第38話 ロリ王決定戦
──これはとある夏休み明けに開かれたロリコン達によるロリコンのためのクイズ大会。
「さぁ今年もやってまいりましたロリ王決定クイズ大会、今年の王者は誰になるのか……まずはこの名誉ある最低な大会にエントリーしてくれた四人の
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
司会の言葉に会場全体からけたたましい雄叫びが飛んでくる。
どうやら会場の方の熱気も十分のようだ。
「まず一人目……ロリを訪ねて三千里、もうお姉さん系は信じない俺はロリ道を極めるんだ! ほしかわああああ、みつるううううう!!!!」
「二人目……幼い子はロリだけじゃないよ! ロリコンでありながら同時にショタ属性も持つまさに両刀! かきもとおおおおお、あかねえええええ!!!!」
「そして三人目……僕が、僕達が、
「最後四人目……去年のロリ王クイズ大会の優勝者、今年こそ彼女を超えられるロリコンは現れるのか!? あずみいいいいいい、なぎさあああああああ!!!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!』
「以上の四名で行います! それでは一人ずつ意気込みをお聞きしたいと思います。まずは星川充さん」
「はい、俺は最近少し変化がありまして、よりロリに対する愛情が強くなりました。絶対に負けません!」
「おお、凄い意気込みですね。ちなみに優勝したらどうしますか?」
「そうですね。まずは俺の恋……をしているロリに報告をして頭でも撫でてもらおうかなと思います」
「おー! それはいいですねぇ、羨ましい! いつでも通報の準備は出来ているので、彼に頭なでなでを強要されたロリはこちらのお電話まで」
「こらこら!」
「あ、失礼しました。……では次に行きます。次は柿本明音さんお願いします」
「はい。私は今回初出場でかなり緊張していますが、いつも通り冷静にロリとショタの事だけを考えて望みたいと思います」
「おー早速の危ない人宣言いいですねぇー。ちなみに優勝したらどうしますか?」
「前の星川選手と被ってしまいますが私もお気に入りのロリに頭なでなでしてもらおうかなと!」
「うーん、これは女同士だからセーフなのか? でもなんか危険な香りがするのでやっぱりなでなでを強要されたロリはこちらのお電話まで!」
「お次は昨年度惜しくもチャンピオンに敗れてしまった湊拓海さんお願いします」
「はい。先ほど哨戒してもらった通り昨年はあと一歩のところで届かなかったので、今年こそ僕の人生ならぬロリ生の中で詰め込まれた知識と体験を存分に発揮してチャンピオンである安曇選手を王座から引きずり下ろしたいと思います!」
「おぉー! かなり強気の発言! それだけ自信があるということですね。ここまで来るのにロリに手を出したりイヤらしいことを強要していないか心配になる発言です。ちなみに優勝したらどうしますか?」
「んー、やっぱり僕も一人のロリコンとして意中のロリに沢山褒めてもらいたいですね。そしてあわよくば一緒にお風呂に入るか寝れたらいいなと!」
「内容はともかく意気込みだけは素晴らしい! でももしそうなった場合我々が責任をもって警察に通報させていただくのでご安心ください!」
「最後は昨年度のチャンピオン……安曇渚さんお願いします」
「はい、ご紹介に預かりました安曇渚です。昨年は運良くチャンピオンの椅子に座ることが出来ました。今年は昨年私を苦しめた湊選手を始め中々に手強い精鋭達が集っていますが、今年もこの座を守れるように頑張ります!」
「堂々たるチャンピオンのお言葉をありがとうございます。ちなみに今年優勝されれば三連覇となりますが、何か特別な事をされるんですか?」
「そうですね、一昨年は
「具体的にはどうされるおつもりで?」
「ロリハーレムを作って温泉でイチャイチャしようかなと!」
「はい、危ない発言をありがとうございました! それでは一旦休憩を挟んでから大会に移りたいと思います!」
ロリコンの方、百人に聞きました。
急須でいれたロリに一番近いのはどれ?
