Dice

 この学校には不思議なお話しがあって、何でも妖精がいるみたい。

 よく物をなくす子が多くて、学校の七不思議になってるの。

 机の上に置いてあったペンが少し目を離した隙に消えてしまった、なんて話しはよく耳にする。でも、物がなくなるだけじゃなく、ない物があったり、別の物に換わっていたりすることがあるみたい。

 私はそういう出来事にあったことはないけど、妖精の存在は信じてる。だから、朝起きた時窓辺に白く綺麗な花が置いてあっても驚きはしなかった。今でもその花は白いつぼみを開いてる。

 イタズラ好きな妖精さん。時間と時間の間に住む小さな存在。

 私達の目には写らないけれど、確かに居て私達と遊ぶ、狭間の住人。

 ねぇ、私の声が聞こえる。過ぎ行く時間の間に私の声が届いていたら、私とお友達になりましょう。

 夜、白い花が月の光に照らされて、白銀に輝いていた。私はこの幻想的な光景を目に焼き付けながら、静かに眠りに落ちた。


 翌朝、誰も居ない部屋に白い花弁がヒラヒラと舞いながら床に落ちていた。小さな小さな笑い声を残して。

 その日、少年の部屋に白い花が送られた。

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