第11話 ロリとロリコンとバニラアイス


 「あっ、拓海たくみさーん!」


 僕が集合場所に着くと、ぺたんこ、微乳、微乳、巨乳……もとい、紗々ちゃん、愛莉、天海さん、愛優さんが既に待っていた。

 別に誰がぺたんこで誰が巨乳でとかは言わないけどね?

 そしてここでみなさんに問いたい。

 みんなはペッタンコと貧乳の違いがわかるだろうか?

 え? みんな同じじゃないの? と、思った人は『ロリと結婚したら世界が変わった』という作品をもう一度最初から読み直して真の変態紳士ロリコンになってきてね。

 ……本題にもどろう。ペッタンコと貧乳の違い……それは乳の大きさにあるのだ!!

 ペッタンコはその名の通り本当に何の膨らみもない、胸のことを言う。

 ペッタンコは無乳とも言う。基本的にこのペッタンコは本当に幼い女の子に限定される。


 貧乳とペッタンコと決定的に違うポイント……それは、ペッタンコは完全に『無い』のに対して、貧乳は『有るけど無い』のだ。

 何を言ってるかわからない? そんな貴方にオススメなのは『ロリと結婚したら世界が変わった』と言う作品だ。

 最初から一回読んだ後、追加で十回読みその場で「ロリッ!」と言えばわかるだろう。わかるよな? わからない人はブタ箱直行を覚悟でお触りしてきてください。

 あ、良い子のみんなも悪い子のみんなも手をだしたらロリコンじゃなくなるから注意ね♪

 話を戻すが、『無い』のと『有るけど無い』の違いを簡単に説明しよう。

 『無い』というのは本当に何も発育していないことを指すのだ。

 しかし、悲しい事に女の子というのは身体が大きくなるにつれて、本人がどう思おうが個人差はあるものの、勝手に胸が大きくなっていってしまう。

 それに対し無乳は乳が無い……つまり、完全に大きくなる前なので本当に幼い女の子に限定されてしまうのだ。

 貧乳や巨乳、普乳に美乳の合法ロリがいても無乳の合法ロリがいないのもこれのせい。

 そして『有るけど無い』というのは慎ましやかな乳のことを言う。

 一見すると無さそうに見えるが、脱ぐと、揉むと、触ると確かにそこにあると実感出来る。

 まだ大人になれない……なれなかった乳は甘いミルクのような男の本能をくすぐる香りと共に、見た目とは反して小さいはずなのにとてつもなく気持ちいい感触を提供してくれる。

 走っている時に、巨乳派の人が『乳が揺れるのが良い!』と言っているのに対し、貧乳派の人が『揺れないからこそ良い!』と言うように色々あるのは認めよう……しかし、僕はあえて言おう。

 ちっぱいこそ至高だと!!!


 だがここで勘違いしないで欲しい……僕は貧乳も大好物だが、もちろんぺたんこも大好物だ。

 もっと言えば微乳などもそこに含まれる。

 ここで微乳の説明をしよう。

 微乳とは無乳と貧乳の境目……つまり胸が膨らみ始めてきたとわかるかわからないかくらいの頃の胸のことを言う。

 大体年齢的に言うと小学三年生~五年生辺りだと思っている。

 これはさっき言ったとおり無乳と貧乳の境目なので、無いよりの有るという感じだ。

 一見しても触ってみても無いようにしか見えないが、じっくり触ったり揉んだりしてみるとわかる。

 微かに感じるちっぱいの鼓動……これからちっぱいへと進化していくよと声高らかに宣言する微乳ちゃんが!!

 ちっぱいキャラはそれこそ成長出来なかったおっぱいというだけなので、俗に言うロリババアなどでも再現は可能だ。

 しかし、この微乳というのはまさに成長中……つるつるぺたぺたの幼女から凹凸のはっきりし始める少女へと変わる前の時期にしか拝むことの出来ない最も尊く、最も価値のある時なのだ!!

 そしてそんな思考の時の真っ最中にいるロリ達が目の前にいる!

 水着を着て、その慎ましやかすぎてよくよく観察してもわかりにくい小さな小さなお胸を主張させ、背筋を伸ばしてしまえば胸よりもお腹が出てしまうような幼児体型のロリ達がっ!!

 僕は間違いなく世界一幸せなロリコンだ……。

 ありがとう神様、この腐りきった世界に天使ロリを降臨させてくれて……本当に、ありがとうっ!

