第4話 広がる不信
(ホンット疲れる授業だった)
玲奈はグッタリしたまま頬杖を着いて座っていた。
約2時間前ーーー
「居眠りするなぁ!!」
バチチチチ
「話を聞いているのかぁ!!!」
バチ亻
「違う!!!」
バチィ
教室に静電気の青白い光が飛び散る。
「おいおい、今日のサッキーいつも以上に機嫌悪くねえか?」
「こんなん、半分、罰則じゃなく体罰じゃねえか」
コソコソ
ギロッ
「や、やべっ」
「、、、授業を開始する」
その横暴とも取れる授業風景に玲奈はただ無表情で英語教師・榊を見つめた。
「、、、、。」
(これが榊、、、、)
「おいっ!転入生!!貴様なんだ!?その目は」
「、、、、。」
「ちょっ、サッキー」
「転入生って玲奈ちゃんの事だよな?」
コソコソと教室内がざわつく。
「先程からずっと気になっていた。言いたいことがあるならさっさと言え!」
ひゅっ
玲奈の目の前に静電気を発していた棒先が向く。
「知らぬだろうから教えてやろう。私の魔法は電気。主に態度が悪い学生や指導が必要な生徒に、この静電気で罰を下している」
静電気を食らわされた生徒は痺れに未だに苦しんでいた。
「逆らうようならば貴様にもこの鉄槌が必要か?」
「、、、、、。」
「榊先生!!やめてください!!玲奈ちゃんは、彼女は何もしていないと思います!」
その空気に割って入るように隣に座っていた奏斗が立ち上がり言い放つ。
「ほぉ!高畑。こいつを庇うのか。」
「えっ?」
「中等部1の優等生だと思っていたが、私に刃向かうのであれば容赦はせん!」
バチィイ
バチーーーン
棒の先が奏斗に向かい、電気が発せられた瞬間、玲奈は素手でその電気を払い除けた。
「玲奈ちゃん!!」
「ーっ!!」
「、、、榊先生。授業を再開していただけませんか?」
「ふっ、なるほど。気に食わんな。その目も能力も。、、、昔、お前と同じような能力を持った奴がいた。仲間思いで正義感が強かったよ、お前のように。だがソイツはろくな死に方をしなかった。お前もそうならなければいいがな」
そう言うと榊は再び教卓へと歩いていく。玲奈はその様子を睨むように見つめたあと、席に再び腰掛けた。
「では今から今日行った分の小テストを開始する!」
「えっ」
「ちょっ」
ざわっ
「無論このテストも階級に反映する。十分に取り組むように。まさかとは思うがカンニングしたものは失格とする」
遠くで榊と動揺した生徒達の声が聞こえる。
「れ、玲奈ちゃん!手、大丈夫?」
「うん。平気。ありがとう庇ってくれて」
「それでは今から10分!開始!!」
ーーーーーーーーー
ーーーーー
「ーっうっ」
窓から差し込む光にベッドで眠っていた少年は目を覚ます。
「翔!目え覚ましたか?」
「レン」
窓枠に座ったレンが翔に声をかける。
「、、、お前授業は?」
「翔がそんなこと気にするなんて珍しいね。もちろん、出てきたよ!」
レンはそう言うと窓枠から降りて起き上がり苦しそうに話す翔のそばに歩み寄る。
「だってあのサッキーだよ?でっかい事情でもなく休んだら面倒臭いじゃん。テストやってとっとと抜け出してきた。静電気浴びさせられたらたまったもんじゃないからね」
「はっ。お前らしいな。本気出せば簡単に電気ぐれえお前の雷が吸収しちまうくせに」
「まあねー。そう言えば推測通りあの転入生学園に目えつけられてるね。早速サッキーに喧嘩ふっかけてたよ」
「、、、、。」
「ーにしても翔。転入生相手にいくら何でもムキになりすぎじゃない?本気だそうとするなんてさ。ボロボロじゃん」
「これはクソハルのせいだ」
「、、、まあ良かったね?彼女の能力わかって」
「いや、アイツまだなんか隠してやがる」
「どうしてそこまでこだわるのさ。たかが転入生じゃないか」
「、、、、、。たかがじゃねえよ」
(調子が悪かったんじゃない。俺はたしかにあの時魔力を使った。)
翔の脳内に朝の控え室での光景が蘇る。
(アイツ何者だーーーー)
榊は教室で1枚の答案用紙を見つめていた。
開始1分で出ていった少年・夏木レンの解答用紙だ。
その早さと全問正解の回答に榊の難しい顔はより難しくなっていく。
ガタッ
スッ
次に終わったのは玲奈。
解答用紙を榊に手渡すと教室を出ていこうとする。
「貴様、どこへ行く?」
「授業が終わったら職員室に来るよう、ハル先生に言われているので」
「橘!お前の学生生活が他の者と同じ平穏なものだと思うな!」
「I haven't never sent a peaceful day-to-day 」
「ーっぐ!」
そう振り向きざまに英語で言い放つと玲奈は教室を出ていった。
「玲奈ちゃん、すげぇ」
「今なんて言ったんだ!?」
コソコソ
ザワザワ
と男子たちが話し出す中、芹本はその後ろ姿を見つめていた。
(「今まで1度も平穏な日々を送れたことなど無い」、、、か。)
(玲奈、、、、、)
「テスト終了だ!全員前にもってこい!!」
「うわーまじかー💧」
「10分早すぎるってのー」
「やべーー半分しか書けてねえ」
「落ちた!これ100%階級ダウンだー」
そんな声を気にもせず榊は先程玲奈に渡された全問正解の答案用紙を見ると、その手に力を込めるのだった。
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