崩れゆく常識

ーーー「パァァァァン」ーーー

と乾いた音が響き渡る。俺は意識を失う前にその人の顔を見た。その人は

「俺だった」

ー午前7時ー

「お兄ちゃん〜! 起きなさい! 朝よ! ごはんよ! 遅刻するよ!!」

「はああい」

俺はゆっくりと身体を起こす。少し頭が重く感じる。そう言えば昨日何かあった気がすると思い出そうと頭をフル回転させたが思い出せない。 ゲームの画面を見ると戦党をオートモードにしていたため変なコマンドになり敵にやられてしまったようだ。全滅している画面がそこにはあった。どうやら負けたらしい。ちっ なんでオートモードなんかにしたんだ。そして俺は常日頃から思っている望みを口に出した。

「俺がゲームの世界にいたら負けるわけないのにな」

その瞬間ドクン、ドクン と心臓が波打ち、体が熱くなってきて、最後には頭の中で何かがスゥーっと消化されて行くへんな気分だった。

「そう来たか」

と馴染みのある声がした。その声は聞き覚えがあるのではなく

「よう! 郁昌君!」

そう。自分が発している声と被ったからだ。振り向くと俺がいた。 詳しくはわからないが鏡で見るのと同じ俺だった。

「誰?」

とこわごわした声で聞いてみる。

「郁昌だよ」

「…………まさか〜 へへ いくらなんでもそんなことってありえないよな! ゲームのしすぎだな……」

と言いながら内心はとても焦っていた。(えええちょっとまって! 落ち着こう俺 これは夢だそう! 夢! )

「ううん 現実だよ?」

と言って俺の頰を引っ張る。

「 ………………。これはあのドラ◯もんのコピーロボット! なんだな! どっかで俺のDNAを採取して………ってどこで!!」

もう郁昌には考えている余地がなかった。 頭がパンクを起こしたのだ。

「昨日もあったよね」

と苦笑しながら言われた。そして昨日の出来事を思い出して行く。

「昨日そういや4時頃に目が覚めてトイレに行こうとして… 誰かがいると思ったら…」

「うんうん♪」

「それで……あ!!!おっ お前! 昨日の! って 俺?! えっ えっ ちょっとどういうこと??」

俺は少しクラッときた気がした。銃で打たれたはずの俺が生きてたり、自分と瓜二つの人物がいたり、いろいろだ。

「まあ驚くのも無理ないか 僕は お前と同じ名前の郁昌だよ。訳あってここにいるんだ」

訳がわからなかった。訳だけに。なーんて言ってる場合ではなかった。

「なんで 俺はもう一人いるんだ?」

と俺は焦り気味に聞く。

「理由はある。 まあ落ち着いて。並行世界があるっていうのは知っているか?」

「並行世界? あー 同じ時を過ごしているけど全く別の世界が存在するっていうあれか。 」

そう…並行世界。並行世界とはある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界を指すらしい。ちなみにwiki調べである。

「どうやらそうらしい。僕もついこの間知ったことだ。 」

「でもなんで! その世界の人がここに?!」「実は何者かがこの世界とそちらの世界を繋げたようなんだ。 目的は “世界の統合” と考えられている。」

「その“世界の統合”が起きると どうなってしまうの? 」

「わからないんだ。だが 1つ言えるとすれば “今の日常は送れない ”ということだ。 とりあえず 状況は掴めたか?」

正直 ファンタジーのような話だった。本当にあるとかいろいろ頭の中の常識が崩れてゆく。 しかし 一個気がかりなことがあった。「 状況はまあ混乱してるけど一様 理解はした。 でも昨日のは何? 俺に何を!」

すると向こうの俺はフッと笑った。

「imagine を植えたのさ」

はっきり言うと 意味がわからなかった。

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