 ロリのぷにぷにのほっぺに、ロリの小さく細い手足に、ロリのほとんどくびれのない腰のラインに、そして何より……ロリの甘々なミルクのような匂いを漂わせ、慎ましやかながら全てを包み込んでくれるちっぱい(おっぱい)様に……かんぱーーーいっ!!

 みんなで叫ぼう! まったく、違法ロリは最高だぜ!!

 と……。


 「……さーん」

 「拓海さーーーんっ!!」

 「はうわっ!?」


 愛莉の声によって現実の世界に引き戻される。

 目をぱちくりさせている僕を正面に、心配そうに僕を覗き込む愛莉の姿が。


 「あぁ、大丈夫……ちょっと全世界の人にお胸の話をしていただけだから」

 「胸の話……ですか?」

 「まぁ気にしたら負けかな。それよりもその水着やっぱり似合っているよ愛莉、まるで水着を着た天使が降りてきたみたい」

 「そ、そうですか? えへへ……」


 僕は頭を撫でながらそう言うと、白のワンピース水着の愛莉は恥ずかしそうにはにかむ。

 うーん、可愛い。やっぱり小学生っていいよね小学生って。

 別に純粋で、素直だからってわけじゃないけれど、大人になったら持てなくなるものを沢山持っている気がするよ。

 と、今にも通報しそうな目つきでこちらを睨めつける愛優さんを横目でチラリ。

 愛優さんは愛優さんで普段からは考えられないくらい露出度の高い黒いビキニを着ている。

 その上泳ぎやすいようにか、いつものツインテールを解放し、ポニーテールにしているのもポイントが高い。

 幼い少女のワンピース水着と同じく、金髪メイドの黒ビキニはぼくの中では鉄板中の鉄板だった。

 しかし何故睨まれているのだろうか。


 「ねぇねぇ愛莉だけじゃなくてボク達のも見てよーっ!」

 「そうです、愛莉さんだけズルいですよ」


 そう言って二人のロリが駆け寄ってくる。

 紗々ちゃんは学校指定の物なのかはわからないが、一般的なスクール水着を着ていた。

 もちろん胸のところに名前が書いてある……金の刺繍ししゅうで。

 しかし……こうして見ると紗々ちゃんのスクール水着は似合いすぎている。

 こちらもいつもとは違う髪型になっているのだが、いつもサイドテールだったからか髪を下ろしている紗々ちゃんはとても新鮮な気持ちになる。


 「うん、紗々ちゃんとても似合ってるよ。髪型もいつもと違うし……僕はこの髪型も好きだよ」

 「──っ!」


 僕がそう言って紗々ちゃんの頭を撫でると顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 するとクイクイと、腕を引っ張られる。


