幕間と余談

◆いまさら登場人物紹介と用語 12歳二章◆

 二章で出た人たちについてご説明するよ。

 人数だけはそれほどでもない。


 ■登場人物




 ◆スサーナ

 ひょんなことからうっかりひどい目に遭いがちな12歳。

 最近貴族のお館に行くのにも慣れて無念無想で侍女が出来る。


 主人公らしいスキルとは無縁だが商家の出にかかわらず人並みに家事ができるので先任の召使いの皆様にとってはありがたい女の子である。

 本人は特に理由を考えたことはないが、痛いのを我慢するのが得意。


 今回、なかなかのサイズのとばっちりをキメたが本人にしてみれば「魔獣と人間だと魔獣のほうが脅威度高いかな……」という思いもないでもない。

 ただちょっと鍵の詰まった狭い部屋では落ち着かないという特徴を得た。




 ◆レミヒオ(ヨティス)

 苦労人の暗殺士13歳。

 着飾られたり変な知り合いができたりしているが強く生きてほしい。


 程よくやっていた情報収集が妙なところで役立った。

 今回の事件での目に見えない筆頭功労者である。過大な情報を持っているところを見せざるを得ないなど正体バレ的に地味に危ない橋を渡っていたのだが結果的にバレなかったのでよしと思っている。


 最近お屋敷にいる従騎士が非常に気に食わない。なんだかわからないけど嫌い。

 暗殺をやらないまま公的な初仕事が終了しそうである。




 ◆お嬢様たち

 今回楽しく騎士をかまっていたら仲良しの侍女が誘拐されたので彼女たちもだいぶとばっちりを受けている。

 攫われて騎士に助けられるなんてちょっと騎士物語っぽいじゃないか、と一瞬思ったりもしなくもなかったが、仲のいい相手だと心配が先に立って全然楽しめなかった。

 二人共しばらく夢見が悪いし寝付きが悪い。

 フィリベルトは追いかけ回すが従騎士の方は完全にアウトオブ眼中な態度なのは流石貴族の娘。実は態度の親しい非血縁男子という生物に慣れがない。




 ◆奥様

 売り出そうと思っていた衣装のお披露目とめんどくさい人たちの潜入のタイミングがカブってしまった不運な方。


 あのタイミングであの格好をさせていなければ、とそれなりに気に病んだためしばらくはスサーナに甘い。しかし着せ替えはやめない。


 それはそれとして衣装自体はちゃんとデザイン洗練させて流行らせを試みる予定。




 ◆セルカ伯

 今回も実は裏で色々苦労している名ばかり下級貴族。

 ミランド公の依頼で隣国関係の重要任務を帯びた特務騎士をこっそり受け入れたり、派閥の流れを穏健派に持ち込もうとしていたりいろいろ忙しかった。


 おかげで命を狙われることになり、それはそれでいつかはあるかもな程度には覚悟している部分はあったのだがちょっと特殊な立ち位置の娘の友人がとばっちりで誘拐されるのは想定の外だった。


 棚からぼた餅が雪だるま式に雪崩を打って面倒な事態がひょっこり半分ほど片付いてしまったのはありがたいのだが、とばっちりのお嬢さんにありがたいような申し訳ないような気持ちである。




 ◆フィリベルト

 特務騎士。いわゆる潜入捜査官的なことをミランド公の指示でやっていた、こっそり有能なお兄さん。

 隣国アウルミアの有力筋の学者が誘拐され、どうもヴァリウサ国内で目撃されたらしく非公式に物言いがあったという国際関係悪化ギリギリの事態をどうにかするために島へやってきた。

 剣技が得意で腹芸調査捜査も可能で口が巧み、胆力十分という万能型で元々王立騎士団でも有力株、御婦人をきゃあきゃあ言わせるのが得意な男であるが、気さくなお兄さん方面なので子供の相手も得意。幼女の初恋をかっさらっていくタイプである。

 甘党は比較的ガチ。




 ◆アラノ

 フィリベルトの従騎士。中級の貴族の子弟で幼い頃から騎士に憧れており、騎士物語を読み漁ったりした挙げ句10歳の進路決定の際に周囲の反対を押し切り騎士に志願した。

 裏表のない爽やか男子であり、同年代の他の男子に気軽に絡む癖がある。

 レミヒオについては手厳しいけど結構有能なやつだな!などと朗らかに思っており、そのうちしっかり仲良くなろうなどと思っている。


 フィリベルトにくっついてだがそれなりに戦果を上げており、実のところ同年代の従騎士が任務に出ることはほぼ無いので実はエリートの一種。

 盾術を得意としており、乱戦時のカバーリングなら任せておいてほしいぐらいに自信がある。剣術は牽制メインのものを実戦の多いフィリベルトに教わっているため剣試合で映えないのが少しだけ残念なお年頃。


