みであると知れ……ッ!」


「――――そのためであれば、ここを出ようとした儂を封印しようと考えてもよいのか?」


「それが我ら楽園の…………数万年に及ぶ不変の理のためであるならば…………ッ」


「そのためならば、儂の四肢を裂き、跡継ぎを生むための器になれと。長はそう言っておるのだな?」


「さすれば我ら楽園のため……ッ! 永久につづく安寧のため……ッ!」



 少女は頬に涙を伝わせ、かぶりを振って涙を散らす。

 つぎに片手を点に掲げると。



「お別れじゃ――――父上」



 容赦のない火柱が、今度こそ。

 楽園と呼ばれていた竜人の里は業火に包み込まれ、すべての存在を灰燼へと喫した。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 少女は楽園に生まれた竜人にしては珍しく、里の外に興味を持つ竜人だった。

 これまでも里の外に興味を持つ者はいたものの、ほとんどは幼い頃だけの話で、その他の者たちも楽園の掟に従い、外に出ることを諦める。

 そのため、少女のように諦めない存在はこれまで一人も存在していない。



 ――――少女は今、とある中立都市に居た。



 ようやっとたどり着いたその先には、見たことがない光景が広がっていた。

 楽園を出てからはや半年と数十日が過ぎていたが、ようやく、噂に聞いていた外の世界に触れられていた。



「こちらにお名前を」



 足を運んだのはギルドと呼ばれる、世界中にまたがる中立組織だった。

 ギルドに行けば仕事がある。

 彼らは世界中の情報を手にしていると同時に、世界中で仕事のあっせんもしている側面もあるのだ――――という、少女が幼い頃に楽園で見た本の情報を頼りにして、住民に聞きギルドに足を運んでいたのだ。



「共通語は書けん。言葉にするのも精いっぱいなんじゃ」


「ご安心くださいませ。よほどマイノリティな言語でない限り、基本的に問題はございません。お客様のご利用になっていた言語はどちらのものですか?」


「…………竜言語」


「おや、随分と珍しい」


「それで、よいのか駄目なのか」


「失礼しました。竜言語であれば問題はございません」



 少女はすぐに文字を書きはじめた。

 文字を書く経験は少なかったせいか、書かれた文字は拙い。

 じっと見ていたギルド職員の視線に羞恥心を覚えてしまうが、こんなところで気落ちしていたはどうしようもない。

 なんとか思い出すようにして記入すると、少女は少し誇らしそうに、鼻息荒く「これでよいか」と言い放つ。



「お名前はセラ、でお間違いありませんね?」


「ああ」


「では登録料は――――」「これを」「――――これまた珍しい。もうずいぶんと昔に更新された共通貨ではありませんか」


「で、どうなんじゃ」


「構いませんよ。特に使えないというものでもございませんので」



 セラは少し苛立ちはじめていた。

 大丈夫ならさっさと話を進めろと思っていたのだ。



「こちらがセラ様のステータスカードでございます。無くされないようお気を付け下さい」


「無くしてしまったらどうなるんじゃ?」


「再発行に手数料がかかります」


「それだけか」


「はい。ただ、無くされたステータスカードを誰かに見られてしまい、その情報からセラ様の何かが看破されてしまうこともございます。こちらはギルドが関与する問題ではございませんが、依頼という形で、情報を知った方への働きかけは可能でございます」


「…………ほうか」



 セラは話が一段落したところでステータスカードに目を向けた。



 ――――――

 セラ


 ランク:F


[ジョブ]炎竜姫


[体 力]42904


[魔 力]71379


[攻撃力]31784


[防御力]19230


[敏捷性]67772 


[スキル]炎竜姫

 ――――――



 はじめて見たステータスカードは新鮮だった。記載された数字がどれほどのものかは分からなかったが、とにかく新鮮で面白かった。



「生活していくために金が欲しい。どうすれば稼げる?」


「危険を伴いますが、基本的には魔物の討伐や魔物の素材収集の依頼など……他には希少な鉱石の採集などがよろしいかと」


「わかった。では適当に仕事を見繕ってくれぬか」


「いえ、出来ません」



 額に青筋が浮かびそうになったセラは必死にこらえ、作り笑いを浮かべて尋ねる。



「何故じゃ?」


「セラ様のランクが足りないため、危険を伴う依頼はまだ受注できないのです」


「ではどうすればいい!」


「Fランクで受注可能な依頼からお願いします。連続で100回成功した暁には、Eランクへ昇級致します」


「また面倒な……。それで、ランクがいくつになれば討伐依頼を受注できるんじゃ」


「最低でもDランクからでございます」


「EからDへは何をどうすればよい」


「Eランクの依頼を200回、連続達成でございます」



 項垂れそうになったが、これが決まりなら仕方ない。

 強いられた決まりであれば反抗の余地があるとしても、ギルドで仕事を受けることに決めたのはセラ自身である。そして、外の世界で自由に生きたいと願ったのもセラだから、こうした決まりに文句をつけたところでお門違いなのだ。