 「あの湊さん、私のはどうでしょうか?」


 僕から離れるとそこで一回転する天海さん。

 いつもの雰囲気とは違って少しばかりハメを外しているようでいつもより大胆な水着を着ていた。

 ピンク色を基調ときた水着は、胸や腰の部分にヒラヒラが付いており一回転することによって綺麗な円が描かれる。

 その様子はまるで水着というドレスを着たお嬢様のように……というかお嬢様なんだけど。


 「天海さんもとっても可愛いよ、その水着なんて特に可愛いし似合ってるよ」

 「あ、ありがとう……ございます」


 僕は紗々ちゃんと同じように頭を優しく撫でる。

 すると天海さんも紗々ちゃん同様に、耳まで赤くして下を向いてしまった。


 と、そこで僕は周りの視線を集めていることに気がつく。

 若い男と幼い女の子、幼い女の子は若い男と話をして、頭を撫でられて赤面。

 うーん、通報されるのには十分かなぁ。


 心做しか「係員の人を呼んだ方がいいんじゃないの?」って声も聞こえるし。


 「じゃあそろそろ行こっか」


 一刻も早くこの場から立ち去りたい僕はやや早足でプールへと歩き出した。





 「きゃっ! 冷たいですよ〜」

 「ふっふっふっ、油断は禁物だよ愛莉♪」

 「今ですっ!」

 「うわっぷ!? も〜奈穂ったら不意打ちはズルいよ」

 「油断してた紗々さんがいけないんですよ♪」


 プールではロリっ娘達による微笑ましい光景が。

 一方僕と愛優さんはプールサイドから座って微笑ましい光景を酒の肴に、ジュースを飲んでいた。


 「それにしても元気なロリ達を見ながら飲むジュースって最高ですねぇ」

 「はい……元気な愛莉様を見ながら飲むジュースはとても美味しく感じます」


 そう言って僕達は手に持っている缶ジュースを一口。

 もちろんこれはただのジュースであって麦ジュースなどではない。

 ロリ達は遊んでいるし、丁度愛優さんとふたりきりになれた。

 僕はさっき出会った少女に言われたことを聞いてみることにした。


 「あの愛優さんちょっといいですか?」

 「日焼け止めは既に塗ってあるので湊様はやらなくて結構ですよ」

 「なんだ残念……じゃなくて!」

 「あら、違うんですか?」

 「違いますよ……」

 「では愛莉様のですか? しかし生憎ですが愛莉様はワンピースタイプの水着なのでそんなに塗る場所もなく、手足に関しては私がしっかりと塗りましたので」

 「だからそうじゃねぇ……」

 「……冗談ですよ。それで、どうされましたか?」


 愛優さんの顔がいつもの仕事の時と同じ顔になる。

 冗談を言っている時の愛優さんはなんだか楽しそうにしているだけに、少し残念に思えてしまうがまぁ仕方ない。


 「本題から入るんだけど、しおり女子学園ってどこにあるか知ってますか?」

 「……湊様、どこでその名前を?」

 「えっ」

 「いえ、まぁしおり市に住んでいれば聞いたことがあっても不思議ではありませんね。それで愛莉様の通っている学園がどうかしましたか?」

 「愛莉が通っている学園……?」


 愛莉の通っている学園? でもさっきの女の子……間違いなく小学生ではなかった。いや、もしかしたら物凄く発育が良いだけかもしれないが……。

 目を閉じればあの少女の姿が浮かぶ。

 大きな胸にくびれのある腰、すらりと伸びた手足、今思えば布の面積が少なかったのだが不思議とエロく見えない……うん、やっぱり小学生じゃないよな。


 「はい。……って、愛莉様のことが知りたくてそれを聞いたのでは?」

 「えーっとですね……実は──」


 僕は村井さんとの事を愛優さんに話した。

 話終えると愛優さんは納得したように、頷き。


 「なるほど、そんな事が……。しかしあの村井様が……珍しいこともあるのですね」

 「珍しい?」

 「はい。村井様はしおり女子学園の総生徒会長……そのお方がわざわざ世間から隠されているしおり女子学園に湊様をお呼びするなんて本来なら有り得ない話なのですが……もしかして湊様、村井様の乳房を揉みしだいたりしましたか?」

 「するわけないでしょう!! 第一真剣な顔でそんなこと言わないでくださいよ!」

 「これは失礼しました……それで、私はそこまで送り迎えをすればよろしいのでしょうか?」

 「送り迎え? 場所さえ教えてくれれば僕は……」

 「例え場所を知っていてもあそこは山の奥の奥にあります。正規ルートは登録された人と同伴でなければ通れませんし、仮に違うところから行くにしてもセキュリティの問題はもちろん、学園の周囲には安全のために不審者を全力で狩るようにシツケをされた動物も放たれていますが」


 僕はすっと立ち上がり、腰を90度に折り曲げる。


 「……送り迎えよろしくお願いします」

 「わかりました。ちなみにですがこの事は愛莉様には?」


 愛莉か……愛莉の通っている学園ならば来てもらいたいところだが、気になることもあるし。


 「何があるかわからないですし、村井さんには僕だけ……って言われてるので黙っておこうかと」

 「かしこまりました。ですが万が一何かあった時は私に」

 「うん、わかった」


 こうして僕達が明日の事について話し終わった頃、愛莉がこちらに向かってくる。


 「二人ともそんなところで休んでいないでこっちに来て遊びましょうよ〜」

 「さ、愛莉様もお呼びですし私達もそろそろ行きましょうか」


 愛優さんはそう言うと愛莉達の方へとやや急ぎ足で駆け寄っていった。




 「まずはどこから行こうか」


 水の掛け合いを終えた僕達はプールサイドを歩きながら次の行く場所を決める。

 普通のプールならそんなに回るところはないのだが、この市民プールは異様に大きく定番のウォータースライダーでさえ何故か三種類もあったり、水鉄砲で遊ぶためのスペースもあったりした。


