名前を決めていざ街へ
鳥人間を街へ持って行こうとした時にふとファルが呟いた。
『ところであなたの名前って何ですか?』
「唐突にどうしたんだよ」
『いやぁ、私あなたの名前を聞いてなかったなぁって』
「あぁ、そう言えばファルには話してなかったな、俺の名前は青木勇也、影の薄い高校生だ。」
『やはり違う世界の名前はこの世界では目立ちます、なので!私があなたの名前を考えてあげます!!』
いや、別に変えても変えなくても変わんないと思うけどなぁ……でもファルが張り切ってるからなぁ。
ファルがいつもより張り切っているのは多分名前をくれた人に自分が名前をつけてあげられるからだろう。うん、そう考えると可愛いな。
おう、良いのにしてくれよ?
『はい!わっかりましたぁ!』
う〜ん、と唸って考えるファルもまた可愛いと思いながら静かに名前が決まるのを待っていた。
『あ!そうだ!ルアン!ルアンでどうですか?』
まぁファルが付けてくれたんだから何でもいいよ、一応聞くがなんでルアン?
『ルアンは昔この世界にいた唯一ドラゴンと仲良くなった人間の名前なので、あなたにも同じ名前が似合うかな、と』
ルアン…か
『駄目でした…?』
いいや、そんなことは絶対無いよ、良い名前だよ。ありがとう
そんな話をしながら門の前まで来ていた
門の前まで行くとこの前の門番がいた。
「素材は持ってきたか?」
「おう、コイツでもいいのか?」
俺がチキンランナーを差し出すと門番は顔色を変えて俺に質問をしてくる。
「ああ、ってお前どこでそいつを捕まえた?」
「ん?普通にそこにある森で捕まえたが?」
俺がなんてことなちように返すと門番は狼狽えながら
「コイツがいるなんて情報聞いたことないぞ?!」
と、答える。
「え?そうなの?じゃあコイツってレアなの?」
「レアなんてもんじゃないぞ!そいつがその森にいるなんて知ったら冒険者どもがわんさか入って行くぞ」
ファル、そんな話聞いてないけど
『言ってませんもん』
いや、先に言ってよ。それなら食べる分だけ捕って他の奴を狩ったのに
『何故ですか?』
良くも悪くも目立って仕方ないからだよ
『何でですか?他の人間は目立ちたがるのに』
俺は脇役程度でいいの、あんまり目立つと面倒なんだよ。目立たなすぎて無視されるのも嫌だが。
『私には主役にしか見えませんよ?私に名前をくれたドラゴンを恐れないヒーローに。あなたが来なければ私は死んでいた、あなたじゃなければ私は殺していた。あなたみたいな面白くて仲良くしたいと思った人間はいませんよ』
ありがとうファル、でもそれって褒められてるように聞こえないよ、主に最後
『もう、酷いです!せっかく褒めたのに!!』
ごめんごめん、素直に嬉しいよ。とりあえず街に入るか
「お前名前はなんて言うんだ?」
「あぁ俺の名前はルアンだ」
「よし、ルアン通行証を作った、今度は盗られるなよ?」
そういうと門番は俺の手に通行証を乗せ強く握る。
「あぁ、ありがとうまたな」
「俺の名前はノーマだ、せいぜい憶えておけよ?」
「忘れるかよ、一応恩人だしな」
「一応ってなんだよ」
ノーマと笑いながら別れる、それから俺達は街へ入っていった。
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