「うーん、甘みがある」
「苦味時々甘みのツンデレだな」
「あ、ロリのおかわりいいですか?」
ロリは旨味(意味深)。
……なんだこれ。
「さて、ついにクイズ大会が始まりました。早速クイズと参りましょう、まずは身長体重問題から、第一問!」
十一歳、小学六年生女子の──。
──ピンポーン!
問題が始まってすぐに四人ほぼ同時にボタンが押される。
誰が回答者になってもおかしくない……そんな緊張が会場に広がる中回答権を得たのは……。
「拓海さん、お願いします!」
「おしっ! 約146cm!」
「…………」
会場内に再び緊張が走る。
それもそのはずで、問題としてはまだ十一歳、小学六年生女子の……までしか出されていないのだ。
その上、どうしてこの数字が一瞬で出てくるのかという疑問となんでそんな事を覚えようと思ったのかという疑問が混ざりあった空気が会場内に溢れていた。
司会がマイクを握り直す、この回答は正解か不正解か……。
「……正解!」
「よっしゃ!」
司会の言葉に会場全体からそんなことがすぐに出てくるなんて凄い歓声とどうしてそんなことがすぐに出てくるのという悲鳴が同時に湧き上がる。
だがどちらの答えも同じことだ。
僕がロリコンだから。
「ということで会場内から予想通りの歓声と悲鳴があがったことで第二問!」
小学一年生女子の平均体重──。
──ピンポーン!
「おお今回は少し慎重にいきましたね。はい、星川さん!」
「──コホン。約21kg」
会場内に漂い始める緊張感。
司会がマイクを握り直す。
「……不正解!」
同時に少し残念に思っている声とどこか安堵しているようにも聞こえる声があちらこちらからきこえてくる。
「はいはい、ちゃーんと問題を聞いてくださいね」
小学一年生女子の平均体重は……21kgですが、その前の年との差は──。
──ピンポーン!
今度は渚と明音の二人のみ同時にボタンを押す。
再び会場内に走る緊張感。
男が押した訳では無いからか悲鳴は聞こえずただただ沈黙のみが支配する。
そもそも会場内にいるほとんどの人は平均体重すらわからないというのにこの変態達は秒速で答えているというのが異常なのだ。
恐らくそれもこの沈黙の理由の一つだろう。
そして回答権を得たのは……。
「安曇さんどうぞ!」
「……0.1kg」
「…………」
この回答、答えを知っているものがこの会場内に果たしてどれだけいるだろうか。
そんな難易度の問題なのだが……。
「正解!」
「ありがとうございます」
流石はチャンピオン……しっかりと抑えてきた。
充のミスを見て少し慎重になりすぎていた事が悔やまれる。
「流石チャンピオンですね、これでチャンピオンと湊選手が一ポイント、去年と似たようなスタートですが、まだまだクイズはありますので星川選手も柿本選手にも頑張ってもらいたいところです」
「……では、身長体重クイズから次の問題に移ります」
そんなこんなでロリ王決定戦は続き、ついに最終問題。
この時点で柿本と充の優勝はなく、去年同様僕と渚さんの一騎打ちになっていた。
「ふふっ、やっぱり君が最後まで来ると思ってたよ」
「今年こそ王座から引き摺り下ろしてあげます」
「やれるものならやってみな♪」
「遠慮なくいかせてもらいますよ」
そんな小声でのやり取りを、見守る健気なロリとメイドが。
「……先生」
──最終問題が始まる前の休憩時間。
「先生!」
「愛莉? 来てくれたんだ」
「はい、最初からは無理でしたがなんとか間に合いました」
「ありがとう」
言いながら私の頭を撫でる先生の手は少し震えていた。
やはりいくら先生といえど大会の優勝がかかっていると緊張が抑えられないのだろう。
私はそっと先生の大きな手を両手で包み込む。
「愛莉?」
「先生、大丈夫です!」
「……うん」
私の応援に先生は力強く頷く。
もう先生の手は震えておらず、これなら大丈夫だと私は信じている。
だから頑張ってや信じてるなんて言わない、私は先生の事を信じたいのではなく心から信じているから。
「先生、行ってらっしゃい♪」