「依頼は掲示板からお選びください。なお、この仕事をしたいという連絡は基本的に不要でございます。必要なのはBやAなどの、上級の方々向けのものですから」


「おうおう……わかったともさ」



 セラは重い足取りのまま掲示板に向かっていった。

 そこには獣のような姿をした人間や、普通の人間に加え、爬虫類を思わせる人種も居た。こうした外の光景を見ることもセラの楽しみだったが、残念なことに今はあまり気が向かない。さっさと仕事を見付けて、これからのことを考えなければならなかった。



「西の山に行こうぜ」


「ああ。道中で薬草をむしってくれば小遣いにもなる。あの山には群生地が山ほどあるからな」



 質の良さそうな装備をした冒険者たちの声を聞きながら、セラはFランクでも受けられる依頼を探し出す。



 あったのは迷子のペットを探してほしい、だったり。

 家の掃除を手伝ってほしい、だったり。

 小屋を立て直したいから力を貸してくれ……といった、何とも言えない依頼ばかりだった。



 だが、その中でも気になった依頼がある。

 それは薬草の収集で、必要数は問わないとある。

 何度でも受注していいようで、必要数を持ってきてくれたら一回分の達成報酬を渡す、と記載があったのだ。

 それを見たセラはハッとして受付の前へ戻っていく。



「薬草を百回分持ってきたらそれで昇級できるのか!?」


「可能です。しかし町の周囲で百回分も採集するのは大変かと」


「む、むむ……では……」



 ここで思い出したのは、先ほどの冒険者たちの言葉だ。



「西の山とやらには群生地があると聞く。そこで採集してきてもよいのじゃな?」


「問題ありませんが……西の山にはCランク相当の魔物も――――」


「よーし分かったッ! 待っておれ! すぐに持ってきてやるさなッ!」



 こうして、セラは冒険者として第一歩を踏み出した。

 西の山までは徒歩で数日。しかしセラはたった一日で町に戻り、ギルド中を驚かせた。

 彼女は数百回分の達成報酬を受け取ると同時に、西の山に住まう魔物を何体も狩り、それらを素材として一気に売り払ったのである。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 Eランクも、そしてDランクの依頼も似たような方法で攻略した。

 Cランクに上がってからは若干面倒だった。

 ここからはただ魔物を討伐するだけではなく、ギルドが出す依頼も達成しないと、昇級に必要な要素が満たされなくなっていったのだ。



 だが、ランクは順調に上がっていった。



 一か月も経てばBランクに、そして二か月が過ぎてAランクに。

 一年が過ぎた頃には、冒険者の一%だというSランクに昇格を遂げた。



 ――――――

 セラ


 ランク:S


[ジョブ]炎竜姫


[体 力]46364


[魔 力]78941


[攻撃力]41409


[防御力]22245


[敏捷性]68000 


[スキル]炎竜姫

 ――――――



 順調にステータスが上がることも楽しかった。

 楽園に居たときとはまるで違うことが、日々の楽しさに大きく貢献している。

 実戦経験はやはり偉大なのだ。

 生まれながらに楽園の歴史でも一番と呼ばれた才能の持ち主は、外の世界で順調すぎる成長を遂げていた。



「セラ様」



 彼女に声を掛けたのは、とある国にあるギルドの受付嬢だ。



「王家より指名依頼が届いております」


「やらん。権力者は好かん」


「よろしいのですか? ギルドが認定した国家からの使命依頼となれば、昇格に必要な要素が一気に――――」「話を聞くだけならただじゃしな。言ってみよ」



 今、セラには一つの目標があった。

 それは冒険者として、大成すること。



 ――――ランクはSで終わらない。

 とはいえ、Sランクが頂点だという者も居る。

 それには理由があって、特別な依頼をこなすということに加え、ギルドが認定するある基準を超えなければならないからなのだ。



「なんじゃ、ただの討伐依頼ではないか」


「ですが、私個人としては反対でございます」


「む?」


「討伐対象のグラン・リザードですが、本来ですとXランクの方に依頼する魔物でございます。しかしながら、セラ様のランクはSでございますので、SSを挟み、二つも上の難易度です」



 話を聞いていたセラは、そう言った受付嬢から資料を受け取りながら菓子パンを食む。これにはグラン・リザードと呼ばれる魔物の姿に加え、その特別な力について書かれている。



