第13話 ランディのばかやろ~う!
朝起きると、母が色とりどりの、フリル付きドレスを沢山かかえて私の部屋に来た。
「おはよう! さあ、昨日は男の子の服だったから、今日は女の子の服よ! もうお母さん楽しみに今日という日を待っていたのだから!」
怒涛のように迫られて、眠気なんて飛んで逃げていく。
「さあこのドレスを着てみて頂戴」
そこからは、着せ替え人形のように着ては脱ぎを繰り返した。
何時まで続かと、魂が抜けそうになったころ、スライムたちが迎えに来た。そう朝ごはんの時間だ。
離乳食は、はっきり言って美味しくない。
実は、憂鬱な時間だった。でも、今日だけは助かった。私の生命力は尽きるところだった。
着替えって結構体力使うものね。
はぁ~あ。着替えで疲れすぎて死ぬなんて間抜けなことにならなくて本当に良かった。冗談でなく、生命力0になったら死ぬ。だから、気をつけないといけないんだ。特に私は、まだ赤ちゃんといっても可笑しくない年だしね。
まだ、すたすた歩けないので、お母さんが抱っこして連れて行ってくれた。
ご飯は、良くわからない味がないどろったした物。美味しくはないけど、お腹がすいているので食べる。取り合えずお腹は一杯になる。
其の後疲れて倒れるまで、お母さんの着せ替えに付き合った。お母さんに今日だけは付き合って欲しいと頼まれたのだ。
いろいろ申し訳なく思っていたので、断り切れなかった。
まあ、これも後から思い出せば良い思い出となるはず!
そんな初めての女の子の日が終わり、男の子の日の朝。
バーーーン!
私の部屋のドアが勢いよく開く。
「おはよう!」
入ってきたのは、何時もなら影の薄いお父さん。凄く浮かれていて、昨日のお母さんとダブって見えて恐い。
じとーと見ると、掛け布団をがしっと剥がされた。
外はまだ暗い。何度も言うが、外はまだ暗い。
こんなの、早すぎでしょう! 赤ちゃんは、睡眠が大事!
怒ろうとしたけど、その前に腕を掴まれて、寝間着をはがされ着替えを手渡された。これは、運動着かな?
もしかしてもしかしなくても、これから走るとか?
やめてよね~!
力は、どうしても適わないので、無理やり走らされて、またもや生命力0寸前で倒れましたとも!
気が付くとベットに寝ていて、その隣にはお母さんがお父さんを正座させて怒っている。でも、お母さんも昨日同じことをしたよね? スライムたちが呼びにきたから、かろうじて倒れなかったけどね。
でもそんなこと言える状況じゃないよね・・・。
ぽよん ぽよん
うさ耳のスライムがベットに飛び乗ったので、それを精神の安定の為にもふる。
本当にこれがスライムの仲間っていうのが信じられないぐらいのもふもふ。癒されるわ~。
何気に耳を澄ませば聞こえてくる。
「貴方! この子はまだ赤ちゃんなのよ!」
「だが、ランディ・スライムは、1歳で、野原をかけまくって、魔法をばんばん撃ってたって・・・・・・」
つまり、今日のお父さんの行動は、ランディ・スライムのせいってことか!
もしかして黒歴史の一部ってことか!!!
話してくれるのを待つつもりだったけど、後で問い詰めてやるwwwwwwww!
ぐりゅぐりゅ お腹がすいたと身体が催促している。
ちらりと見ても終わりそうにない。二人の言い争いは何時まで続くのかな?
「もうオージン様は目を覚まされていますよ」
執事が二人にそっと近づいてささやく。二人の視線が私の方を向いた。
起きている私を見て、慌ててお父さんが謝ってきた。でも、もう怒っていない。悪いのは、チートしたランディ・スライムでしょう。小説の様だと浮かれまくって黒歴史を増産したとみた。
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