第21話
「お、よかった。仲直りしたんだね」
ミヤコちゃんは手をつないで教室に入ってきた私たちに向かってそう言い、安心したようにほっと息をついて胸をなでおろしていた。
「別に。最初から喧嘩なんてしてない」
「そう? ならいいんだけど」
席に着いたとき、私のサンドイッチはすでに開封されており、ハムサンドが姿を消していた。
「遅かったから、つい」
ははは、と笑うミヤコちゃんに苺ミルクを差し出す。
「いいの?」
「お礼、だから」
彼女は嬉しそうにストローをくわえた。
「わたしの、分けてあげる」
ルミちゃんはおかずを箸でつまみ、私の口元に運んだ。
「あーッ。いいなぁ」
「ミヤコはもう食べたでしょう」
「ルミーのはまだだよぅ」
「サンドイッチでも食べな」
ミヤコちゃんは不服そうに唇を尖らせ、残っていた私の卵サンドに手を伸ばした。
いつもどおりの平和な昼食。
本当になった哀しい恋の物語 音水薫 @k-otomiju
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