 「やっぱりアレは行きたいですよね」

 「うんうん、アレはかかせないよね♪」

 「はい。アレは、私も是非体験してみたいです」


 聞いてみたものの、どうやらみんなが行きたいところは決まったいたらしい。


 「それでどこに行くの?」

 『ウォータースライダー!(です)』


 ロリ達は三人で同じウォータースライダーを指差す。こういった時の三人は本当に息がぴったりだ。


 「わかった。じゃあ行こうか」

 『はいっ♪』


 満面の笑みを浮かべるロリ達と一緒にウォータースライダーへと歩き出したのがつい三分前。


 「どうしてこうなった……」


 ウォータースライダーでは三人一組で滑ることとなり、僕と愛莉、そしてそこに天海さんを加えた三人がペアになった。

 そして今は滑り始めなのだが……ここでとある問題が発生していた。

 僕の股の間に愛莉が座り、背中に天海さんがくっつくことになった。

 しかし滑り出した直後天海さんの言葉によってワクワクが一瞬にしてハラハラに変わったのだ。


 「湊さん……」

 「うん?」

 「私、どうやら勢いよく抱きつきすぎたみたいで……水着がズレてしまったようなのです」

 「えぇっ!?」


 愛莉に聞こえないようにそっと耳打ちをされる。

 確かに何か違和感はあった。背中に伝わる感触が明らかに布とは違うものだった。

 しかし天海さんはいいところのお嬢様……だから僕が知らない素材で出来ている水着を着ていてもおかしくないと思っていたのだが…………って、まてよ……今当たってるこれって。


 「あの、天海さん……今僕の背中に当たってるのって……もしかして水着じゃ、ない?」

 「は、はいぃ……」

 「〜〜〜〜っ!!」


 さっきから感じている違和感の正体……それは天海さんのちっぱいだった!

 天海さんの大きさからしたら、本来ならば微乳に分別されるのだがそんなこと今はどうだっていい。

 だって、だって……ちっぱいが僕の背中に当たってるんだぜ? ひゃっはーーっ!!!

 それにしても意外だ。いくらちっぱいでもふにふにもちもちしてるとはいえ、天海さんの場合はそれを超えていたのだ。

 あ、ほら今恥ずかしさからか更に胸を押し付け…………ん?

 僕はそこである疑問が浮かぶ。


 「あの、天海さん……失礼な事を聞くようだけど、もしかして着痩せするタイプ?」

 「えっ、あっ、はい。周りの人からはそう言われます……けどぉ」

 「うおっ!?」


 更に強く押し付けられる。

 この感触……恐らくだが僕の脳内がこう伝えている……天海さんのちっぱいはAカップであると!!

 ちなみに紗々ちゃんはAAA、愛莉はA寄りのAAくらいだと推測。


 「って、そんな事考えてる場合じゃない!」


 なんとかして理性は保たねば。

 しかし今はウォータースライダーで滑走中……つまり誰から見られてもおかしくない状態なのだ。

 それが恥ずかしさに繋がり天海さんの抱きつく力は徐々に強くなっていく。

 もちろん抱きつく力が強くなればそれに伴い僕の背中に押し付けられるちっぱいの感触も強くなるわけで…………。


 や、柔らかい!! この小さいながらもしっかりと柔らかく、まるでマシュマロのようにふわふわしている。


 「──ッ!」

 「ひゃっ、た、拓海さんっ!?」


 僕は思わず腕に力を込める。

 天海さんのちっぱいの感触……それは思春期のロリコンの童貞には刺激が強すぎたみたいで……。


 「拓海さん、何かお尻に硬いものが当たっている気がするんですが」

 「き、気のせい……だよ」


 僕の息子がハッスルタイムに入ってしまったのだ。

 愛莉にはそう誤魔化したものの、僕が強く抱き締めたせいで愛莉よ身体は僕の方へと寄り、愛莉の可愛らしいお尻が丁度僕の息子の上に来てしまっている……これがナニを意味するかわかるよな?

