第24話 新しいロリとの出会い
僕の名前は湊拓海。十六歳の高校二年生。
親友のクラスメイトと同人サークル『幼子の楽園』で、たくみなというペンネームでやってます。
それ以外は何もかもが普通の僕だったが二ヶ月前……ゴールデンウィークに入る直前、僕の世界は大きく変わった。
僕、たくみな先生のファンであり動かそうと思えば数億円すら動かせてしまうほどの女子小学生……朝武愛莉と結婚を前提にお付き合いをしている。
愛莉と出会ってから色々な事があった。
それはごくごく普通の一般人をやっていたら決して見られない世界を見たりもした。それを見せられる度に驚きながらも僕の中の世界は少しずつ変わっていった。
そしてそれはいつしか僕の日常になりつつあって────。
今は八月。
明日から学生最大のイベント、夏休みが始まり少したった頃。
心躍るような気持ちを抑えられない夏休みだというのにも関わらず、生徒会長である
「なあ拓海よ……俺は今までちっぱいこそ至高だと思っていたんだが少しくらいなら大きくても良いと思うんだ」
「……充」
「なんだ?」
「いい病院を紹介してやるから早めに行けよ」
「…………」
流石夏休みというだけあって、暑いうえに今日は沢山働かされたからな。
きっと充もその暑さとかにやられたんだろう。
それを早めに伝えてやるのも親友の務めというものだろう。
しかしその親友は悲しくも真面目なトーンで僕に語りかける。
「……よく聞け拓海」
「うん、よく聞くからちゃんと病院に──」
「だからよく聞けってぇ!!」
「わかったわかったから、揺らすな揺らすな!」
「……それで、充がそんな事を言うなんて……どうしたんだ?」
肩を思いきり揺らされた反動で少し乱れてしまった制服を直しつつ、事情説明を求める。
「お前『
「一夜梓桜? まあ一応名前くらいなら知ってるけど」
一夜梓桜。
年齢は十二歳で今は小学六年生。
最近になって人気が出てきたアイドル……らしい。
これから先に期待できるということもあって、愛莉も事務所に投資をしようか悩んでいる……という話を愛優さんから聞いた気がする。
「それでその一夜梓桜がどうしたんだ?」
「なんかこのしおり市で似たような人を見たっていう情報が入った」
「……は?」
情報……充はそう言ったが十中八九出どころは
そこから出てくるロリ関係の情報は絶対というレベルで信用が出来るのだが、今回ばかりは疑わざるを得なかった。
人気急上昇中のアイドルがこんなところに来るわけがない……と。
「それが本当なら俺と一緒に探してみないか?」
しかし隣にいる親友は探す気満々で、既にカバンを片手に持っていた。
僕は呆れながらジト目を向ける。
「でも似たような人ってだけで本人かわからないぞ? それにお前みたいなロリコンだと逃げられるんじゃないか?」
「そんなもの拓海と挟み撃ちにすればいいだけだろう! それとな、ここの情報はほぼ絶対だ、大丈夫、俺を信じろ!!」
どこからその自信が出てくるのかはわからないが、こうなった充はもう止められない。
実のところ僕もそれが本人なのかは気になっていたところでもあるので……。
「わかった。一緒に探そうか」
こうして僕達は本人かわからない一夜梓桜を探すことになった。
──そしてそれから一時間後。
「ぜんっぜん見つからねぇ……」
「人気急上昇中って聞いたからどこかに人溜りでも出来ているかと思ったけど案外そんな事はなかったな……」
色々な所を走り回ったが、結局影すら見つからず気付けば缶ジュースを片手にしおり公園のブランコに座っていた。
「もしかしたら本当に見間違いだったのかな……」
「そもそもこんなキラキラしている子が街を歩いていたら……って言うのもあるしね」
「だよなぁー」
スマホに映し出されている一夜梓桜の画像をちらりと見ると、充はぐいっと入っているジュースを飲み干し、悔しさをぶつけるようにゴミ箱へ投げる。
投げられた空き缶は綺麗な弧を描きながらまるで吸い込まれるようにゴミ箱の中へ。
