第6話
幾度かの魂を滅しつつ第二階の探索を続けること暫く。
途中から敵性の魂をレベル1の一刀の下に倒せるようになり、オドの自然回復量が消費量を上回るようになり、熟練度稼ぎが再開できるようなった。
順調にレベル上げを行い、この階層でも一度もダメージを貰うことなく、海命はこの階の門へと辿り着いていた。
そんな門の周りを周回している魂が一つ。
海命が門を発見した当初、門の反対側を移動していたその魂は、海命が門を潜ろうと近づいている中、ゆったりとした動きで円を描いている。
そんな魂を海命は知覚する、対して相手の魂は周回する動きが丁度海命へと近づいてくる軌道を描いていたため、こちらもすぐに勘づくことになった。
「ん?あれは・・・、っつ、気付かれた!」
門を周回していた魂は海命に気付くなり行動を開始、一直線に移動をしつつ鑑定を発動させた。
ゾクっ
―――
鑑定をレジストしました。
―――
海命は初めて鑑定を受け違和感を持ちつつも、システムの声によりレジスト出来たことを確認。
直ぐ様自分も鑑定を発動させる。
―――
LV.28
レース
素の魂LV.28
スキル
魂断刀LV.7
雲之衣LV.7
魔素探知LV.7
鑑定LV.7
ソウルステータス
HP28/28
オド28/28
攻撃力7
防御力7
―――
相手が近づいてくる中鑑定により取得した相手のステータスを確認。
「強い。」
海命はここにきて初めて自身の脅威となりうる存在を目の当たりにする。
ステータスの確認中も相手は近づきて来ている。
「はっ。」として、行動に移る海命、大分距離を詰められていることに、自分に対して「何をしてるの!」と活を入れなおし、目の前にいる敵へと意識を向けた。
直線的な動きで攻撃を届かせるべく移動している魂に対し、遅れて移動を開始した魂はやや弧を描くように動き出し始めた。
お互いの距離が近づいている中、片方の魂の形状が変化して腕を生やしスキルをその先端に発動先手をとる。
「んあっ!」
海命はいつも自分が行っていた攻撃手段と酷似した相手の行動に意表を突かれ、相手の魂断刀を諸に受けてしまった。
「落ち着け、・・・落ち着け・・・。」
初めてのダメージ、海命は動揺していた。
受けたダメージは5と低いものの、初めて受けるダメージは海命の心を乱しに乱していた。
「大丈夫、これなら相手のオドが尽きるまで攻撃を受けたとしても、消滅することは無い。」
そう自分に言い聞かせ動揺を落ち着かせようとしつつ、一旦距離を取ろうとする海命。その魂は何時にも増して揺らめいている。
「大丈夫、いつも通りやれば・・・。」
しかし、ハタと気付く、「こちらの攻撃は当たるのか。」と。
動揺し弱気になってしまっている海命は、そんな嫌な思いを秘めつつも、何とか相手へと向き直る。
しかし、その動きは先ほどまで他の魂を屠っていた時とは比べるべくもなく、躊躇いのある恐々とした動きであった。
そんな二つの魂は方や直線的に、方や弧を描き再度近づいていく。
そして、お互いに腕を伸ばし攻撃態勢に入るも、片方の魂、海命は相手が腕を伸ばす動きをみて瞬間スキルの発動が遅れる。
そんな状態では攻撃が当たる筈もなく、スキルは相手に届かずに相手の攻撃だけ受けることになってしまった。
そして海命はそのまま潰走した・・・。
しかし、そんな海命を見逃さず追走をする素の魂。
「やだ・・・。怖い。」
それを知覚しつつ逃げの一手の海命だが、ダメージを負い移動速度が落ちている彼女は相手の追撃を振り切れず、じりじりと距離を詰められていった。
「なんで、なんでなんで!こっちの方がレベル高いはずなのに!」
先ほどまで動揺を落ち着かせ何とかしようとしていた気も何処かに失せ、ただ逃げるべく移動をし続ける。
たが、そんなことが何時までも続くことは無い。
徐々に詰められる距離。彼らが幾つか他の魂とすれ違いなか、ついに腕を伸ばせば届く距離に到達する。
そして・・・。
「いやっ!」
自身に伸びる腕その先端にある刀を見た海命は、がむしゃらにスキルを発動させる。
スキル魂断刀LV.9を2重起動、二つの刀の内片方は相手の発動した魂断刀と接触しつつ、内包する攻撃力の差により敵の刀を砕き、攻撃力を減じながら相手へと届く。
もう片方の刀はこちらへと使づいてくるために、速度を上げていた魂へとそのまま届くことになる。
「はははっ!、なんだっ、あたるんじゃない!」
海命の心を満たしていた恐怖は、自分の攻撃が届いていたことにより、怒りへと転化する。
移動方向を逆転させスキルを発動、形状変化を用いることも忘れ、真直ぐぶつかりに行く。
それを見て取った相手の魂はスキルを即時に発動するし、海命のスキルに衝突させダメージを相殺する。
これでお互いのオドは尽きた。
その後は戦闘と呼べるものではない。
怒りに染まる海命はオドが回復するとスキルを発動、出鱈目に相手へと躍りかかる。
それに対応しようと何とかスキルを発動する相手の魂だが、ソウルステータスの攻撃力の差が明暗を別ける。
方や9、片や7の攻撃力。これではスキルに使用できるオドが同じであれば、防ぎきることは出来ない。一方的にダメージを受けることになる。
何度か繰り返されるスキルの応酬・・・、これは蹂躙だろう。
「ハハハッハ」
怒りによるものか、海命は嗤っていた。
その内にその笑いは引きつったものへと変じてく、「ヒヒヒヒヒ」と繰り返される暴力が10回を越えさらに数度行わた。
徐々にHPを減らしていく相手の魂は、HPが減る毎にその動きの精彩を失くしていく、スキルという暴力が10回を超えるとまともに動けなくなり、より一方的に暴力を受け。そして消滅した。
そんな彼女を観察しているシステムは、その状態に対して判定を下し、ある一つのスキルを確定させる。
―――
スキル
ジョブガウディウムインサニーレLV.1を獲得しました。
―――
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