 そこそこ仲良くなった侍女の子が誘拐された際、微妙に騎士物語の姫君と重ねた部分があるためちょっとそれから気になっている。





 ◆クロエ

ヴァリウサからは隣国に当たるアウルミアの言語学者。

師匠がネーゲの秘密言語の研究なんかにある程度習熟していたせいで誘拐される羽目になった。

ポメラニアンめいた愛らしい美女で、珍しいアイテムである眼鏡がトレードマーク。

水晶乙女とか呼ばれたりする。


彼女自身としては地方語の分類とかフィールドワークをしている方が好き。

著書に「各国地方語に保存される神代語の文法的特徴と変化」

研究馬鹿の一種であり、誘拐された挙げ句特殊な島にいることについてはラッキーこれを機会に語形と発音の収集をしようと言う思いに燃えている。即刻帰還が許可されてもなんだかんだしばらく居座りたい。

アウルミアの騎士をしている姉がひとりいる。





 ◆偉そうな貴族

 本名はリッカルド・インギッレリ。ヤロークの貴族である。

 二年ほど前から宴席にやってきたりしては領主の次男と距離を詰め、要らない知識を与えたり不満を煽ったりしていた。

 魔術師達がくっそめんどくさい目に遭った地脈の枯渇はこの人の教えた儀式のせいで発生した。


 その目的は内乱に乗じての島への権利拡大である。

 野心多めの人物であり、昇進の一手として偶然手に入れたネーゲ語の石版?の解読を秘密裏に行わせるために言語学者を攫ったりもしていた。

 彼が捕縛された結果当該石版は現在ヴァリウサの王廷が握ることとなった。


 多分必要な情報を洗いざらい吐かされた結果死刑になると思われる。

 ところで、島への進出は彼の単独犯とは限らない。黒幕とかいるんでしょうかね。どうだろうか、どうだろうね。もしかして毒とか呷るかもしれないね。




 ◆ブルーノ

 リッカルドの腹心。

 リッカルドへの忠誠心は折り紙付きだった。

 実は元々やや裕福な平民出身の傭兵で、食い詰めて奴隷に身を落とし剣闘士などをやっていたところで見出され、青帯を解かれた。その結果リッカルドに心酔している。

 長剣を使った剣技が苦手で、パワーファイター型斧使いである。

 船上の戦闘で死亡。

 迷信と理解できないことと漂泊民が嫌い。




 ◆黒犬

 リッカルド子飼いの漂泊民。作中に年齢は出てこなかったが実のところ17,8の若者。

 漂泊民とはいえ捨て子だったため彼らの文化などは継承していない。

 契約に縛られないのをいいことにリッカルドの望むとおり暗殺行為を行っていた。


 双子の妹が何より大切だったが死亡しているため現状あまり生きる張り合いはない。

 ところで、彼女の死亡の遠因にリッカルドが関わっているとかそんなことは今後どこにも出てこなさそうなのでそっとここに記されることになる。


 やさぐれお兄さん。彼がうっかり同じ髪色のこどもに感情移入したのが今回の件の犯人一同の運の尽きだった可能性がある。


 海に落ちた瞬間ああ死ねるかなぐらいの気持ちで晴れ晴れしていたら、ふと気づいたら小舟に乗っており、混乱したまま宿に押し込まれたり本場の漂泊民に圧迫面接を受けたりしているので現状内心がゴチャゴチャしている。

 本名はネレーオ。








 ◆王宮魔術師

 20代ぐらいの美女に見える魔術師さん。

 口調がぶっきらぼうで冷たい美女なので通り名は氷の魔女。本人的には常民が呼ぶ呼び名なんて興味がない。


 今回、依頼を受けて密輸船の妨害をしたがその実は魔術師としても得があったためである。

 島の魔術師は基本的に政治闘争には関与しないが王宮魔術師である彼女はその点魔術師ルールに抵触せず関わることができる。


 今回の彼女の働きで内海の広範囲の潮と風が停止し、そのちょっとどうかという威力は国家の想定外であり、その後に魔術師たちの見解として侵略的関与に対する遺憾の意が彼女を通じて伝えられたもので各国は改めて魔術師の能力に震え上がることとなった。


 島を含めた魔術師の中でも結構な高位の魔術師。

 魔力を含めた能力は高く、長生である魔術師の中でも長く生きている一人であることから発言力も高く、深夜に筆頭12塔の魔術師をたたき起こして悪びれない。横紙だってタックルで破っていくタイプ。


 本来の専門は人体。つまり医療。

 独り立ちしたと思っていた弟子の手とはっきり判るクソみたいな術式を見せられたので仕事が終わった後王宮に戻らずもとの自分の塔に嵐のように現れて居座っている。ザ・迷惑。




 ◆今回出ては来なかった第三塔の魔術師

 使い切りのつもりの術式付与具が、大量の魔力に浸すと再装填されるだなんていうことがトラブルを招くだなんて思ってもみなかった。

 使い捨てのつもりの粗雑な付与具がいつまでも持ち歩かれているとも想定外。

 見た目上未使用状態の付与具と大怪我をした所持者という組み合わせに師がげきおこするのも予想外でした。

 渡したものは夏に使われなかったのかという単純な理解のもと、肝心なところ致命的状態で発動しなかった可能性の推定のせいでまた負わなくてもいい罪悪感を一つ背負う羽目になった。

 深夜に叩き起こされたり議会招集されたりした挙げ句やってきた師になぜか反省文を書かされています。

 ザ・とばっちり。

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