 しかーし僕は紳士……こんなものすぐに収まるのさ。


 そんなこんなでウォータースライダーが終わる頃には僕はいつも通りに戻り、天海さんも着水したのをいいことにとりあえずのレベルだが水着を直した。

 ……まぁでもそんなのは本当にとりあえずの処置でしかなく、水から上がった時に、完全に取れてしまった。


 「はわわわわわ、み、湊さんどうすれば……」

 「とりあえず僕が抱っこをして隠れられる場所まで連れていくから」

 「お、お願いします」

 「愛莉っ!」

 「は、はい?」

 「僕達ちょっと飲み物買ってくるから、愛優さん達にもそう伝えておいて」

 「わかりました」


 僕は伝言だけ残すと、天海さんを抱き抱えるようにして走り出し、どこか身を隠せる場所を探した。




 それから少し経ち、いい感じに木々が植えられているところに身を潜め、水着を直している天海さんを背に、僕は誰かが来ないか見張り番をしていた。


 「それにしても災難だったね」

 「はい……でも湊さんがいてくれて本当に良かったです」

 「僕が? それはまたどうして?」


 布の擦れる音を聞きながら天海さんを背にしたまま疑問をぶつける。


 「こういったところです♪」

 「こういったところ?」

 「自分で言うのもなんですが私、これでもいいところのお嬢様なんですよ」

 「まぁ、それはわかってるけど……それとこれになんの関係が?」

 「ふふっ、やっぱり湊さんは素敵なお方です……だって普通ならみなさんこんな時は我先にと私の手伝いをしたかったり、私にいい所を見せようと必死になるんですもの」

 「……それって僕は全く手伝ってくれないかっこ悪い人って言いたいのかな?」


 僕は不機嫌そうにそう答える。しかし、実際にはそうではない。

 天海さんの言いたいことがなんとなくわかって、つい照れ隠しでそうしてしまったのだ。


 「やっぱり湊さんは特別ですよ。恐らく私の家のことを知っている一般の人で、私に対してこんな風に接してくれるのは湊さんだけです」

 「そうかな? 僕以上の人なんて結構いると思うけれど?」

 「それがいないんですよ。みなさん自分の利益のことしか考えていないですからね……他人はどうなってもいいからせめて自分だけは……まぁそれが人って動物なのでしょうが私の周りにはそういった人達しかいなかったんですよ」


