回復魔法しか使えない僕と脳筋過ぎる私!

だっちょ

第1話 転生

「おい!ルーラ!怪我人だ!頼めるか!」


「はい!今行きます!

ほらっ!行くよ!僕!」


「ハイハイっ!!それじゃあ行こうか!私!」


僕の前で誰も死なせない...。死なせるものか!

それが生命の魔術師としての務めだ!


〜数ヶ月前〜


「ようこそ!死後の世界へ!」


「えっ?」

僕は和流 せせらぎ たくみ。生前は高校2年生だった。

「あっ!紹介が遅れました!生命の管理者のライフです!以後お見知りおきを!」

どうやらこの人が、僕をここへ呼んだらしい。

「あの...。どうして僕をここへ呼んだんですかね...?まだ悪い事とかはしていないと思うんですけど...。」

前世は、まともな生活をしていたはずだ...!特に目立つ特徴もなくthe☆平凡が似合う男だったはずだ!

「あぁ!ここへ呼んだのはですね。転生してもらいたいのですよ。あなたが住んでいた場所とは異なる世界へね?」

なるほど、どうやらよくある転生物、らしい。

こんなの世の中の男子が皆願っている展開だろう?

こんなの僕の答えは決まっている!


「嫌です!」


「...え?」

ライフさんがポカンとしているのでもう一度口を開いた。


「だから嫌です!」


「えぇぇぇ!!??な、なんでですか!こんなチャンス滅多にないことなんですよ!私にクレームを入れてくる死者なんて大抵は転生したいって言うのに、なんでしたくないんですか?えぇ?」

ライフさんが緑色の髪を靡かせて詰め寄ってきた。

さっきまで笑顔だった彼女の目は鋭く光っていた。

「だって...」

ライフさんがじっと見つめる。

「だって...!」

互いに緊張が走る。ライフさんはその暗黙の理由を聞く覚悟はできたようだ。僕はそっと口を開け呟いた。

「だって...痛いの嫌じゃないですか!!!」


「……。」


「……。」

数秒後、彼女が高らかに叫んだ。

「異世界へ1名!ご案内〜!!」


「あああぁぁぁぁぁ!!!!」

足元に作られた魔法陣によって僕は、特に何も聞かされることもなくどこかへと飛ばされてしまった...。











「んぁ...。」

どうやら何とか生きているらしい...。あの女とんでもない奴じゃないか。

「...え?」

ここ...どこ?辺り一面に広がる大地。遠くには大きな街が見えた。まさか...本当に?


「あいつほんとにやりやがったなぁァァ!!」

こうして僕の断末魔から異世界生活がスタートしてしまった。

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