第6話 出会い
風ノ国。ここはアミヤ大陸では1番財政が困難な国であり、国民全員が貧困に悩まされている。
風が強く、砂埃が常に撒い、視界の悪い国である。
しかしそんな状況でも、他の国の援助に全て任せ、自分達は改善の努力など全くしない国家である。
そんな中1人の金髪の女がさ迷い歩く、目的地も解らずとにかく前へ歩き続けている。
女は囁く。
「こんな国に生まれるなんて・・私もついていないわね・・・・」
女は生まれつき片目が悪く眼帯を左目につけている。
「生まれた時点でこんな差もつけられてるし・・」
女はその左目を手で触りながら言う。
そして大きなため息をつきながら、やれやれと首を振る。
その時彼女は会ってしまった。
その出会いが偶然なのか必然なのか解らないが、彼女の目線の先には細い路地裏で生き倒れた黒髪黒目の少年がいたのだ。
「ちょっと君!大丈夫!」
少年の元の走り寄り声をかける。返事は無い。痩せ細った生きているのか死んで入りのか解らない様な顔だ。
脈がまだあるかを確認する。
「まだ生きてる!」
そう言うと、彼女は持っていた水を少しずつ飲まして行く。
「食べ物・・食べ物・・」
女はポケットを漁る。
「あった!」
そう言うと女はポケットからパンを取り出し少年に食べさして行く。
「うう・・うう・・」
しばらくして少年は目を覚ました。
「ここは・・?」
「あ!」
女が少年の方に駆け寄る。
「よかったー目を覚まして」
女が安堵で胸を下ろす。
黒髪黒目の少年は女の方をじっと見て何も話さない。
警戒しているのか、困惑しているのか、その様な事を女が思っていると・・・・
少年の目に突然涙が浮かぶ。そして次の瞬間
「ビエェェェェェン!!」
鼓膜を破る様な大声で泣き始めた。
「え?え?」
女が困惑していると
「苦しかったよぉぉぉおねぇちゃゃゃん!!」
そう泣きながら少年が女に抱きついた。
「ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「少し落ち着いた?」
そう言いながら女は少年に尋ねる。
泣き止み、目を赤く腫らした少年は、コクリと頷く。
「えーと・・まずお母さんかお父さんは?」
「いない」
少年は首を横に振りながら答える。
「まぁそうだよね」
「お母さんとお母さんが僕は脅威の子だから・・もういらないて・・・・」
この国では子供は9歳まではどんな理由があろうとも親が育てなければならない。
しかし9歳を過ぎると子供はどうしてもいいということになっている。
実に意味のない法律だと思う。
国はその9年で親は子供に愛着を持つと思っているらしい。
しかし実際そんな事はありえない。
貧しい家庭では子供を売って金にしている親もいる。
そしてこの国では黒髪黒目の子供は脅威の子と呼ばれる。
名前の通り、酷い迫害を受けていてどんなに裕福な家庭であろうと、必ず捨てられる。
そしてその大半の子が路上でのたれ死んでいるのだ。
過去の事を思い出したのか、少年がまた泣き始める。
同じくらいの年齢なはずなのにとても幼く見える。
「ああ・・泣かないで・・よし!」
女は何かを決心したかの様に声を上げる。
次の瞬間、女は自分の金色の髪を取った。
ウィッグだったのだ。
そして中から黒髪が出てくる。
「私も脅威の子なの。だからね?怖がらないで?」
そう女も脅威の子なのだ。
あいにく彼女には生れながら交渉が得意だった為黒髪を隠しなんとか生き延びている。
ー私がこの子を守ってあげなくちゃ・・
そう彼女は思う。
「私はファイブ。君は?」
親との縁が切れている為名前しか名乗らない。
「シックス」
「そぉかぁシックス君かぁ。気軽に私の事はお姉ちゃんて呼んでね」
「うん!お姉ちゃん!」
嬉しそうにシックスが答える。
あぁなんて残酷なのだろう。
私は最後、この子も殺さないといけないのだから・・・・
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