第2話

 第一階層、管理神が一柱みなみが管理する階層で、水に因んだ特性をもった様々な階と層で成り立っている階層だ。

 そして、この世界で全ての魂が生じるはじまりの場である。

 そのはじまりの場は海水で満たされていた。

 この海水は聖子と魔子で形作られた魔素が変化したものである。


 水

・すい

・みず

・みづ

・み

・たいら

・な

・なか

・みな

・ゆ

・ゆく

・みなみ

・透明

・無味無臭

・蒼

・液体

・物質

・液状

・邪魔

・故障

・誘い

・潤う

・染み込む

・流れる


 この第一階層でみなみによって解釈される水とは、無味無臭透明の蒼い液状の物質で、流れ染み込み潤おわせ、魂の誕生をいざなうものだ、


 海

・かい

・はい

・うみ

・あま

・うな

・か

・み

・全体が一続き

・たたえる

・多く集まる

・一面に広がる

・広く大きい

・辺境

・地の果て

・流れる水

綿津見わたつみ

結髪けっぱつする女性

・黒い髪

・暗い

・広く深く暗い


 海とは全体が一続きとなる流れる水が多く集まる広く深く暗い綿津見と言う名の女性。

 すなわち海水とは、綿津見を流れる水の事を指す。

 そしてその綿津見はこの第一階層の最上層たる第十層十階に核となる存在がある。白い頭骨に繊維が寄り集まって出来ている黒い繭を核として、この第一階層を満たす全てのものが綿津見であり第一階層である。