「討伐を達成した暁には、儂もXランクに昇級できるか?」


「通常であれば不可能ですが、この度は特別な状況鑑みて、ギルド本部もそれを検討すると言っていたようです。しかし……」


「危険じゃって?」


「はい。拒否されても罰則の適用はありませんので、ご無理はなさらないほうがよろしいかと」


「では受託するとしよう」


「……本当によろしいのですか?」


「別に無理をするつもりはない。どうとでもなるさな」



 数日後、セラはこの国の王都を発った。

 彼女は王族の依頼にあったグラン・リザードをすぐさま討伐すると、これをきっかけに全世界へその名を轟かせたのである。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 ある日、セラは深海にある国の中で騒ぎ立てた。



「ステータスカードが壊れたんじゃッ! なんじゃこの100という数字はッ」



 そこには今までのようにステータスの情報は記載されておらず、ジョブの欄も消えていた。代わりに書かれていたのは、カードの真ん中に大きく数字で「100」だけだ。

 騒ぎ立てられたギルドの受付嬢は、セラと対照的に冷静だった。



「――――私の口から申し上げてよいものか分かりませんので、支部長の下へ参りましょう」



 彼女は冷静に驚いていた。

 すると、セラを連れてギルドの奥にある部屋へ連れて行く。

 そこはここ最近のセラにとっては行き慣れた場所である。十数年前、無事にランクXへ昇格していたセラはここしばらく、特別な依頼ばかりこなしていた。



 依頼の話を聞かされるのは、どこの国に居てもギルドの支部長の執務室だ。この国でも何度か依頼をこなしていたから、支部長とも顔なじみだった。



「支部長」


「どうしたんだい? ……っとと。セラ様もご一緒だったとは、何かございましたか?」


「何かあったもない! なんじゃこのステータスカードは! 私が何もしてないのに壊れてしもうたんじゃ!」


「ふむ……拝見してもよろしいですか?」


「おうとも!」



 声を荒げるセラを前に、支部長は端正に整った顔立ちに涼しげな顔を浮かべ、くもり一つない眼鏡を軽く直してステータスカードに目を向けた。

 そこには変わらず、数字で100と書かれているだけだ。



「こうなっているのだろうと思っておりました」


「支部長! ではセラ様は――――」


「ああ。我らギルドのシステムにより、正式に序列者の末席に座られたようだ」



 支部長と受付嬢は訳知り顔で話をしている。

 しかし、呑気に会話をされても当事者たるセラは気が気じゃなかった。



「せ、説明じゃ! 何のことか説明せよッ!」



 机越しに立っていたセラが机にドンッ! と両手をつきながら詰問した。



「セラ様もご存じかと思いますが、我らギルドが認定する位はXが最大とされております」


「知っておるとも! おかげで楽をさせてもらっておるわ!」


「はい。なにせXはギルドが認定する国家の中でも、一等国家の王族と同等以上の発言権がございますので」


「じゃがそんなことはどうでもよい! 儂のステータスカードはどうなったのじゃ!」


「――――これは、序列者の証でございます」



 セラはようやく黙りこくった。



「序列者と言うと……あの序列者のことなのか?」


「はい。ご存じの通り、世界は限りなく広いのです。場所によっては障壁があり、次元を超えねば到達できぬ領域もありますが、すべては一つ。繋がっている世界です」



 支部長は「そして」と話をつづける。



「星の数に星の数を掛けてもまだ足りない、それだけの人々の中……。文字通り世界中に存在する我らギルドにとっても管理しきれない――――いわば、人の理を超越した存在、それが序列者のことです」



 セラもその存在は知っていた。

 勿論、彼女自身も目指していた立場であるから。



(…………百席の例外。百席の最強)



 百人と口に出してみると、その数は結構多いと感じたことがセラにもあった。

 しかし、世界は広い。

 先ほど支部長が言ったように、星の数に更に星の数を掛けたところで、世界中に存在する人の数にはほど遠いのだ。



「なぜじゃ」


「なぜ、とは?」


「急に儂が序列末席に座ったことが、じゃ」


「ここからは他言無用ですが、序列者とは、その影響力に加え、戦力を主軸とした判断基準により決められます。セラ様はつい先日、自我を失った海神族の長を討伐なさいました。恐らく、それが影響しているのではないかと」


「…………なるほどのう」


「ですが序列は剥奪されることもございます。末席に座ったセラ様以上の影響力や戦力を誇る個人が現れると同時に、セラ様のステータスカードは元に戻るでしょう」



 ステータスカードを返されたセラはそれを見ながら、黙って耳を傾ける。

 まだ楽園を出てから数十年しか経っていない。まさか、これほど急に目的だった立場になれるとは思ってもみなかったのだ。



「そして、これは私からの助言でございます」



 たかが一介の支部長が自分に?