 そこまで言うと、水着の直しが終わった天海さんが僕の正面に立つ。


 「だからこそ私は……紗々さんや愛莉さんは貴方に惹かれたのですよ♪」


 笑顔で言う天海さん。その笑顔はまるで太陽の光をめいっぱいに浴びた向日葵のようでもあった。






 『女子小学生限定のアイス早舐め大会?』


 ジュースを買って戻ってきた僕達は愛莉達が手にしていたチラシを見て声を揃える。


 「はい♪」

 「参加はタダでアイスまで食べられて、その上商品も貰えるんだって!」


 僕はチラシに目を落とす。

 そこには時間やルールなどが書かれていた。

 ルールは一人一本、濃厚極太バニラアイスを舌のみを使って舐めきり、棒に書かれているお題をクリアした人から商品を受け取れる……という単純なルールなのだが。


 ……どうして“濃厚極太”バニラアイスなんだ……普通のバニラアイスではダメだったのだろうか。

 それに女子小学生限定とかまるでロリコンのための大会みたいな気さえするわけだし。


 「それでボク達は出ようと思ってるんだけど菜穂はどうするのかなって」

 「ちなみに私も出る予定です」


 紗々ちゃんはなんとなく予想できるけれど愛莉までとは少し驚いた。

 ……まぁでも愛莉も小学生だしおかしくはない、か。


 「うーん、私はどうしましょう……湊さんはどう思いますか?」

 「僕? これは天海さんの事だから天海さんが決めれば──」

 「私は湊さんに決めてほしいんです」


 ぷくーと頬を膨らませる。

 先程までとは違う態度に戸惑いつつも、僕は天海さんが濃厚なバニラアイスを一生懸命舐めているところを妄想してみる。



 ~妄想中~


 「んっ……はっ、れろ……んっ、ちゅぱ」


 濃厚でふっといバニラアイスを一生懸命舐める天海さん。

 しかし、やはり普通の棒のバニラアイスよりかなり太く、しゃぶるように加えようとしてもアイスの方が大きいため口に入りきらないのは明らかだろう。


 「ちゅる……れろっ……この、バニラアイス……んむ、太くて……いくら舐めても、お口に入りきりませんし、とっても濃くて……んっ」


 うーん、百二十点。

 ただちょっと濃くて太いバニラアイスを女子小学生が舐めているだけなのにどうしてこんなにもエロく見えるのだろうか。

 あっ、胸元に垂れた。


 「ひゃっ!」


 冷たさに思わず声を漏らす天海さん。

 緩いカーブになっている胸元の三角形ゾーンに吸い寄せられるように垂れた濃いバニラアイスが流れ、そのまま水着の中へと侵入する。

 出来ることならそこを流れるバニラアイスになりたいと少しばかり思ってしまった自分を五発くらい殴りたい。



 そんなこんなで濃厚以下略大会に参加することになったロリっ子達なのだが…………。


 「みんなー、女子小学生が好きかーーっ!!!?」

 『おーーー!!!』

 「小学生のみんなー、アイスは好きかーっ!!?」

 『はーーいっ!』


 なんだこれ。

 真っ先に思ったのはこの一言だった。

 まだ開会式? の途中なのだが既に酷い。

 会場は特設ステージみたいになっており、周りには参加しているロリ達の身内……だけでは収まらず、その手の同志達が集まっていた。


 「それにしても参加しているロ……女の子達多いですね」

 「えぇ、商品が商品ですからね」


 そう言ってチラシを見せてくれる。

 商品一覧には洗濯機やら掃除機やら車やら普通の大会では有り得ないくらい色々と揃っていた。

 いや、揃っていたってレベルじゃねぇぞこれ。

 女児向けアニメのプリっとキュアキュアの初代から先代までのブルーレイセットとか、主催者イチオシコスプレセットとか色々ある。


 「……愛優さん、これ本当に貰えるんですかね」

 「はい、主催者が主催者なので間違いなく貰えるかと」


 しれっと答える愛優さん。チラシをよく見ると主催者Mと、書かれていた。

 しかし誰が主催者なのかはわからない……まぁ愛優さんが大丈夫だと言ったから大丈夫なのだろうけれど。

 僕は愛優さんの計り知れない情報網を信じることにする。

 その頃、開会式では参加者に優勝したら何をしてもらいたい? という質問を全員に行っていた。


 「おっ、愛莉達の番ですね」


 司会の人がマイクを持ち、愛莉の方へと歩いていく。

 そして前の人同様、自己紹介から始める。


 「お嬢ちゃんお名前は?」

 「と、朝武愛莉です」

 「お〜愛莉ちゃん。可愛いお名前だね」

 「ありがとうございます」

 「それで、優勝したら……何をしてもらいたい?」

 「優勝したら……そうですね」


 目が合った。

 僕は勘違いじゃないよと、軽く手を振る。

 すると愛莉も胸元で手を振り返し、


 「私は好きな人にキ、キスをしてもらいたいです」

 「おぉ〜っ! これは意外な答えだ〜っ!!」


 司会と共にあちこちから「おぉ〜」という声が上がる。


 「それでそれで、気になる彼の名前は……?」

 「え、えっとですね……ひ、秘密ですっ!」

 「あらら〜残念。じゃあ最後に意気込み……いいかな?」

 「はいっ。優勝目指して頑張りますっ!」


 そんなこんなで開会式は続いていき、いよいよ競技開始っ!!


 になったのはいいのだが……想像以上に目の前の光景がアレすぎてもう僕どうにかなっちゃいそうですっ!!!!


 この大会商品が商品なだけに参加者が多く、様々なロリ達が太くて濃いバニラアイスを舐めまわしている光景。

 チラッと立ち寄ったロリコンのみなさん(僕を含めて)は揃いも揃って何かを悟ったように無言で頷くのを繰り返していた。


 それもそのはずで……。

 僕は視線を全体から愛莉達の方へと移す。


 「んっ、れろっ……この、アイス……本当に、太くて固いから……れろっ……舐めるのが大変れす」

 「ちゅぱっ……ふっふっ、ボクは……れろっ、ちゅ〜……んっ……もう、こんなにちいさくなったもんね」

 「あらあらこれは私も負けてられませんね……んっ」


 一番早いのは紗々ちゃん、次に愛莉、最後が天海さんなのだが……。

 予想以上にエロいのだ!

 競技は座って行われているのだが、いくら彼女達が舐めているアイスが固くて太いとはいえ、所詮アイスはアイスだ。

 みんな早く舐めようと全体的に舐めているためはアイスが胸元や太もも辺りに垂れて、白く汚しているところはまるで…………うん、わかるだろ?