こいつは普段からは到底想像もつかないくらい運動神経が良い、その上学力も良くイケメンなのだから天は与える者には二物も三物も与えるから卑怯だと時々思ってしまう。
「……ん?」
その時、ゴミ箱の向こう……正確に言うなら自動販売機に何やら怪しげな雰囲気の女の子が立っていた。
普段なら気に止めるはずもない普通の白のワンピースを着ているだけの少女なのだが、その女の子にとてもよく似た雰囲気の女の子をつい先程見た気がしたのだ。
それも本当につい先程で…………。
「あっ──」
そう思ったのもつかの間、その少女は一瞬だけこちらを見るとそのままどこかへ走り去ってしまう。
「ん、どうしたんだ拓海?」
「いや……さっきそこの自動販売機のところに一夜梓桜がいたような気がしたけど……」
「えっ、本当かっ!?」
「あ、いやごめん。気のせいだったかも……」
「なんだよー、期待させやがって……ちくせう」
「というか充は
「それをロリ婚してるやつに言われると物凄く腹立たしいんだけど……。まぁ確かにお前よりは
「いいじゃないか、俺はなんだかんだで連絡先知らないんだし」
「は? ならあの二人とはどう連絡取ってたんだよ」
「全て愛莉がやってくれたけど?」
「は~~、これだからロリ婚してる奴は……」
「いやそれとこれは関係ないだろ」
「いいやあるね! 俺が彼女達と遊んだりするには、まずそれなりに仲良くなって、それから連絡先を知る……と、段階を踏まなければいけないのにお前の場合は友達サービスみたいな感じで呼べばすぐに遊べるだろ!?」
「いやそんなことは……あるけど」
「ほらなぁ!!」
「でも充だって同じような位置にいるでしょ?」
「頑張ったからな。……で、お前にちょーっと御教授して欲しいことがあるんだけどさ」
「……なんだよ」
そう言いながら手を揉み揉みしはじめる充。
こいつがこういう風にお願いする時は決まって余り良くないお願いの時だ。
「センパイ! どうやったらロリ婚出来るか教えてください!!」
「知らないです」
「ただ話が長くなりそうだから今日はお前ん家で会議な!」
「いやだから知らないから会議とか開かないで!?」
「ということで三十分後くらいに行くから!」
「あっ、待て充! ……行っちゃった」
まさに脱兎のごとく走り去る親友の背中を見えなるなるまでボーッと眺める僕であった。
「……っと、その前に連絡しておかないと……はぁ」
僕はスマホを開き上から二番目のアドレスにかける。
するといつも通りプルルとワンコールで相手の人物は出る。こういった急な用事の時でもこの人は必ずワンコールで出てくれるから助かる。
『もしもし愛優さん、僕です』
『僕々詐欺なら間に合ってます。それに……詐欺師の方にお嬢様の脱ぎたてパンツは渡しま──』
──プツ。
「ふぅ……」
とりあえず電話を切る。どうやら僕としたことが間違って変態にかけてしまったようだ。
と、思っていたが、先ほどかけた番号から今度はあちらからかかってきた。
『……はい、もしもし』
『湊様、冗談ですよ』
『わかってましたけど、長くなりそうだったんでつい』
『湊様のアレのように?』
『また切りますよ?』
『冗談ですから切らないでください。それで、なんのご要件ですか? あ、本当に愛莉様のパンツが欲しいのであればご自分で交渉を』
『だからそれはいいですから。とりあえず要件だけ言いますね。今日友達……充が僕のアパートに来るらしいんで今日はそっちにいけないと愛莉にも伝えておいてください』
『わかりました、そのようにお伝えしておきます。ただ湊様』
『はい』
『間違っても……両刀にならぬようお願いしますね、愛莉様のためにも』
『その可能性はゼロなので大丈夫です!! じゃあお願いしますね!』
そう言って僕は今度こそ電話を切る。
その瞬間思わずため息が出てしまう。
「……ふぅ、あの人本当に優秀なんだけどなぁ……」
性格というか性格というか……性格に問題があるよな。
「っとと、早く行かないと充が来ちゃうな」
僕はそのまま急ぎ足で前住んでいたアパートへと向かった。
アパートに到着。
