星/花火
私は野原を走っていた。私に光をくれた彼に引かれ、草原を走る。あの丘に向かって風をきりながら走った。
草木の匂い、虫の声、月の光、周囲の全てが新鮮で、初めてだった。
丘に着くと、彼は手を離し何かを拾う。私は星空を見上げる。とても綺麗で手を伸ばせば届いてしまいそうだった。
彼は見てて、と言い手に持った黒い風呂敷を星空に沿って大きくはらう。すると、空の光が消え、真っ黒なキャンパスになってしまった。
驚きの余り彼に視線を送ると、彼は地平線を指差していた。
指差す方を見ると、地平線から光が筋を伸ばしながら空へと高く、高く、高く昇って行く。
天高く昇ったその瞬間、光が弾け、無数の小さな光を空へばら蒔く。広がる小さな光は自らの意思でか、その場で止まったり、遠くへ飛んだりしていた。
地平線から次々と光が打ち上がる。そして弾け、黒いキャンパスを光が彩っていく。
その光景は綺麗で美しく、最後は目の前が潤んでよく見えなかったけど、この光景は私のこの両目にしっかりと焼き付いた。
私は彼にお礼言い、静かに瞼を閉じた。
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