第2話 僕と「僕」

「はぁ...はぁ...。」

どれだけ歩いただろう...。まだ街は遠い。ここへ来るまでにも、the☆魔物っぽい奴に何度も襲われ、命からがら生き延びてきた僕の精神は既に、ボロボロになっていた。足も棒のようになってしまい、もう体力も限界に近いようだ。それでも進むしかない。

「...っ!」


足がもつれて転んでしまった。その拍子に何メートルか転がり落ちる。

「...がはっ!」

硬い地面にぶつかり思わずむせる。呼吸が出来ない...。意識が朦朧とする...。

「ぁ...。み...ず...?」

水が跳ねる音がした。意識が消えそうになりながら...ふらふらと歩く。

...見つけた。小さい池だろうか。池の前で屈もうとした瞬間、身体ごと倒れた。本当に限界を迎えてしまったらしい。最後に見えたのは、この世界に来て初めて見た自分の姿と、自身の左眼が紅く輝いていることに驚いている自分の間抜けズラだった。









...ここはいったい。


「ようやく目覚めましたか。」


...バカ女。


「ちょっ!?酷くないですか?いくら私でもそれは傷つきますよ!?

貴方には、色々説明し損ねたので、この夢の世界で話させて頂きます。」


...夢って事はまだ生きているらしい。


「...貴方には結構サービスしてあげましたからね。そう簡単に死んでもらってたまるもんですか!

話を戻しますけど、貴方比較的、安全な異世界へと転生させました。この世界のことに関しては、自分で調べてください。安全な世界だけ感謝しなさい!」


...その割には死にかけてたけどまあいいや。


「貴方には2つ特典を挙げたわ。1つ目は驚異的な魔法能力。」


...異世界って感じだな。


「2つ目に関してはもう少し後に使うと思ってたけど、早速使ってるみたいね。」


...どういうことだ?僕はまだ何も...。


「目を覚ませば分かるわ。この特典は、〈真実の泉〉という所で使えるようになるはずなのだけれど、あなた、たまたまそこに行き着いちゃったみたいね。」


...何を言ってるか分かんないんだが。


「まぁ、詳しい事は《○○》に聞きなさい。私はここで貴方の運命を見守ってるわ…。頑張んなさい!」


(意識が朦朧とする。どうやら夢から覚めるらしい。なんやかんやで僕のことを考えてくれてたんだな...。ライフ...。)











意識が段々と覚醒してくる。どうやら木の木陰で寝ていたらしい。体力もどうやらかなり戻ったらしい。ゆっくりと立ち上がりライフの言っていた泉で顔を洗う。


「...?」


何かがおかしい。気を失う前と何かが...。


目だ。紅く光っていたはずの目が元の色に戻っている。どういうことだ?気を失った後に何が起きた?大体気の木陰で僕は倒れていなかったはずだ。これは一体...?


「ようやく目が覚めたんだね!」


不意に後ろから声がかかる。女性だろうか?その声の主を見ようと振り返った瞬間、僕は固まった。

さっき見た見覚えのある顔。少し髪は長いが...間違いない!彼女は...


「おはよう!私!」


僕だ。


「えぇぇぇぇ!?」


こうして僕は、2回目の断末魔と共に仲間を手に入れた。


...これから先僕はどうなるんだぁぁぁぁぁ!!!!

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