 セラの脳裏を若干傲慢な言葉がよぎったが、今となってみれば、ギルド職員がセラに助言をすることなんぞ、誰が考えても身の程知らずと思うことだった。



 ――――だが。



「絶対に上位者には手を出してはなりません。特に五十位を超えた方たちは別格です」



 その言葉は、しばらくの間彼女の頭を揺さぶった。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 百数十年ほどの月日が過ぎた。



 あの後、セラは旅をして生活をする中で学んだ。

 序列者になってから分かったことがある。それは、序列者は個人戦力がなくとも到達できる者が稀に存在する、ということだ。



 たとえばギルドが認定する巨大国家の国王となれば、特にその可能性が増すという。理由は単純で、世界への影響力が高すぎるからだ。

 個人戦力は他の冒険者に劣っていたとしても、彼らは「あの国が気に入らない」というだけで、あっさりと数多の人命を奪う力を持っている。

 こうした事実も加味されて、序列者入りする者が時折居るということを学んだ。



 だが、それが許されるのは序列下位だけの話だそうだ。

 特に上位五十位に入れば話は別だ。



 セラが序列者入りを果たした際に助言をした支部長の言葉が脳裏をよぎる。

 ここから先は、生まれながらの天才にして、努力を怠らずに生きてきたセラであっても、軽々と命を脅かす存在ばかりである。



 ――――さて。



 セラはこうしたことを考えながら、とある国の王城に敷設された庭園に居た。

 ここ数年、セラはこの国の客として過ごしている。この国はギルドが認定する三等国家だったから、国格に惹かれてというわけでもない。



 この国には偶然足を運び、偶然、城下町でお忍び中の王女と出会った。

 それで気があって、王女の友人として招かれていたというだけだ。



 最初は数日もしたら旅に戻るつもりだった。

 けれど、セラははじめてできた友人の存在に加え、存外居心地が良かったこの国に愛着を覚えていた。

 気が付くと一年、そして数年が経ち今に至っていた。



「セーラっ! なにしてるのー?」



 庭園に植えられた大樹に背を預け、おもむろにステータスカードを出して見ていた彼女の下へ、友人である王女が足を運んだ。



「ん? ああ……お主か」


「何よお主って! せっかく遊びに来てあげたんだから!」


「わかったわかった。だから儂の身体を揺らすでない」


「それで、何をしていたの?」


「見ての通り、ステータスカードを眺めておった」


「……あ、また位が上がったのね」



 百数十年前と違い、今は100位どころか28位まで順位が上がっている。

 先週見たときには29位だったから、この間に上がっていたのだろう。



「このまま十位入りも夢じゃないみたいね」


「はっ……無理じゃろうなぁ……」


「なーんでよーっ!? 諦めるなんて柄じゃないわよっ!」


「お主は知らんのじゃよ。序列者と言うのはここまでくると、たかが一つ上位者であろうと、大人と子供……とまではいわんが、馬鹿みたいに差が生まれる」


「頑張ればいいじゃない! 今までと同じよ!」


「たわけが! 無理なものは無理なんじゃよッ!」



 楽しかった。

 友人と軽口を叩くだけで、こんなにも心が豊かになるとは思ってもみなかった。

 セラはこの時、王女の行く末を見守ろうと考えていた。そして、普通の人間である王女が天寿を全うした後で、また旅に出よう、と。



 だが、その楽しい日々が終わりを迎えるのは、間もなくのことだったのだ。




 ◇ ◇ ◇ ◇




「お主を娶りたい、じゃと?」



 ある日、セラはいつもの大樹の下で王女から聞いた。

 この国から遠く離れた天人族の国から、縁談の申し込みがあったのだ。

 それはセラが口にしたように、友人の王女を娶りたいというものだ。なんでも、天人族の王太子が、以前開かれたパーティで王女を見かけ、近くに置きたいと考えたからだそう。



「馬鹿も休み休み言わんか。奴らに嫁いでみよ。純粋な人間であるお主は老いたらすぐに捨てられて、貧民街の片隅に埋められるのが落ちじゃろうて」


「うん……お父様もそう言ってた……」


「じゃあ断ればよかろう」



 王女は首を横に振った。



「駄目よ。相手は一等国家だもの」


「なれば儂が口を出そう」



 だが、それも駄目だと王女は首を振った。



「セラも知っているはずよ。あの国には序列者がいる」



 セラはハッとした。

 天人が司る国はいくつもあるが、その中でも、この国に近い天人の国には序列者が居たことを思い出した。

 それも、セラより上位の十九位。

 一つ上がるだけでも絶対的な戦力差が生まれるというのに、それが上位二十位に入る化け物である。



「――――アルビノの天使、、、、、、、、か」



 その男が銀髪の美丈夫であることだけは知っている。

 生まれ持った特別な力があるそうだが、その内容は不明だ。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 王女はその後、一年としないうちに嫁いでしまった。

