どこでもマザコンだけどヒロインは唐突に。

「それはどういう意味ですか?」


「申し訳ございません奥様っ!何やら連絡が行き届いていなかったようで…」



 今俺は修羅場のようなものの最中にいた。

 そのおかげさまでマイエンジェルお母様が激おこになられてしまった、どうしてくれる。



「ではそちらの不手際であったと認めてくださると?」


「えぇそれはもう…格式高くラウンドハート家にこのような失態、もちろん連絡を担当していた者はクビに致しますので…」


「まぁそれはどちらでもいいです。あなた方のほうで処理してくださいませ、それで…アインは入ってもいいかしら?そちらの不手際なのだから」


「重ね重ね大変申し訳ありません、今回のパーティは主宰が大公様でしてどうにも我々では…」


「そう…」



 何が起こったかというと、我が国の貴族のトップである大公…アウグスト大公が子供は一人まで、兄弟はお披露目につれてくるなと言ったからだ。



 理由は前回のお披露目で孫の一人のお披露目の際、連れてこられた弟や妹といった俺の年齢よりも更に幼い子達が泣くわ騒ぐわで珍しいほどに落ち着きがないパーティだったらしい。

 それ故、大公は自分が主催するお披露目パーティには一人までと決めていたそうだ。



 そしてその連絡がラウンドハート家には届いていなかったようで…。



 お母様としては俺のためのお披露目の予定だったのだから、今回はグリントに引いてもらえないかと父上に打診した。

 父上としては悩みに悩んだが、そばにいたアルマがそれを遮り。



「何を言うのですか、今回はグリントの次期当主としてのお披露目も兼ねているのですよ!?それだというのに顔も見せずに帰るとは…恥をさらすおつもりですか!?」



 と喚かれた。



 俺ですら何を言ってるんだこいつと思ったよ、だけどこれで確信した。

 おそらくこれは仕組まれてたんだろうなあと…俺とお母様に恥をかかせるがために。

 自分でいうのもあれだが、伯爵家にして有名な将軍を輩出する名家にそのようなミスをすることはないだろう。



 金をつかませたか、屋敷に届いてから誰の目にも触れないようにそれを燃やしでもしたか…まぁ方法なんてどうでもいいよねもう。



 さてどう切り抜けようかこれ?それにしても大公のお家の庭やばい。魔法かなんかでライトアップしてるのかな?ロマンチックだし雰囲気もいい。

 なんていうか芸術過ぎてなんともいえない、あと見たことない花ばっかだし、あ・・そうか!



「お母様」



 お母様と二人でそこに行けばもっと仲良くなれるやろなあ…(下心)



「アイン…ごめんなさいね。もう少しだけ待ってね?」


「いえお母様。少しお待ちいただきたいのは俺の方です…失礼警備の方」


「はっ…なんでしょうか?」



 俺に文句でも言われるとでも思ったのか?

 そんなに緊張しなくても…。



「大公殿にお伺いを、お庭が見事な物で興味が絶えません。どうかパーティの時間帯だけでよいので観覧させていただけないかと…いいですか?」


「っ…申し訳ございませんでしたアイン様。では私のほうでただいまお伺いして参りますのでもう少々お待ちくださいませ」


「いえいえごゆっくり」


「ア…アイン」



 お母様。そんなに悲しそうな顔をしないでください、だって



「お母様のように美しい花があんなにも咲いているんです、申し訳ありません…大切なお披露目なんかよりも花を求めてしまい。こんな息子ではありますが幻滅しないでくださるとうれしいです」


「アインッ…ごめんね、本当にごめんね?」


「なぜそんなに謝るのですか、迷惑をかけたのはこの俺なんですから」


「はぁ…はぁ…お待たせいたしましたラウンドハート奥様…アイン様っ!」


「どうでしたか?」



 おいおいそんなに息切らして走ってきたのかよ。

 貴族だらけのこの場所でそんなことしてていいのか?



「大公様が案内を一人つけるとのこと、その条件でならいくらでも見てくれて構わないとのお言葉でした」


「それはありがたい。案内をしてくださる方はどちらに?」



 ひとまずここを離れられそうで安心したよ。

 あとは俺とお母様を邪魔する奴じゃなければな!



「私よ」


「…お初にお目にかかりますお嬢様。俺はアイン・ラウンドハートと申します…失礼ですがお名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」


「ア、アインこの方はっ…」



 私よといって出てきたのは、ライトブルーの美しい長髪を風に揺らしながら現れた、俺より3,4は年上に見えるきれいな女の子で、将来性にレア度をつけるならウルトラレアはくだらない美少女だった。


「私はクローネ・アウグスト。この家の長女よ。私が案内してさしあげますわ」



 でも大公、まさか自分の長女を案内につけるなんて思ってもみなかったよ…。

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