冬眠

 私達はエネルギーを使い続ける。資源を消費し、豊かな生活を過ごす。けれど、そこに幸福はない。

 雪に閉ざされ、熱を絶え間なく抽出し続ける私達は、地獄のあの日から何百年経とうとも忘れること無くこの作業を繰り返す。

 剥げたコンクリートから見える、脈打つ筋肉を見て、私は思う。

 この足下の巨人を起こしてはいけない。

 永久に熱を奪い続けなくてはならない。

 ゆえに、この星は永遠の冬にしなくてはならない。

 だから、私達は、私達の祖先は自らこの星を汚し、壊し、巨人の墓標を作った。

 今は巨人の熱を利用した生活が当たり前で巨人が死ねば、私達は寒さで死んでしまうだろう。

 けれど、それでいい。こんなモノを作ってしまう私達は自らの傲りによって滅びるのがお似合いだ。

 それまで、私達は巨人から熱を奪い続け、生き続け、巨人と共に死のう。

 それが我々の償いなのだから。

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