 それからというもの、セラは自分に腹が立って堪らなかった。世話になった国王や城の者たちに別れを告げると、彼女は一等国家のギルドに入り浸るようになる。



 力が欲しかった。

 理不尽に抗えるだけの、理不尽な力が欲しかった。



 世界中を探しても稀有な発言権と力を持っていた自覚はあったけど、王女が嫁いで以来、ずっとずっとその無力感に苛まれた。



 28、27、そして26……。

 25,24、そして23。



 セラの序列は年を経るごとに、これまでの比じゃない速度で上がりつづけた。

 王女と別れてから十三年後、彼女の位は20位まで上がり、彼女が口にしたアルビノの天使と呼ばれる上位者まで、あと一つまで迫ったのだ。



 これには、世界中のギルドが驚いたという。



 本来、序列と言うのは一つ上げるにも数百年かかる者も居る。

 それほどまでに絶対的な仕組みが、序列というものだった。



「あやつはどうしておるかの」



 元王女とは毎年、というか数か月に一回は手紙で連絡を取り合っていた。

 しかし、この十三年で天人の国に足を運ぶことはなかった。

 他の序列者、それも上位者が居る国にみだりに足を踏み入れることは、できるだけ避けたかったのだ。

 自分一人の問題ならよかったけど、それが世話になったあの国に迷惑が降りかかると思うと、特に。



「…………陛下を止めて、じゃと?」



 嫁いだ頃は王太子だった相手も、今は国王である。

 その国王が、領地拡大に努めているとのこと。

 天人族は寿命がとても長い。そのため、資源が大いに越したことはないことをセラはよく知っていた。

 きっと、今回の周辺諸国へのちょっかいもそのためだろう。



 だが、問題なのはその周辺諸国についてだ。

 元王女の手紙には、セラにしか分からない暗号でこう記されている。



『私たちの国が、壊されちゃう』



 この暗号は元王女がまだ幼い頃、セラと遊ぶ中で生み出された暗号だった。

 冗談でこんなことを言う元王女じゃない。



「あやつは第十五王妃……発言権はないに等しい」



 それに、他の種族と違って十三年も経てば老いが来る。

 天人の王が多くの王妃を娶っているあたり、少なくとも色を好まない性質ではない。むしろその逆のはずだ。

 だとすれば、特に元王女の発言権は下がる一方だ。



「行かねばならん」



 セラは手紙を懐にしまい込み、決心した。

 友を守るため、そして友と過ごした国を守るため。

 彼女は手紙を受け取ったギルドの受付嬢に話しかける。



「すまんが、依頼の話はなしじゃ」



 こうして、セラは久しぶりに元王女と暮らした国への帰路に就いたのだ。



 時間にして数週間を要した。

 やっとのこと、数年を過ごした国の付近の地形が見えてきた。見慣れた光景に瞼に涙が浮かびそうになったが、感傷に浸っている暇はない。



 セラは更に急ぎ、思い出の国へ向かったのだが。



「…………なぜ、じゃ」



 なかった。

 国が、そのすべてが。

 あったのは瓦礫と、天人族のものと思しき住居や土地を開拓する光景だけ。

 思い出はすべて、一切が消えていた。



 数日後、セラは山奥に密かに住んでいた冒険者から聞いた。

 この辺りはもう半年以上前に天人族に攻め落とされ、領地はすべて天人たちのものになったのだと。

 セラは考えた。

 元王女からの手紙には、まだ攻め落とされるまでの余地があったように思える。

 だけどそれがなかったどころか、半年も前に攻め落とされていた。



 考え終えたセラは呟く。



「天人共め。儂の友人に何をした」




 ◇ ◇ ◇ ◇




 更に数週間後、セラは天人の国に居た。