 そしてこの繭には目が一つ付いており、この目は下・・・つまり下層に向いている。

 この目から海水があふれ落ちており、階層を海水で満たしている。

 綿津見は痛みを伴いつつも魂を生み出すべく、ただ海水をその女性の器の象徴たる目から溢れださせている。

 そんな痛みを伴い溢れ出している海水は、下層に向かうにつれ魂が生れるための因子を濃していく。

 そして、因子が凝縮しきった瞬間最下層で最初の素の魂は生まれる。

 これ以降、まるでこの最初の素の魂の誕生を呼び水として、次々と素の魂は生まれてくるようになった。

 母の胎水が最も濃くなっている場で生まれた魂たちは、雲霞の如く揺らめきながら上層へと立ち上っていく。


 第一階層綿津見で生まれた最初の素の魂は今、儘により解釈を与えられたところであった。

 雲霞の如く、揺らめき儚い脆弱な存在は、生まれたばかりの若々しいその心が働きだすのを自覚した。

 あ・・・、行かないで・・・。

 その時にそれが思ったのは、一人にされてしまう恐怖であった。

 意識が無いながらもそれは自身の傍にいたであろう、絶対の存在感が離れていく恐怖を感じていたが、それと同時に別の感情も去来する。

 それは安心、恐怖と安心という相反する感情を、いきなり突き付けられ動揺するも、やがては安心がその恐怖心を拭い去っていく。

 その、母の胎内に居るがの如く安心は一人ではないとそれに思わせ、恐怖を取り除いたのだ。

 だが、先ほどまで確かにそこに存在していた、絶対なる存在はそれにとって掛け外のない存在となりその心に焼き付いた。

 それは、いつかまたその存在に出会えるだろうかと思い。そして、いつか

出会いにいこうと誓う。

 新たに誓いをその心に刻んだと同時に、どこからともなく声が届く。


「おめでとうございます。貴方はこの世界の創世神儘より祝福を授かりました。」

「え?創世神?」

「そうです。この世界ストラトゥムカルパーテルミヌスで最初に生まれた魂として、創世神たる儘様御自ら御出でに下さったのです。」

「それって、ものすごいことじゃ?」

「それはもう、なんといってもこの世界を創造してくださった、尊いお方ですから。」

「えへへ、そうなんだー。」

「そんなあなたには、これから私が色々な事を教えてあげます。あ、私の事はみなみと呼んでくださいね。」

「はい、みなみ様。・・・ところでみなみ様はどのような方なのですか?」

 それは、いきなり話し掛けられ意識していなかった事柄に気付く、果たして自分はナニと会話をしているのだろうかと。

「おっと、名前だけ教えても解りませんね。私はみなみ、創世神儘により生み出された、この世界に存在する四つの階層の一つ、第一階層を預かる四柱の管理神が一柱です。」

「えっ・・・、みなみ様も神様なのですね。」

「はい、お父様・・・、創世神儘様程ではないですが、神様ですよ~。」

「お父様ですか・・・。」

「ふふ、あなたもお父様の子供と言える存在ですよ。」

「は、はい!」

 それは、自分があの存在の子供と言われることに、そしてそのことを神と言われる存在に伝えられることに、幸福を憶え歓喜の念に満たされる。

 その霞の如き魂は歓喜に震え揺らめいる。

「では、早速ですがあなたにはこの世界の成り立ちを教えていきます。」

 みなみは、ミトロジア紀から始まる天地開闢の話を始める。

 このストラトゥムカルパーテルミヌスという世界は四つの階層で成り立ち、それぞれが管理神によって管理されていく事を。

 この世界を渡るうえで欠かせないシステムの話を。


 この世界は元は虚無崩壊の場と言われる場でしかありませんでしたが、そこに最上神アダム様とエヴァ様の命を受け、お父様が世界創世を成す為に転移してきました。

 そして、お父様は自らの身体を切り取った神力を用いて世界の礎を築き、それを管理する為にお母様や私のような神を生んでくれました。

 また、私たちのような存在を補佐する役目を持つ存在もいます。

 そうして、お父様によって創造された世界は四つの階層に分けられ、私たち四神が直接管理し、私たちを統合的に管理するお母様が全体のバランス調整等を熟しています。

 そして、今現在お父様はこの世界の理の管理に勤しんでおりとても忙しい身となっています。そんな中、あなたが誕生したのですよ。

 さて、この世界の成り立ちについて、大まかな物ではありますが説明しました。ここまでで何か質問はありますか?


 みなみはこの世界が何度か崩壊を繰り返していることを一切伝えずに、ミトロジア紀からあたかも天地開闢が始まったかのような説明をした。

「はい・・・、話が壮大すぎてとてもついていけません。」

「それは仕方のないことですよ。世界創世の力を保有するのは、お父様のような創世神の役を担わされた神々のみですから。」

「神々ですか・・・、他にも創世神さまはいらっしゃるのですか?」

「この世界には居られないですね。創世神は一つの世界に基本一柱になるので。」

「そうですかー。」

「はい、お父様はこの世界で唯一無二、絶対なる至高の存在です!」

 この後もみなみとそれは、儘の偉大さや優しさなどの話を続けるが、少々・・・かなり長引くことになるので、割愛させていただき少し時間を進めることにしよう。


「と、お父様は大変偉大なお方です。そして、そんなお父様が創造したこの世界で生きていくために、この世界の理の一つステータスの使い方を教えましょう。とりあえず、言われた通りにしてみてくださいね。」

「はいっ。」

「まずは自分の内側に意識を向けながら、ステータスオープンと念じてみてください。」

それは、言われるがままに自分の内側を意識し、「ステータスオープンっ」っと、念じた。


―――

LV.2(ステージ1)


レース

最初の素の魂LV.2(ステージ1)

スキル

魂断刀こんだんとうLV.1

雲之衣くものころもLV.1


タイトル

儘の祝福


ソウルステータス

HP2/2

オド2/2

攻撃力1

防御力1


必要経験値

0/50

―――


「わ、なんか色々浮かんできました!」

「それがあなたの能力をシステムが判定したものです。」

「能力をシステムで判定?・・・ですか。」

「はい、システムは常にあなたを観測しています。それによってあなたの上昇した能力を判定しています。また、システムはあなたに力を与えることもします。これは、経験値を溜めることによって獲得できるLPを使用することで獲得することが出来ますので活用してください。」

「はい、経験値を溜めるにはどうしたら?」

「経験値は敵を滅する事によって獲得できます。」

「敵ですか・・・、それはどこにいるのでしょう。」

「この世界のどこにでも。あなた以外の存在全てが敵です。ですが、その中にもあなたにとって有益な存在が現れれば、それは貴方にとって味方となるでしょう。」

「なるほど、余程のことが無い限りは見的必殺の心構えでいた方がよさそうですね。」

「そうです、相手との間に隔絶した能力差が無い限りは、予断を許さず滅した方がいいですよ。では、その滅する方法なのですが、それはスキル詳細を確認すれば解ると思うので確認してみて。」