 と、そこで司会の人がマイクを握りしめる。


 「おぉーーっと!! 愛莉ちゃん、早くもアイスをちゅぱちゅぱとしゃぶり始めたああああああああっ!!」

 『うおぉぉぉぉぉっ!!!!』


 会場に完成が巻き起こる。

 ちなみにルール的には舌を使い、歯を使わなければ大丈夫らしく、しゃぶる行為も容認されていた。

 詳しくは言えないが、愛莉のしゃぶる姿は……男ならみんな反応してしまうくらいエロかった。

 それにしても本当に凄い光景だなこれは。

 ロリ達が太くて固いモノを一生懸命舐めたりしゃぶったり…………。一体誰がこんな最高────ぶっ飛んだ大会を考えたんだろうか。

 こんなのロリコンにしか需要が──。

 …………あぁ。


 僕は何かを察し、これ以上考えるのをやめた。



 それから十分近く経った頃、そろそろアイスを舐め終わりそうなロリ達が出てきそうな中、愛莉達は少し苦戦をしていた。

 最初はテンポが良かった紗々ちゃんも後半につれてペースが落ち、愛莉も最初の頃のペースより遅くなっていた。

 唯一変わっていないのは天海さんくらいで、結局みんな終わるのは同じくらいになりそうだ。


 「おっ、そろそろかな」

 「みなさん舐め終わりますね」


 しかしこのゲーム、アイスを舐めきるだけではクリアにならない。

 舐めきった棒にはお題が書かれている、そのお題をクリアすれば終わりなのだが…………。


 「あれ、みんな固まったけど……」

 「はい。どうしたんでしょうか」


 僕達は頭をかしげる。

 愛莉達のことなら大抵の事は難なくクリアしそうなのに……。

 そう思った時だった。

 愛莉達が一斉にこちらへ向かってきたのだ!!


 「拓海さん!」「お兄ちゃん!」「湊さん!」

 『一緒に来てくださいっ♪』

 「えっ、えっ、えぇっ!?」


 三人のロリ達に手を引かれる僕。

 連れていかれる際、愛優さんが「いいですね娘に連れ回されるお父さん」と呟いたのは聞かなかったことにしよう。


 「それでお題は何て書いてあるの?」


 僕はロリ達に手を引かれてステージに向かう途中気になっていた質問を投げかける。

 しかしみんな頬を赤く染め、口を揃えて「秘密」と答える。

 唯一頬を染めなかったのは愛莉くらいだった。


 ステージに登ると、早速司会の人がマイクを持ってこちらへと駆け寄ってきた。


 「さぁー! ただいま一番乗りの子が来ました…………って、三人!?」

 「はい♪」

 「そだよー!」

 「そうですね♪」

 「えぇ……これは、どうしよう……」


 素で戸惑っている様子の司会の人。

 「どうかしましたか?」と、小声でそっと耳打ちをすると、マイクの電源を切りこちらにも同じように耳打ちをしてくる。


 「いや実はですね……このお題『好きな人を連れてきて好きなところにキス』というお題なんですけれど……」

 「そうだったんですか……でも、それで何か問題が?」

 「いえ……私達の見解では参加者の親御さんが連れてこられるはずだったので……」

 「あぁ、僕はこの子達の身内(予定)なので大丈夫ですよ」

 「えっ、でも……」


 そう言って愛莉達の方へと視線を向ける。

 まぁ余りにも似てないから仕方ないよね。


 「あの子達は親戚なので……子守りを任されているんですよ」

 「あっ、そうでしたか! これは失礼しました……では」


 そう言ってマイクの音声をオンにする。


 「では、早速お題確認から!! まずは元気な紗々ちゃん!」

 「はーい! ボクは『好きな人の右のほっぺにちゅー』だったよ!」

 「おー! これは羨ましいですね〜。では、お願いします!」


 司会の人の言葉を合図に、紗々ちゃん僕の前に立つ。

 僕はキスをしやすいように紗々ちゃんの高さに合わせる。

 すると紗々ちゃんはイタズラな笑みを浮かべると、


 「ボクね、本当はお兄ちゃんの唇にちゅーしたかったんだけど……」

 「流石にルールは守ろうな」

 「ふふっ、わかってるよ。それに唇にちゅーなんてしたら愛莉にヤキモチやかれちゃうからね……だからボクはここで我慢するよお兄ちゃん♪」

 「っ!!」


 次の瞬間、僕の限りなく唇に近い右頬に柔らかく温かい感触が伝わる。

 やはり同じ年頃の女の子とは言っても愛莉とはまた違った感じだ。

 それに加えさっきたべたバニラアイスの甘い香りもしてきて…………。


 「さ、紗々ちゃん……長くないかい?」

 「んっ……」


 紗々ちゃんは唇を押し付けてきてからそこそこ時間が経っているのにも関わらず未だに離れる気配はない。

 と言うかさっきからチラチラ愛莉の方を見ている辺り確信犯だなこれは。


 僕はいざという時のために愛莉から教えてもらった紗々ちゃんの弱点その1……脇下つんつんを試してみることに。


 拓海、行きまーーすっ!!