 そこは数多くの浮遊大陸が合わさった強大な国で、ギルドが一等国家と評価して当然の大国であることが分かる。

 国格にはもうひと段階上の「特等国家」もあるのだが、一等でも世界では稀有な大国だ。



「炎王。会えて光栄だよ」



 セラを迎えたのは銀髪の美丈夫だ。

 その銀髪は腰まで届くほど長く、嫋やかだ。

 立ち居振る舞いも洗練されていて雅やかだし、序列二十位までのし上がったセラにとってしても、どこか不気味な強さが漂っていた。



「はじめましてじゃな、アルビノの天使。早速じゃが――――」


「ああ。僕たちの陛下も君と会えることを楽しみにしている。それじゃ行こうか、王宮へ案内するよ」



 セラはアルビノの天使の後を追って、今まで居た飛行船の停泊所を後にした。

 天人たちの王都は美しく、そして荘厳だ。

 すべてが洗練された白い城下町は、どこまでも清廉である。



「王宮まではこの馬車で。引くのは魔物だが、あまり気にしないでくれ」



 豪奢な馬車を引くのは黄金の体毛をした、獅子のような二頭の魔物だった。だが下半身は馬のようでもあり、だけどさらにもう一方の魔物は下半身が鳥のようでもある。



「見慣れない魔物じゃな」


「ヴァファールという、天人に伝わる秘術で生まれた存在だ。罪人の首を落としたのちに、その身体に残された魔力を媒体に作り出される、使い魔のようなものさ」


「なるほど、趣味の悪い魔物じゃ」



 そう言いつつもセラは馬車に乗り込んだ。

 対面に座ったアルビノの天使はずっとセラを見ていたが、セラはずっと目を合わすことなく窓の外を見ていた。

 すると。



「天使長」


「天使長」



 窓の外ですれ違うたびに、アルビノの天使を見た騎士たちがそう言った。



「なんじゃ、今のは」


「僕は天人の正義と純白を守るべく、裁きを司る立場にある。ゆえに天使長と呼ばれているんだ」


「ほう……裁きとな……」


「ところで炎王、君は裁きをどう思う?」


「知らん。咎人に罰を与えることであろう」



 吐き捨てるような言葉に対し、アルビノの天使は小さく笑った。



「裁きは解放にして救済だ。自覚なき盲目な者たちへ贈ることが出来る、唯一の福音と言ってもいいのかもしれない」


「天人族のお主らは、自らを間違いを犯さぬ種族と言っていた記憶があるが」


「確かに、そう言う言葉を口にする者も居るさ。だが、僕はそうは思わない。僕たちは老いとほぼ対極にあるが、心は必ず老いてしまう。そうすると、尊さを忘れてしまうんだよ。生きることの、正しく振舞うことへの尊さをね」


「そして、罪を犯すとでも言うか。それを裁くのがお主の仕事だと」


「そうだね。――――だから人は輝かなければならない。生まれてきたことへ感謝して、自分に忠実に生きなければならないんだ」



 セラは面倒な男だと思った。

 言いたいことはわかるが、どうやらその価値観は自分とまったくの遠くにあり、自分たちは理解できないと察した。



「お主の言葉は矛盾しておる」


「ははっ、そうかい?」


「自分に忠実に生きた結果、それが大多数の正義とかけ離れたものであったらどうするのだ? お主が啓蒙する正しさとやらに反しておろう?」



 それを受けて、アルビノの天使は言う。



「言っただろう? 裁きは解放にして救済だ、って」



 すると、彼は足を止めてセラに振り向いて。



「他者の意識が介在しない個人の輝きがあれば、救済も開放も必要ない。――――だから、輝ける者には裁きなんて要らないんだよ」



 と口にして、微笑んだ。

 セラはため息をつき、もう無意味だと思い口を噤んだ。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 王宮は遥かに広く、豪奢である。

