第5話

「これならLPを雲之衣だけに使用しなくてもいいかな~。」

 海命は先に発見した自分へと魂断刀を使用する、雲之衣の熟練度の稼ぎ方を見つけた事により、LPの使用の優先度について改めに考えなおしを行う。

「魂断刀と雲之衣は熟練度と併用して上げていこう、魔素探知も時間経過でどんどん熟練度溜まっていくし、当面の間は鑑定のスキルレベルをLPで上げていこうかな。」

 自身の能力隠ぺいの為と、相手の能力隠蔽に対応するためという事で、LPの使用を鑑定のレベルアップ最優先にすることに決めた彼女は、早速鑑定のレベルを上げる事にする。

―――

スキル鑑定LV.3に上昇しました。

レース最初の素の魂LV.10に上昇しました。

―――

「よし、これでのこりLPは1か~、また経験値を稼がなきゃね。」

 そう言って他の魂を探し始める海命。

 移動しつつオドが回復しては自身の魂に魂断刀を宛がう彼女であった。

 そうする事15回ほど行終わった頃、新たに魂を発見する。

「動いていないようだけど、念の為に鑑定っと。」

 海命は慎重を期し鑑定を行い相手の能力を把握、鑑定した魂は素の魂LV.2でどうやら生まれたばかりの様子だ。

「これなら楽勝ね。」

 海命はゆったりと近づいていき魂断刀をその腕を振るい、相手の魂を2回切りつけ滅し、経験値を192獲得しLPを4取得。

 鑑定と魂断刀の使用で計3度のスキル行使でLP4を獲得することに成功した海命の心はホクホクすることになる。

「ふふ、たったこれだけのことでLPが4も手に入るなんていい感じ。」

 続け鑑定のレベルを上げ少し考えてから残ったLPを魂断刀に使用する。

 そして、海命はさらに魂を求め彷徨っていく。


 今彼女の前には波紋が広がっていた。

 その波紋は門、この階層世界ストラトゥムカルパーテルミヌスに於いてそれぞれの空間を繋いでいる物だ。

 この第一階層では、綿津見から溢れ出している海水を各階・各層を循環させる役目も持っており、その波紋の門からは絶えず水が流れ込んできていた。

「あれがみなみ様が言っていた門か・・・。」

 海命はみなみとの会話の中で聞いたこの世界の理を思い出していた。

 階層世界ストラトゥムカルパーテルミヌスで門を潜り抜け、先に進むという事は更なる試練へと挑む覚悟がいるという話を。

「う~ん、でもここだと既に戦闘らしい戦闘にならなさそうだしな~。」

 第一階は魂誕生の場として用意された場所、それも海命のような特別な存在を生み出す為に用意された特別な場所である。

 なので、ここで遭遇するのは海命と同じように成長し、思考を重ねることが出来る、彼女が最初にあったような魂か、その後に遭遇した固定レベルの魂達だ。

 儘達神々は前者をプレイヤーと呼び、後者をモブと呼んでいる。

 そんなプレイヤーの一つとして誕生した海命は、意を決し波紋としてそこに存在している門を潜った。

 門を潜った先は劇的に環境が変わる訳でもなく、依然として仄暗い水の中だった。

 第一階層第一層第二階に到達した海命は特に変化が無かった事に肩透かしを食らいつつも、周囲へと意識を向ける。

「門を潜ったときも何か違和感を感じるわけでもなし、う~ん、なんかこれから新しい試練が初まるって感じがしないな~」

 そして幾許かの時が流れこの階で初の遭遇を果たす。

 遭遇を果たすと同時に海命に対して明らかに接近し始める魂に対して即鑑定を使用する。

―――

LV.7


レース

素の魂LV.7

魂断刀LV.2

雲之衣LV.2

魔素探知LV.2

鑑定LV.1


ソウルステータス

HP7/7

オド7/7

攻撃力2

防御力2

―――

「ふむ、さっきまで居た階よりも明らかにレベルが上がっている。」

 相手の魂の形状は揺らめく球状、初期の頃の海命と同じような見た目だ。

「そして、大分早いっ。」

レベル上昇に伴いより、早く動ける様になっている相手の素の魂と距離を取りながら、どう動こうかと思案する海命。

「相手を倒すには最低でも4回スキルを発動しないといけない。下手に外してオドが0になったら逃げるしかなくなる。」

 レベル差により余裕をもって相手との距離を維持しているが、現状使用できるオドは11で相手を倒すために消費されるオドは8と「余裕はないね。」と思いつつ、気を引き締め攻撃を届かせるために行動を開始する。