 心の中の掛け声と共に僕の指先はそのまま紗々ちゃんの脇下へ。


 ──つんつん。


 「ひゃああああうっ!!」


 突っついた瞬間、紗々ちゃんは悲鳴にも近い声をあげながら仰け反る。

 ……まさかここまでとは思っていなかったので僕自身かなり驚いた。


 「うぅ……お兄ちゃんそれは卑怯だよぉ……」


 涙目で訴えてくる紗々ちゃん。

 ごめんな……そろそろ次の人にいかないと時間とか周りからの嫉妬の目とか通報されそうで怖いんだよお兄ちゃん。


 やや頬を膨らませながら僕から離れる紗々ちゃん。

 次は天海さんの番のようで、紗々ちゃんと入れ替わるように僕の前へと出てきた。


 「天海さんはどこにキスをするの?」


 めんどくさいので率直に。


 「私のは残念ながら左の頬にちゅー……だそうです」


 そう言って棒を見せてくる。

 確かにそこには『好きな人の左の頬にちゅー』と書いてあった。


 「じゃあ、お願いします」


 僕は再び顔の高さを天海さんに合わせる。

 それに合わせ天海さんも近づいてきて…………そっと耳打ちをする。


 「湊さん……実は私、まだアイスが口の中に残っているんです」

 「ん、んん?」

 「ですから……湊さんがちょこっと舌を左の頬に出してくれればそのまま私の口の中にあるアイスをおすそ分け出来るのですが……」

 「…………早くしなさい」

 「もぅ、湊さんったら連れないです」


 いじける様子を見せながらも天海さんはちゅっ、っと僕の左の頬にキスをする。

 紗々ちゃんとは違って至って柔らかい、本当にゲームだからするキスのようだ。

 そのまま天海さんは後ろを向き、


 「ふふっ、湊さん。そんな調子ですと私や紗々さんに心を奪われてしまうかもですよ♪」

 「え……今なんて──」

 「なんでもありまーんっ」


 そのまま紗々ちゃんの横へと移動してしまった。

 なんて言ったのか聞きたいところだが、今は愛莉が待っているので後にしよう。

 僕は入れ替わりに前に出だ愛莉と向き合う。


 愛莉とはフレンチなキスもディープなキスもしてしまっているので、今更どこにキスをされようと関係ないような気がするんだけどね。


 「それで、愛莉はどこにキスって書いてあるの?」

 「私はこれですね」


 恥ずかしそうにはにかみながら棒を見せる。

 そこには『好きな人の唇にキス♡』と書いてあった。


 「ま、左に右と来たら最後は正面だよね」


 苦笑いを浮かべる。決して嫌というわけではなく、お決まりの展開になんとも言えない気持ちになっていただけだ。


 「今回はみんなも見てる事だから軽めのやつにしよっか」

 「くすくす、そうですね」

 「愛莉……」

 「拓海、さん……」


 僕達はそのままお互いの身体を抱き合いながら、軽く唇同士を重ねる。

 それだけなのに天海さんや紗々ちゃんとは違って触れた唇から身体全体へと熱が伝わる。

 それは唇を離しても決して覚めることのない熱。


 「ふふっ、なんだか変な感じがしますね」

 「こんな人前で堂々とキスなんてこれから先することはないだろうからね」


 僕達は恥ずかしそうに頬を染め、笑いあった。

 その後、大会はスムーズに進み、空が茜色に染まる頃には僕達は家路へと急いでいた。


 疲れていても愛優さんの運転なので黒塗りの車にぶつかることもないだろうし、そもそもこっちのが高いだろうし…………。

 とにかく疲れから眠っているのは愛莉、紗々ちゃん、天海さんの三人の天使達だった。

 みんなの寝顔を見ているととても癒される。悩み事もすべて吹き飛んでしまいそうなくらいに。

 僕が寝ている愛莉の頭を優しく撫でていると、まるで全てを見透かしているように愛優さんがミラー越しに声をかける。


 「……湊様、不安ですか?」

 「不安……とはいえないけれど不安じゃない……とも言えないですね」

 「そんな湊様に私からアドバイスです。少なくともしおり女子学園の総生徒会長……村井様は湊様達の味方です」


 味方……か。愛優さんの言葉は信用出来る。しかし、僕にはどうしても聞くまでは納得出来ない事があるわけであって。


 「敵か味方かは明日判断します」

 「はぁ……仕方ありません。あんまり口外したくないのですが、これだけは伝えておきましょう」


 愛優さんはため息混じりに衝撃的な言葉を零す。


 「あのバニラアイスの大会を開いた人……つまり主催者の名前は村井華様、そしてその村井様は湊様と同じ……ロリコンでございます」

 「…………は、い?」


 こうして突然語られた真実に理解が追いつけないまま僕は明日を迎えることになった。

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