 謁見の間に足を運んだセラは膝を付こうとしなかった。それどころか、堂々と仁王立ちをするようにして、天人の王を前に臨んだのだ。

 アルビノの天使は謁見の間の端で一人、その様子を見て笑っていた。



「友に会いに来た」


「竜人よ。余はその力に最大限の敬意を示そう。が、それはお主も同じこと。余に礼儀を尽くせぬのなら、余はお主と語らうつもりはない」


「――――我が友の国を滅ぼした者に垂らす頭はない」



 セラの言葉を聞いた王は笑った。高笑いをした。

 彼はひとしきり笑ったところで立ち上がり、セラの前に立った。



「貴様、死ぬ気で来たか?」


「神族崩れの天人よ。貴様の口からは腐臭がするぞ」



 それは天人に対する最大の侮辱だ。

 王は眉をひそめると、セラの覚悟を知り息を呑んだ。

 だが、彼はやられるだけではなかった。

 すぐに手を叩いて騎士を呼び、騎士から手紙とネックレスを受け取り、それをセラに手渡した。

 そのネックレスは、元王女が幼いころから身に着けていたものだ。



 セラは手紙を乱暴に開くと、そこに綴られた文字に目を通す。

 これは、セラに向けて謝罪の言葉が添えられた遺書だった。



 元王女は半年前、セラへ助けを求める手紙を用意して間もなく、王が制止を振り切って祖国を攻め圧したことをきっかけに自決した。

 セラの下に手紙が届かなかった理由については、天人の文官がもしものことを考えて、しばらく時間をおいてから送ることにしていたからであると王が言った。



 それでも王は猶も強気だ。



「炎王よ。我が国にその身を寄せよ」


「…………どの口でそれを言う」


「この口に決まっておろう」


「貴様は愚かだ。神族崩れどころか、脳まで解けたアンデッドのように愚かだ。道理で腐臭がするのだと、今分かった」


「――――そして炎王、お主も愚かなのだ」



 コツン、とアルビノの天使が歩き出した音がした。

 彼はセラにとっての上位者で、十位台の序列者である。

 ゆえに王は強気だった。



「何故だ。儂の力が欲しかったのなら、我が友を幸せにすればよかっただけじゃ。我が友の国と共存すればこそ、儂はいくらでも力を貸したッ!」


「ならん。それではいつ、ギルドから特等とされるか分かったものではない」


「まさか……貴様……」



 この地の天人は国格を特等でないことに不満を抱いていると聞いたことがある。しかし、ギルドはあくまでも中立だ。

 その格ではないから一等国家だったわけで、文句を言っても変わらない。

 しかし、特等にあげる方法がないわけではないのだ。



 それは――――。



「国土を広げ、国の規模を増すことで特等になろうとしたのじゃな」



 背後からコツン、とまた足音が近づいた。

 面前では王が肩をすくめた。



「我ら天人の国が特等でないなんぞ、許されるものではない」



 セラは俯いて肩を揺らす。

 まさか、そんな格のために友を、あの国を滅ぼしたのか? いいや確実だ。面前の王が言ったばかりだし、疑う余地はない。



 肩を揺らすセラは自らの過去を思い出してしまう。

 自由を求めて楽園を飛び出した自分と天人の王の振る舞いを重ね、自分も似たようなことをしたのか? と心がざわついた。



 だが当然、セラと天人の王の振る舞いは同一視できない。

 セラは外に出たかっただけで、それを封じられて手足を断たれそうになったし、跡継ぎを生むためだけに生かされそうにもなった。

 だから抵抗した。

 むしろ抵抗しない者なんているはずがない。



「くたばれ」



 ――――セラの足元で、業火が産声を上げた。

 背後で奏でる足音の主が気が付くと同時に、謁見の間は火柱に包み込まれたのだ。



「あぐァッ……これは……ッ!?」



 しばらくの間、王は耐え凌いだ。

 特別な魔道具により、セラの火柱から逃れる障壁に包み込まれていた。

 だがそれも、間もなくひびが入ってしまう。



 王は狼狽えた目でアルビノの天使を見た。

 こんなときのための序列者であるのに、彼はセラを殺そうとしない。



「何をしているッ!」


「陛下、僕は言ったはずですよ」


「問答をするつもりはないッ! 早くそ奴を……早くしろォオオッ!」


「忘れておいでのようですから、もう一度申し上げましょう」



 彼は無情にも言い放つ。



「私は私が攻撃されない限り、炎王の初手以上の力は放てないのですよ。だから決して侮らず、炎王を逆なでしないようにと言ったはずです」


「だが――――ッ!」


「はぁ……幼い頃より見守って来たが、これほど早く底が見えるなんて、驚いたよ」


「おいッ! 貴様――――あっ……障壁が割れて……熱っ……待ってくれ……おい……ッ!」



 火柱は謁見の間を焼き尽くした。

 しかし、犠牲となったのは王一人だけで、他の天人には手を出していない。

 これはセラの、まだ幼かった竜人の少女に出来なかった理性的な行動だ。



 面前の王以外にも、元王女に冷たく当たった者は居るだろう。だが、それを判断する術はセラにない。

 だからといって 無差別な殺傷をする気はなかった。

 それをしてしまうと、自分も消炭と化した王と同じ場所に堕してしまいそうだったから。



「くく――――ははっ…………はーっはっはっはっはっ! 炎王! 君はすごいね! 僕が傍に居るというのに、まさに命懸けで王を殺してしまうだなんてッ!」


「来るなら来い。ただ、儂も出来る限り抵抗させてもらうが」


「…………止めておくよ。代わりに、大人の話をしよう」



 アルビノの天使はどこか暗い笑みを浮かべ、セラの前を歩いていく。

 その足取りで進むがままに消炭となった王だったモノを蹴り飛ばすと、玉座に腰を下ろしてセラを見た。



「僕は君に、君の友人に対し冷たく当たっていた天人たちを教えよう。だからここは、一度手を引いてくれないかい?」


「分からんな。儂の上位者たる貴様なら、ここで儂を殺せばよかろう」


「それも可能だろう。しかし、そうしてしまうと戦いの余波でこの国は崩壊する。こう見えて、僕は自然は大切にしたい性分なんだ。大多数の人と違って、自然は常に美しいからね」