前まではここに帰ってくるのが当たり前だったのが嘘みたいに最近は近くを通りもしなくなってしまった木造のアパートの一室。
また使うかもと言って愛莉はとりあえず数年分の家賃を渡してくれたみたいだが、ただでさえ申し訳ないのに使っていないせいで更に申し訳なさが増してしまう。
「えーっと、あれ?」
そしてアパートの前に着いたのだが、どういうことかアパートが少し小さく見えた。
それもそのはずで僕が今寝泊まりしている朝武邸はこれよりももっと大きいからそう見えるのは普通のことなのだ。
……しかしこうしてみると僕も知らず知らずのうちに富裕層の考えというか感覚が身体に染み付いてしまっているようだ。
「うっかりボロが出たりしないように気を付けないとなぁ……」
前と同じように鍵を取り出す。鍵を回すとカチャリと小気味いい音を立てて扉の鍵が開いた。
朝武邸では鍵はあるものの、基本的に
「ただいま~……って誰もいるはずないよね」
返事のないただいまに少し寂しさを感じる。
つい数ヶ月前まではこれが当たり前だったのに今ではおかえりのないただいまが本当にこの家に戻ってきたと実感させられる。
……とは言ってもこの寂しさもあと数分したら消えるんだけどね。
「ある意味充みたいな親友を見つけられた事も感謝しないといけないかな……」
こんなところでアイツの価値に気付かされた時、僕はこの家に違和感を覚える。
「なんだろうこの甘い匂い……。まるで男が想像するような女の子の部屋のような感じがする」
しかしここは紛うことなき僕の家。
暫く使っていないとはいえ、簡単に染み付いたその人の独特のにおいみたいなのは消えないだろう。
そして何よりも部屋が綺麗すぎる。
以前来たのは少し前とはいえそれでも二週間以上は経っているはずだ。
それなのに埃がないのが不気味。
いや、愛優さんも一応この部屋のスペアをもっているから僕に内緒で掃除をしていたという可能性もあるけれど……。
僕は靴箱の上、壁際の方を軽く指でなでる。
「……やっばり埃が溜ってる」
この時点でここを掃除したのは愛優さんではないということがわかる。
あの人は性格がアレだけど優秀だからこんな残し方は絶対にしない。
つまりここを掃除したのは別の人物。
「……ッ!?」
その時、信じ難い事が起きた。
この部屋には少なくとも僕しかいない。そのはずなのに洗面所と思われる場所から物音が聞こえてきたのだ。
僕は息を呑んだ。
(泥棒? ……いや、それはないはずだ。確かにこの家は留守がちだけど一応と言って愛優さんと紗奈さんの手によって普通の家よりは厳重なセキュリティになっている)
とは言え、充は鍵をもっていないから入れるはずもないし、なんだかんだで行儀のいいやつだから先に来たとしても玄関先で待っているはずだ。
そしてもう一つの可能性として、愛優さんが実はここを少しの間貸したということだ。
だがそうならさっきの電話で何か言うはずだし、それ以前に真っ先に僕に連絡をするはず……。
つまりここから考えられる答えは泥棒。
しかも紗奈さんのセキュリティを突破しているとなると、かなりの手慣れの可能性が高い。
……と、そんな風に考えていた時だった。
「……えっ」
「あれ、あなたはさっき公園で出会った……」
とつぜん洗面所の扉が開く。
そこから現れたのはなんとお風呂上がりなのかバスタオル姿の美幼女だった!
いわゆるロリ巨乳というやつで一部以外幼い身体に雪のように白い肌、そして愛莉にも負けず劣らずな黒く美しい髪に大きな瞳。
そこにお風呂上がりというシチュエーションが重なり僕の意識は完全に彼女にクギ付けになっていた。
「……あの」
「あ、ご、ごめん。……ってあれ?」
お風呂上がりのロリの姿に見惚れていた僕をジト目で見つめるロリ。
……いや、違う。僕はこのロリのことを知っている。何故ならば。
「もしかして……一夜、梓桜?」
「……はい」
僕の質問に一夜梓桜はゆっくりと頷いた。
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