「うん、行ってくるよ愛莉」
そう言って先生は会場へと戻って行った。
「……でも本当にあれで良かったんですか愛莉様」
「良かったって何がですか?」
「先生への応援ですよ。大丈夫と行ってらっしゃいしか言ってないように思えたので」
「ああその事ですか。先生なら大丈夫ですよ。だって私の将来の
「夫の事を信じるのが妻の役目、ですから私は先生の事はこれからずっと信じていくつもりです。本当に信じているなら言葉はいらないと……私は思っているので」
視線はそのまま拓海の元へ。
これで全部が決まるというのに楽しそうな顔をしている彼を見ているだけで安心できる。
「……それでは最終問題に移ります。お二人とも準備はよろしいですか?」
『はいっ!!』
「なお、最終問題はこれまでの早押しとは違い、答えを手元のホワイトボードに記入して一斉に提示してもらいます。では問題!」
28年度長野県の小学一年生女子の平均身長を小数点第一位まで答えなさい。
「これはお二人に少し簡単なのか余裕の表情ですね。お、二人ともペンが止まりました、では答えをどうぞ!」
『115.5cm!』
「おっと、やはり二人とも回答が被りましたね……この答えは、正解です!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
会場内に歓声が響き渡る。
全国平均を覚えるのでさえ一般的に難しいというのにそこに県別が加わって来ると更に答えられる人は限れるだろう。
……念のために覚えて置いてよかった。
拓海は心の奥底からホッとした。
「では次の問題!」
平成26年度、17歳女子の平均身長で一番高い都道府県はどこ?
「おぉっとこれはさっきとは違って一気に難易度が跳ね上がりましたね~、流石に二人とも少し苦しそうな表情を浮かべて……お、今両者のペンが止まりました! では答えをどうぞ!」
「東京都!」
「山形県!」
僕と渚さんの答えが割れ、会場内がざわめく。
僕の答えは東京、渚さんは山形。
しかし僕はこの答え自身を持って答えられている訳ではない。それもそのはずで、これを覚えたのは去年の事で詳しい年数までは覚えていなかったのだ。
「おーっと! ここで答えが割れた! つまりここで決着がつく可能性があるというわけですね……あ、今私の手元に答えが書かれている神が渡されました」
そう言って司会の人はその紙をひらひらと掲げる。
ちなみに僕が記憶しているのは、答えた東京以外に、渚さんの山形、そして神奈川の三つのみだ。
恐らくその中に答えがあるはずなのだが……。
司会の人が紙を開き、マイクを握る。
既に答えは書いてあるのに、思わず手に力が入ってしまう。
「正解者がいます」
この一言で会場内は今までにない緊張感に支配される。
それもそうだ、これはつまり決着がつくことを意味するのだから。
「この問題を正解し、チャンピオンになったのは…………湊拓海選手!!」
その瞬間、会場内のあちこちからクラッカーの音や紙吹雪がひらひらと舞い落ちる。
しかし僕は未だに信じられないでいた、この問題落としたのは確実に僕だと思っていたからだ。
「ちなみに前チャンピオンの回答は26年ではなく23年の一位ですね。いやー、惜しいところまでいったんですけどね」
司会の人がこの答えの説明をしていると、渚さんは小声でこちらに語りかける。
「拓海くんおめでとう」
「ありがとうございます渚さん」
「今日から君がロリ王だよ♪」
「はいっ!」
こうしてロリ王決定戦は僕の優勝で幕が降りた。
僕はきっとこの日の事はずっと忘れないだろうと、試合終了後に嬉し涙で顔をぐしゃぐしゃにした愛莉に抱きつかれた時、そんな事を考えていた。
今まで追いかける側だった僕が今日から追いかけられる側になる。
これからもより一層一流のロリコンとして己を磨くことを決意した僕であった。
……ちなみに優勝したご褒美としてその日は愛莉と一緒にお風呂に入ったのはまた別のお話。
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