 それは、浮かび上がったスキルに意識を向けた。


―――

魂断刀LV.1

魂断つ刀。

魂を直接攻撃することが出来るスキル。

形状はスキル保有者の意志に則す。

レベルが1上昇するごとにソウルステータスの攻撃力が1上昇。

レベルが1上昇するごとにスキル攻撃力が1上昇し、使用時のオド消費も1上昇する。


雲之衣LV.1

魂を保護する雲霞の如き衣。

魂を直接攻撃してくるスキルなどから身を守るスキル。

形状はスキル保有者の意志に則す。

レベルが1上昇するごとにソウルステータスの防御力が1上昇。

―――

 それがスキルへと意識を向けると自然と使い方も理解した。

「なるほど・・・、ソウルステータスの攻撃力とスキル攻撃力が相手に与える打撃力となるのですね。」

「そうです、そして攻撃力は防御力によって減衰します。」

「となると、私と同格の相手を倒すにはどうにかして先手を打つ必要があるという事ですか。」

「そうなりますね、今のあなたのように保有しているスキルが少ない現状では、スキルをどのように使うかよりも、どのように立ち回るかの方が重要でしょうね。」

「はは、祝福を受けた実ですけどいきなり消滅するとかもあり得そうですね。」

「それは、あなた次第としか言えませんね。」

 そうは言いつつもみなみは確信をしている、お父様の祝福を受けた存在がそう簡単に滅することが無いと。

「これは、厳しいな~。何とか消滅しないようにしないと。」

 その後レースの能力の確認と、タイトルの確認をするそれ、儘の祝福の能力である必要経験値半減を知り、自身の成長が他の魂と比較して倍になることを儘に感謝しつつ時間は進んでいき、ステータスの読み方などの説明が終わる。最後の段になりみなみがそれの下から意識を外そうとしていた。


「では、この世界の理のほんのさわりですがお教えしました。今後はあなたの力で生き残ってください。」

「はい、ありがとうございます!」

「では、最後に私からあなたに贈り物です。」


―――

第一階層管理神みなみより真名『海命みこと』を授かりました。

第一階層管理神みなみよりタイトルみなみの加護を授かりました。

―――


「あなたのこれからに幸多からん事を。」

 そう言い残しみなみの声は聞こえなくなった。


―――

現在の海命のステータスと詳細説明


真名『海命みこと』LV.2(ステージ1)

最初の素の魂にみなみが授けた真名。

海で生まれた命、神の御名に於いて命じる。

汝は海命みこと


レース

最初の素の魂LV.2(ステージ1)

儘の祝福を受けたミトロジア紀以降に初めて生まれた魂。

レベルが1上昇するごとにソウルステータスのHPとオドが1上昇する。

必須スキル

魂断刀LV.1

雲之衣LV.1

必須タイトル

儘の祝福


スキル

魂断刀こんだんとうLV.1

魂断つ刀。

魂を直接攻撃することが出来るスキル。

形状はスキル保有者の意志に則す。

レベルが1上昇するごとにソウルステータスの攻撃力が1上昇。

レベルが1上昇するごとにスキル攻撃力が1上昇し、使用時のオド消費も1上昇する。


雲之衣くものころもLV.1

魂を保護する雲霞の如き衣。

魂を直接攻撃してくるスキルなどから身を守るスキル。

形状はスキル保有者の意志に則す。

レベルが1上昇するごとにソウルステータスの防御力が1上昇。


タイトル

儘の祝福

ストラトゥムカルパーテルミヌスの創世神儘の祝福を授かったものへと与えられるタイトル。

必要経験値が半減する。

みなみの加護

第一階層管理神みなみから加護を授けられたものへと与えられるタイトル

水に関係するスキルの熟練度半減


ソウルステータス

HP2/2

オド2/2

攻撃力1

防御力1


必要経験値

0/50

―――

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