 直線的に向かってくる相手に対し弧を描くように接近、この時の形状は球状のままだ。

 そして、海命は一瞬で腕を伸ばせることが出来ると判断した距離まで近づいたと判断するや、腕を伸ばしスキル魂断刀を4重発動。

 レベル上昇に伴うオドの上昇で、多重起動に余裕が出来たことにより、スキル多重発動数は上昇している。

 それを初手で躊躇なく切る海命。「どの道オドが切れれば逃げるしかないのならばっ。」と判断し、ここで仕留められなければ逃げへと転じる用意をしながらの4連撃からなるその一撃は見事に相手へと届く。

 相手の魂は急な形状変化に対応できずその四つの致命の一撃を受け霧散する。

―――

経験値695獲得しました。

LP14獲得しました。

―――

「ふー、相手の攻撃が通ることは無いと解っているとはいえ、攻撃を外せないというのは緊張するな~。」

 そう言いつついつものように周囲への警戒を怠らないようにと、程よい緊張を維持しつつ、

「さて、ステータス確認。」

―――

海命LV.12(ステージ1)


LP18


レース

最初の素の魂LV.12(ステージ1)

スキル

魂断刀LV.2 熟練度52/200

雲之衣LV.4 熟練度26/400

魔素探知LV.2 熟練度45/200

鑑定LV.4 熟練度3/400


タイトル

儘の祝福

みなみの加護


ソウルステータス

HP12/12

オド3/12

攻撃力2

防御力4


必要経験値

33/50

―――

「さて、今回の戦闘でこの階の相手のレベルが上昇していることは確実、だとすると・・・、まずは魂断刀・雲之衣・魔素探知のレベルは上げておきたいね。これでLP8消費してるから、残りLPは6っと。え~そうなると、もう一回魂断刀と魔素探知のレベルを上げれば全部消費しきるか~。・・・うん、それでいこう。」

―――

海命LV.17(ステージ1)最上位


LP4


レース

最初の素の魂LV.17(ステージ1)

スキル

魂断刀LV.4 熟練度52/400

雲之衣LV.5 熟練度26/500

魔素探知LV.4 熟練度45/400

鑑定LV.4 熟練度3/400


タイトル

儘の祝福

みなみの加護


ソウルステータス

HP17/17

オド8/17

攻撃力4

防御力5


必要経験値

33/50

―――

 レベルアップしたステータスの確認をしている海命。

「よし、これでさっきと同じレベルであれば外さなければ2撃で倒せるようになったね。オド消費は全力で打てば8だけど加減すれば消費は抑えられるから、そこは加減していきましょ。」

 現在の彼女のソウルステータスの攻撃力は4、手加減無しの魂断刀の発動でさらに攻撃力が上乗せされて攻撃力は8になる。

 そして、先ほどの魂の防御力は2なので、加減無しの攻撃で6ダメージ通ることになる。なので、加減してスキルを発動させないとオドの無駄な消費となってしまうのだ。

 なので、レベル7で同じスキル構成の場合だと。レベル2相当まで手加減した魂断刀で一撃、レベル1相当まで手加減した一撃で、4ダメージ・3ダメージを与えることでオドの無駄な消費を抑えることが出来る。

 この時のオド消費はたったの3だ。

 現状のオドが消費した海命でも、攻撃を外さなければ2連戦出来る計算になる。

 また、防御に関しては全くダメージが通らないため完封勝利となる。

 たった一回の戦闘で先ほどまでのオドの消費に無駄に意識を向けずに済むようになったのは、彼女にとってかなり心の余裕を持たせることになる。

 ただし、オドが最大値迄回復しきるまでの時間はレベルの上昇と共に伸びているのが「少々気がかり」などと思う海命である。

 海命は徐に移動しつつ探索を続行する。

 数分後オドが回復しきらないうちに魂と遭遇する。

「今回が偶々なのかどうかはまだわからないけど、遭遇頻度があがってる?」

 彼女のオドは現在11で、前回の戦闘から3しか回復が出来ていない、時間に換算すると3分少々しか経っていない。

 今回は魔素探知のレベル上昇の恩恵を受け、相手よりも先に探知領域へと捉えることが出来た海命は余裕をもって行動に出る。

 まず、いつも通りに相手の能力の確認、これは先ほどの魂と同様のレベルとスキル構成であったため、問題なく撃破できると判断し攻撃を開始する。

 移動を開始し始め相手の探知範囲に捉えられる海命、そして接近してくる魂を探知した相手もまた、攻撃するための行動を開始するが、残念なことにレベル差によるステータスという壁の前になす術も無く撃破されてしまうのであった。

 危なげなく勝利を手にし、LP14を獲得し早速レベルアップを行う。

 今回海命が上げたスキルは魂断刀・魔素探知・鑑定でそれぞれをレベル5まで上昇させLP12を消費し残りLPは4となった。

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