 セラにしてみれば渡りに船だったが、素直に頷いていいものか戸惑ってしまう。

 今さっきまで決死の覚悟で王を殺したばかりだというのに、唐突にこのような話となってしまったことに、答えを見いだせていなかった。



「儂をさっさと殺せんのは、先ほどの言葉ゆえか」



 アルビノの天使は何も応えず笑っていた。



「しかし、ここだけの話だよ。僕はいつか君の下に現れるかもしれない。それは君を裁くためか、それとも君の輝きを見たくて傍に行くか、どちらかだ」


「勘弁願いたいものだな。貴様のような変態とは二度と会いたいと思わん」


「……そう言わないでくれよ。今の僕は君のことを裁きたい気持ちと、君の輝きを見たい気持ちで板挟みになってるんだから」



 セラはこれ以上の問答は無意味と悟り、アルビノの天使に背を向けた。



「わが友の墓はどこにある」


「ないよ。骨が欲しいのなら帰りに給仕から受け取ってくれるかい?」


「ああ、そうしよう」



 セラは王宮を出る前に元王女の遺骨を受け取ると、ぎゅっと強く胸に抱いた。

 帰りの飛行船に乗ってから、個室で赤子のように泣きはらした。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 百年、また百年と時間が過ぎた。

 セラはあれ以来、貯蓄を切り崩すだけの生活を送っていた。ギルドからの依頼は徹底して受け入れず、高価な宿を転々とする暮らしをつづけていたのだ。



 金は尽きない。

 人生を数万回やり直してもまだ余るだけの貯蓄があった。



 そんなセラがある日、偶然知り合った神族と話をしていた時のことである。



「イシュタルは馬鹿な女だ。ヴェルグクのためだろうが、神族としてしちゃいけねぇことをしちまったからな」



 時の女神イシュタル。

 神族の中でも時間を司ると言われていた古い神族のことである。だが、彼女の力を持ってしても歴史に影響力を及ぼすことはできないそうだ。

 たとえばそれが、作為的に作られた世界での出来事であれば話は別であるそうだが……。



「俺は思うんだけどよ、イシュタルの力があれば過去に戻れたりもするんじゃねえかな」


「……なんじゃそりゃ? 歴史に影響を与えることは出来ぬのじゃろう?」


「可能性の話だ。なにせ時の女神だぜ? 今までできなかったからって、これからもそうとは限らねえだろ」


「馬鹿げた話よの」


「そうか? けどセラっちだって、やり直したいこととかあるんじゃねえか? ちなみに、俺はあるぜ! 浮気をしなかったことにしとけば、今頃あいつと――――」


「しょうもないことに時の女神の力を使うな。それと、儂のことをセラっちと呼ぶのは止せ」



 そう言ってセラは立ちあがった。

 これまで楽しんでいた酒場の席から離れて行きながら、神族へ金貨を放り投げてぶっきらぼうに言う。



「悪酔いしないうちに部屋へ戻れよ」



 あの後、セラの行動は早かった。



 まずは明け方、あの神族の下を訪ねてイシュタルの情報を尋ねた。

 なんでも、イシュタルは遠く離れた土地を目指したそうで、一部ではイシュタル諸島と呼ばれる場所を拠点にしているとか。

 位置を聞いたセラは唖然としたが、心は決まっていた。



『けどセラっちだって、やり直したいこととかあるんじゃねえか?』



 あの言葉が脳裏をよぎる。

 セラはもう、それしか考えられなくなっていたのだ。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 それからさらにおよそ千年が過ぎてから。

 セラは今、城下町にある宿の一室から、ホワイトナイト城を見上げて嘆息を漏らす。

 カーテンがあるから見えないが、ここからはアインが住む部屋も見えた。



「また……懐かしい夢を見たのう……」



 彼女は呟くと、ベッド横に置いていた菓子パンと果実水を手に取って、だらしなくもベッドの上で貪りはじめた。




◇ ◇ ◇ ◇ 



 原作最新九巻が十日に発売となりました!

 シリーズを通してたくさんの加筆を重ねて参りましたが、少年期の完結となる9巻もたくさんの新規書下ろしを加えております!


 是非、試し読みだけでもしていただけますと幸いです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る